※本ページ内の情報は2025年4月時点のものです。

「GOOPASS(グーパス)」は、カメラ・レンズのレンタルでは2,500種類以上と日本最大級の規模を誇る一般消費者向けのサブスクリプションサービスである。本サービスを運営しているのは、サービス名を冠したGOOPASS株式会社だ。

同社はビックカメラとの提携により、新品をレンタルし、気に入った場合には購入できる「TAKEOUT RENTAL」など、カメラライフの多様なニーズに応えるサービスを展開している。今回は、代表取締役の高坂勲氏に、このユニークなサービスを立ち上げた背景と今後の展望についてお話をうかがった。

企画力を原動力に、起業への道を歩む

ーー会社設立の経緯を教えてください。

高坂勲:
両親が個人事業主だったことから、幼いころから自由な働き方を身近に見て育ちました。一方で経済的には厳しい時期もあり、経済的な基盤がなければ選択肢が狭まってしまうという現実も痛感しました。この経験から、自由な働き方と確かな収入を両立させるには、自分の事業を立ち上げるしかないと学生時代から考えるようになったのです。

そこで、「起業家輩出企業」として評判だった株式会社光通信に新卒入社し、営業職に配属されました。しかし、すぐに医療機関向けWEB関連事業を手掛ける株式会社GENOVA(ジェノバ)に出会い、転職して創業メンバーとして参画することを決意したのです。12年間在籍し、新規事業の立ち上げから上場準備、財務経理まで、事業運営に必要な幅広い経験を積むことができました。

当時、社内で開催されていたビジネスコンテストで毎年好成績を収めていた私は、その実力が社外でも通用するか試したいという思いを抱くようになりました。そんな中、ビックカメラが他企業と協業の可能性を模索するプロジェクトである「ビックカメラアクセラレーター2017」の存在を知ったのです。

私は参加を決意し、独立して取り組みたい企画を模索しました。WEBディレクターとしての経験から、写真の力を実感していたため、趣味のカメラを活かして、新たなBtoCサービスを構築するアイデアを描いたのです。

人々が写真を撮り、思い出を残す際に、スマホではなく一眼レフカメラを使うことで、より深い感動が得られるのではないか。そんな思いから着想を得た「カメラのサブスク型レンタルサービス」のコンセプトと「GOOPASS」という名称がコンテストで認められ、2017年に弊社(当時はカメラブ株式会社)を設立しました。

「趣味ならGOOPASS」を実現するツアーとコミュニティ

ーー設立後、どのようにサービスを確立したのですか?

高坂勲:
前職の経験を活かしてWEBメディア制作を行いながら事業基盤を固め、「GOOPASS」の先行予約を開始したところ、2,000件もの登録申し込みがありました。しかし、実店舗以上の多くのラインナップを目指したため準備に時間がかかってしまったのです。ようやくサービスを開始したのは、予約開始から半年後の2018年11月でした。

一方、ビックカメラとはコンテストの段階から協議を重ねていたものの、ビックカメラは販売、弊社はレンタルという事業モデルの違いから、協業の実現には時間が必要でした。綿密な準備期間を経て、店頭にある新品の商品をレンタルし、気に入ったら購入できるという「TAKEOUT RENTAL」が実現したのは2020年12月です。

さらに、レンタル後の型落ち商品や、TAKEOUT RENTALで購入に至らなかった商品を販売する「GOOPASS STORE」も展開し、サービスの種類をさらに拡充しています。

ーーサービス面、事業面、それぞれでの強みは何ですか?

高坂勲:
サービス面での最大の特徴は、写真愛好家の心をつかむ絶景撮影ツアーの開催です。たとえば、紅葉が美しい朝のお寺を貸し切ったり、花火の特等席を確保したりと、心に残る一枚との出会いをサポートしています。現在は月に5回から6回程度の開催ですが、今後は年間100回程度に増やす予定です。

もう1つの強みは、ユーザーコミュニティの存在です。「趣味仲間がつくれるならやっぱりGOOPASSでしょ」といった声を多くいただいており、写真を通じた新たな交流の場として確かな価値を創造できていると実感しています。

事業面の強みは、リース会社と提携している点です。在庫はリース会社が保有し、弊社がその運用を受託する仕組みによって、多彩な機種を自由に交換できるサブスクリプション型シェアリングエコノミーを実現しています。このビジネスモデルは高く評価され、ビックカメラをはじめ、ソニーやヤマハなどの大手企業から株主として支持を受けています。

世界に趣味仲間をつくれるサービスを目指して

ーー今後取り組みたいことは何ですか?

高坂勲:
今後注力したいのは、GOOPASS STOREの強化です。ラインナップを拡充し、「借りるならGOOPASS」だけでなく、「買うならGOOPASS」の実現を目指しています。

また、既存のTAKEOUT RENTALとは異なるアプローチとして、GOOPASSでレンタルした中古品を購入できる、あるいは、一定期間の利用後に無料で提供するというサービスも構想中です。さらに、サービスの一部をパッケージ化し、新たなパートナー企業との協業も模索していきたいと考えています。

ーー目指す将来像を教えてください。

高坂勲:
現在、GOOPASSの登録会員数は20万人強で、1つの登録で弊社の全サービスを利用いただけますが、将来的には、カメラだけでなく、楽器やアウトドア用品など、さまざまな趣味にサービスを広げていきたいです。これにより、たとえばカメラ愛好家がアウトドアに挑戦するなど、「趣味の越境」体験を提供できると考えています。

最終的には、「趣味を探すならGOOPASS、趣味仲間ならGOOPASS」と言われるようなサービスを提供し、世界中に趣味仲間をつくることを目指しています。その実現に向け、オンラインだけではなく、全国、そして将来的には世界各地に「趣味ハウス」のような施設を展開し、道具をレンタルするだけでなく、技術を学び、仲間と交流できる場を整えたいですね。

ーー最後に、どのような人を採用したいかをお聞かせください。

高坂勲:
「趣味」という、一般的には事業化が難しいとされる領域を扱っている弊社は、好きなこととビジネスを結びつけ、新たな形をつくり上げていく過程を一緒に楽しめる仲間を求めています。このような挑戦に共感していただける方は、ぜひ弊社の求人情報をチェックしてください。

編集後記

高坂社長が語る事業のビジョンからは、強い情熱と明確な目的が感じられた。次々と飛び出すキャッチコピーには、練り上げられた事業の本質が凝縮されており、確かな手応えと説得力が随所に垣間見える。豊富な経験と独自の視点から生まれる高坂社長の表現は、聞く者を納得させる力があり、会社の成長を牽引する原動力として際立っている。GOOPASS株式会社が掲げる「趣味ハウス」の世界展開という目標が、現実となる日が待ち遠しい。

高坂勲/1983年生まれ、神奈川県出身。株式会社光通信を経て、医療系WEB企業である株式会社GENOVAに創業メンバーとして入社。ビックカメラアクセラレータープログラムをきっかけに独立し、2017年カメラブ株式会社を設立。2023年、社名をサービス名と同じGOOPASS株式会社に変更。