※本ページ内の情報は2025年4月時点のものです。

株式会社ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン(P.G.C.D.)は、2010年に設立されたオーガニックスキンケアメーカーだ。「人も地球も美しく」をパーパスに、スキンケア製品を開発・販売している。コロナ禍を乗り越え、現在はスキンケアと同様に“自分らしさ”を表現するものとして、オーラルケア製品、ボディスーツやフレグランスの開発に乗り出し、成長を続けている。

同社設立後、スキンケア製品を中心に多彩なサービスを展開し「人が夢中の時、最も人は美しく輝く。そうした人をもっと応援したい、もっと増やしていきたい」と事業拡大を続ける代表取締役CEOの野田泰平氏に、会社設立までの経緯や今後の展望などについてお話をうかがった。

私たちの石鹸を使うことで、自分自身の美に自信を持ってほしい

ーーペー・ジェー・セー・デー・ジャパン設立の経緯を教えてください。

野田泰平:
私は九州で生まれ育ちました。父の仕事の都合で、子どもの頃は東京よりもアメリカやヨーロッパに行く回数が多かったように思います。アメリカには、日中働いている時はメイクをせず、仕事を終えて遊びに行くときにだけメイクをする人がたくさんいるのです。日本と海外のライフスタイルの違いに刺激を受けつつ帰国し、学校でまず学んだのは建築でした。

その後、建築のデザインは「人の未来をデザインすること」だと考え、「人の習慣をデザインし、世界をよりよい未来に」という志を抱き、改めて大学院で経営を学び、弊社を設立しました。そこで着目したのが、誰もが行うスキンケアの基本である洗顔。これからのエシカルなライフスタイルの視点を持って「石鹸」の開発をメインに据えて事業をスタートしました。製品は美の本場であるフランスで製造し、オーガニックな成分にこだわりました。ただ洗顔をするのではなく「丁寧に泡立てて肌を洗ってあげると、肌だけじゃなくて自分自身を大切にしている気分になれる」というお声もいただき、リピーターが増えていきました。

ーー貴社の事業に対する思いについてお聞かせください。

野田泰平:
私は、弊社を単なる石鹸メーカーとは捉えていません。「人の夢中を応援する企業」であることが重要で、そのための手段として石鹸を選んだ、という認識なのです。

たとえばファンデーションを塗るのは「キレイに見られたい」、筋トレをするのは「カラダを引き締めたい」、勉強をするのは「試験に合格したい」などという目的があると思います。私たちの石鹸は、お客様のなりたい自分を実現するために使っていただきたいと思っています。フランスのオーガニック成分と日本の技術力が融合した弊社の特別な石鹸を使い「自分を大切にしていく」といったことから始まり、お客様のライフスタイルをより豊かにして、自分らしさを見つけるサポートをしていくのが私たちの仕事です。

何かに夢中になっているとき、人は「シワやシミが目立つんじゃないか」「太っていると思われているのではないか」「前髪が変ではないか」なんていっさい気にしない。そうした“夢中”なときが、人は一番輝き、その人自身の本当の美しさがそこにあるのではないかと思っています。弊社の石鹸は、人と比較しない「自分らしさ」を見つけるきっかけになれると考えています。

ーーこれまでに乗り越えてきた「壁」について聞かせていただけますか。

野田泰平:
好調に業績を伸ばしてきた弊社ですが、コロナ禍で大きな打撃を受けました。決して安価とはいえない石鹸であるため、お客様から「コロナの影響で仕事が減り、P.G.C.D.の石鹸を買えなくなってしまった」というご連絡をいただいたときは本当につらかったですね。売上も落ち、初めて赤字に転落したため、金融機関や取引先などからの信用度も変わり、これまでとは全く異なる日々を送りました。

現在はコロナ禍が落ち着き、お客様からも「新しい仕事を始めて、またP.G.C.D.の石鹸を買えるようになったよ」とご連絡をいただけることが増え、会社のメンバーたちの努力のお陰で、会社の赤字も1年で解消しました。お気に入りの石鹸を使って顔を洗い、楽しいことを見つけて夢中になる──そんな日常が戻ってきているように感じます。

石鹸メーカーではなく「夢中を応援する」企業としての新規事業展開

ーー今後の事業展開について教えてください。

野田泰平:
私たちがつくっている石鹸は、肌本来の力を引き出せるとお客様にお伝えしています。シンプルなケアのみとすることで、レスマネー、レスタイム、レスプロダクトという「3つのレス」を実現する考え方です。ムダなお金や時間やモノにとらわれないで、お客様が本当にやりたかったことに取り組んでいただきたいという思いがあるからです。

私たちはAIを活用してお客様一人ひとりにパーソナライズした提案を行い、一方で動画チャンネルではスキンケアのみならず、おすすめのメイク方法などのレクチャーコンテンツも取り扱っています。

今後の事業展開としては、現在は日本国内だけで販売されているP.G.C.D.の石鹸を海外でも販売したいと考えています。まずは日本の2倍ともいわれている欧米のスキンケア市場に、弊社の石鹸を売り出す構想があります。欧米はECサイトが発達していることもあり、販売や購入がしやすい点も、私たちが欧米市場を最初の海外進出先とする理由の一つです。

また弊社は現在、石鹸だけでなくボディスーツやフェムテック(※)の事業構想も進行中です。ボディスーツは、従来の下着とは違い、血行・代謝促進効果が期待できます。自然な着用感で体調を整えて、窮屈な思いをしない暮らしを送りたいという願いを叶えるものです。

(※)フェムテック:女性が抱える健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービス

さらにフェムテック分野では、「光と香り」の研究を進め、PMSを軽減させる効果を得られるオーガニックハーブを使った製品開発を行っています。瀬戸内エリアの特産品であるレモンやオリーブなどを活かした製品開発を進めると同時に、2025年には製品開発・販売の新拠点となる広島支社も開設予定で、情報発信を始めていきます。

これからも良い製品をつくり続けながら時代に合わせた取り組みを続け、新たな価値を創造していきたいと考えています。

編集後記

2010年の設立以来、「人を美しく」というコンセプトでシンプルなスキンケアを推進し、誰もが自分らしく輝ける時間をつくり続けてきた野田社長。

何かに熱中しているときは誰もが魅力的で、そうしたシーンにこそ真の美しさが宿るという信念を持ちつつ、石鹸をはじめとした生活全般に関わる事業を展開する姿勢が印象的だった。これからも、培ってきた「経営」と、大切にする「美への思い」を融合させながら、同社はますます成長していくことだろう。

野田泰平/1979年、福岡県生まれ。建築学を通じて「人の未来をデザインする」ことに使命感を持ち、大学院でデザインとMBAを学びながら事業を構想。「データと美の融合で新しい価値を創造し、人々の“夢中”をサポート」するべく、2010年に株式会社ペー・ジェー・セー・デー・ジャパンの設立に至る。主力のスキンケア商品から「健康化粧品」として美と健康を一体化させる製品を展開し、持続可能で豊かな生活を提案している。