※本ページ内の情報は2025年3月時点のものです。

株式会社ベータテックは、ICT事業・教育研究事業・人材派遣事業を行う多角企業だ。1998年の設立当時は、携帯電話が普及しはじめた頃であり、通信事業者やサブコン等と連携して基地局の設置工事・保守をメインに手がけ業績を伸ばしてきた。現在も、事業の柱は無線技術に関連しており、社内外で有資格者の育成も積極的に行っている。

同社を設立し、25年以上にわたり会社を経営してきた代表取締役の大竹丈夫氏に、これまでの経緯や今後の展望などについて話をうかがった。

15年勤めた仕事を辞めてチャレンジした会社経営

ーー会社設立までの経緯を教えてください。

大竹丈夫:
私はもともと、愛知県内で大学などを運営する学園に教員として15年間勤めていました。私が在籍していた頃、学園は急成長を続けていました。

学園の理事長とは同じ出身地ということで、イチから2万人規模の学校をつくり上げた経営者という観点からも大変尊敬しています。さまざまな話を聞く中で、徐々に「自分でもイチから何かを立ち上げ、経営してみたい」という思いが強くなり、学園を退職してベータテックを設立したのです。

ーー会社を設立する際、事業内容は決めていたのでしょうか。

大竹丈夫:
理事長に背中を押してもらったこともあり、弊社を設立することになりました。どのような事業をするか、と考えた時に、当時は携帯電話が発売され、広まっている最中だったので「無線技術関連の事業をしよう」と決めました。

弊社の創業メンバーとなった学園時代の教員仲間と教え子が無線技術に精通していたことも、事業の柱を無線技術関連にした決め手です。

実際に会社を経営するのは初めてだったため、大手企業にも飛び込み営業をして断られる経験も数多くしました。しかし、学園で学んだことを活かし無線技術関連の仕事をしている卒業生が、大手企業から中堅・中小企業にまでたくさんいたのです。

そうした人脈を使って取引先をコツコツ増やしていきました。特に通信事業者に勤めている卒業生が多かったため、携帯電話基地局の仕事を順調に伸ばすことができたのは、非常にありがたいことでしたね。

ーー現在手がけている事業について教えてください。

大竹丈夫:
ICT事業に加え、高い技術を持つ人材を育成するための教育研究事業も事業の柱の1つです。たとえば、クライアント向けの技術を学べるe-ラーニング講座の実施などです。

弊社では、第1級総合無線通信士・第1級陸上無線技術士などを持つハイレベルな技術者や、工事関連の有資格者が多数在籍し活躍しています。クライアントのニーズに応じて、このような技術を惜しみなく社外に伝えることで、あらゆる面から信頼を得られると考えたことから、教育研究事業を手がけています。

今、世の中に必要な目の前の仕事を大切にする

ーー今後の事業展開について教えてください。

大竹丈夫:
5年後・10年後といった未来を予想するよりも、今世の中に必要とされていることを見つけ、どんな仕事にもコツコツ取り組んでいきたいと思っています。

現在弊社は、親会社である「株式会社サンコーシヤ」と協働し、新たなプロジェクトを立ち上げています。弊社の強みである無線技術関連の知識やネットワーク通信の基盤をつくるネットワークインフラ事業のノウハウと、サンコーシヤの強みである雷防護製品、雷情報提供サービスの製造販売の知見を融合させて、時流を読み、世の中に必要とされる事業をつくっていきます。

ーーどのような方と、どのような会社にしていきたいとお考えですか。

大竹丈夫:
弊社には、年功序列の雰囲気は一切ありません。入社年次も関係なく、技術力や成果などを見て昇給・昇格していく制度としています。

年間30回ほど行っている中学生・高校生向けの講演でも、「学歴や入社年といったプロフィールではなく、優しい性格や信頼関係構築が得意などといった人柄こそが世の中で評価されている」と伝えています。有名大学を出ていなくても、浪人・留年をしていても、弊社では関係ありません。私や上司などをマネするのではなく「自分はこうやりたい」と私に言ってくれる方だと頼もしく思いますね。

また、現在弊社は社員数が100名を超えており、さまざまな体制を整えています。具体的にはISO9001などの認証を取得することで、仕事の品質や進め方などを統一すると共に、社員が安心して働けるような、信頼できる会社にしていきたいと思っています。

編集後記

長く勤めた学園を退職し会社経営にチャレンジするほど、何事にも意欲的な姿勢を持つ大竹社長。現在でも社内体制の整備・新規事業企画などを続け、時流を読み柔軟に変化していく姿勢が印象的だった。携帯電話の普及に目をつけて成長してきた同社は、今後も新たな視点を持ち挑戦を続け、成長していくことだろう。

大竹丈夫/1959年生まれ。愛知県内に大学を中心に運営する学校法人に15年勤務したのち、同僚の教員と卒業生の3人で1998年にベータテックを創業し、代表取締役に就任。現在に至る。