※本ページ内の情報は2025年4月時点のものです。

1967年の創業以来、オフィス空間に特化した内装のデザイン・設計・施工会社として歩んできた株式会社ソーケン。企画から施工までをトータルに担える体制を構築し、外部から「任せて安心ソーケンさん」と親しまれる存在だ。

外部だけではなく、社員もその家族にも幸せになってもらいたいという思いから「人に優しい就業規則」を設けるなど、福利厚生面で他社と異なる特徴を打ち出している。その背景にはどのような思いが込められているのか。代表取締役社長の有吉徳洋氏に話をうかがった。

実直さを胸に刻んだ経営者の歩み

ーー社長就任までの経緯を聞かせてください。

有吉徳洋:
鉄道が好きだったことから、高校卒業後は観光の専門学校を経て旅行会社に就職しました。しかし、弊社創業者の父は激しく反発し、取引先での修行を望んでいたのです。母からも「あなたは跡取りなのだから」と幾度となく諭され、その言葉が胸に響き、弊社への入社を決意しました。

入社後10年間は営業として現場管理に従事していましたが、2004年8月、父の急逝により、私が突如後を継ぐことになりました。

ーー仕事をする上で、大事にしていることを教えてください。

有吉徳洋:
高校と専門学校の恩師から、偶然にも同じことを言われたことがあります。その言葉には、「実直」や「誠実」という意味が込められているとポジティブに捉え、また、それが自分への評価だと受け止めました。それ以後、私は、これを心に刻み、今も仕事に誠意を持って向き合っています。

一貫体制と正社員主義が実現する高品質なオフィス空間

ーー貴社の事業内容と特徴についてお聞かせください。

有吉徳洋:
オフィス内装業の先駆けとして1967年に設立された弊社は、オフィス空間に特化した内装のデザイン・設計・施工会社として歩みを進めてきました。近年ではショールームや美術館、博物館の内装、さらには店舗再生など、幅広い分野に事業を展開していますが、主軸は、オフィス内装のデザイン・設計・施工です。

内装工事業界では営業が主力で、その他の業務を外注する会社が多い中、弊社は企画・デザイン・施工・家具納品と、オフィス内装に関わる一連の流れを一手に引き受けています。営業、設計、施工管理の3つの部署を緊密に連携させることで、企画から施工、家具の納品までを一貫して対応できる体制を構築しているのです。

このような体制が評価され、「任せて安心ソーケンさん」というあだ名をいただきました。「ソーケンに任せれば、期待以上の仕上がりになる」との信頼を得られているのは、外注に頼らず、ほとんどの工程を自社で手がけているからこその評価だと受け止めています。

ーー貴社の事業の強みは何ですか。

有吉徳洋:
先にお話しした一貫対応の仕組みは、弊社の「特徴」であると同時に「強み」にもなっています。加えて、もう一つ、次のような強みがあります。内装工事では、多重下請け構造が一般的で、現場にいる職人が元請けを把握していないケースも少なくありません。

こうした構造は、信頼性や品質の低下を招きかねないのですが、弊社ではそのような事態を防ぐため、現場対応は原則として正社員が担当し、下請けに出す場合でも二重請けまでにとどめるルールを設けています。つまり、現場に向かうのは基本的に正社員です。そして、このこともまた、弊社の強みの一つなのです。

これにより、現場のスタッフは発注元をしっかり把握し、責任感を持って仕事に取り組めます。それが結果として、仕上がりの品質維持につながると私は考えています。

社員と家族を支える一歩先を行く福利厚生制度

ーー社員の福利厚生については、どのようにお考えですか。

有吉徳洋:
私は社員自身だけでなく、その家族にも幸せを感じてもらえる環境を目指しています。社員が人生の多くを仕事に費やす以上、やりがいを持ちながらストレスの少ない職場で働くことが重要だと考えています。その結果、会社の利益が向上し、利益を社員に還元することで本人や家族にさらに幸せをもたらす。このような好循環をつくり出すことを理念に掲げています。

福利厚生は、この好循環を支える重要な仕組みです。弊社では「人に優しい就業規則」を基盤に、独自の福利厚生制度を構築しています。これらの取り組みには、「社員が安心して働ける環境を提供し続ける」という思いが根底にあり、結果として、家族も間接的に幸せを感じられれば、それが一番の喜びです。

ーー具体的に、どのような取り組みをされていますか。

有吉徳洋:
たとえば、社員の結婚や出産、家の新築といった祝い事の際には、社員のパートナーが選んだ家電を贈呈しています。現金を贈ると忘れられてしまいますが、家電は日常で目に触れる機会が多く、「これは会社からの贈り物だ」と思い出してもらえる。これが社員のモチベーション向上や家族の幸福感につながると考えています。

また、がんや生活習慣病など特定の病気に罹患した際には、治療に専念できるよう3か月間の休職を認めています。この間は有給休暇の消化を必要とせず、給与も全額保証する制度を整えました。こうした制度は珍しく、社会保険労務士の先生からも高い評価をいただいています。

従業員のことを考えた福利厚生は、社員にも評価されているのではないかと自負しています。弊社には美容師から転職してきた社員がいます。彼女は、弊社の社員が顧客として来店した際に、会社を褒めていたことがきっかけで入社を決めたとか。多くの顧客が職場の不満を語る中、弊社の社員だけが会社を称賛していたことが心に残ったといいます。とても嬉しいエピソードです。

編集後記

「任せて安心ソーケンさん」と親しまれるその評判の裏側には、一人ひとりの従業員が真摯に仕事に向き合う姿勢がある。だが、その信頼の土台を築いているのは、「社員の幸せなくして、会社の成長なし」という有吉社長の思いではないだろうか。それが社員の心に響き、会社全体の結束力となっているのだろう。

こうした企業が増えれば、多くの人が誇りを持って働ける社会が広がるに違いない。株式会社ソーケンのさらなる飛躍を心から期待したい。

有吉徳洋/1968年、北海道登別市生まれ。東京工学院東京エアトラベル専門学校卒業後、旅行会社に就職。2年間、営業を学んだ後、株式会社ソーケンに入社。2004年、同社代表取締役社長に就任。本業である内装業の経営に注力する一方で、CSR(社会貢献活動)にも積極的に取り組んでいる。現在、町田デザイン専門学校の特任講師、高千穂大学の経営学部【起業・事業継承コース】のアントレサポーターも務めている。