※本ページ内の情報は2025年4月時点のものです。

株式会社ネットオンは、中小・地方企業に特化した採用マーケティングツール「採用係長」を運営する企業だ。代表取締役の木嶋諭氏は、同サービス誕生の背景に、中小企業が持つ採用の課題があると語る。「採用係長」の特徴や強み、また同社の今後の展望についてうかがった。

求人業界の変革を察知しサービスをローンチ

ーー創業までの経緯をお聞かせください。

木嶋諭:
祖父や父が会社を経営していたため、幼い頃から漠然と自分も起業したいと考えていました。

具体的に考え始めたのは2000年代初頭です。当時は「ドリームゲート」という経済産業省後援の起業支援プラットフォームが誕生した頃で、また、ちょうど第1次インターネットブームが起きていた時でもありました。新興IT企業の躍進をメディアで目にする中で、自分もインターネットで何かできるのではという思いが醸成されていきました。そして2004年に、弊社の前身となる有限会社グロービズを創業しました。

ーー「採用係長」誕生の背景を教えてください。

木嶋諭:
「採用係長」の誕生には2つの要因があります。

創業当初はサイト作成や、システム作成、集客など、WEBに関連する受託事業を行っていました。その中でも特に、採用は成果がわかりやすく、またお客様の反応も良かったため、成功実感があったというのが1つです。

もう1つは、求人業界の変革が起こり始めていたことです。それまで日本の求人広告は、1ヶ月や1年単位で掲載料を支払う「カタログ型」が中心でした。一方でアメリカには、求人広告をクリックした時にだけ費用が発生する「クリック型」の求人も存在していました。

2012年にリクルート社がアメリカのIndeed社を買収したことで、今後、日本もクリック型の求人形態が増えるのではないかと感じていました。弊社はそれまで集客目的でクリック型の広告を運用していたため、その知見を採用業界で生かせると考えたのです。

ーー中小企業をターゲットにしたのはなぜでしょうか。

木嶋諭:
中小企業のお客様から、カタログ型の求人広告の課題をうかがっていたのが理由ですね。

カタログ型の求人広告は、費用を払った分だけサイトの目立つ場所に掲載されます。裏を返せば、採用の予算が限られている中小企業は、目立つ枠を取れないため成果が出にくいということでもあります。

また、求人サイトだけでは会社の一次情報や採用情報を十分に発信できず、場当たり的になってしまう点も課題でした。企業で採用ページを作成できれば良いですが、中小企業の場合マンパワーが足りない現状もあります。

クリック型の求人広告を運用し、同時にそれぞれの企業の採用ホームページをつくることができたら、中小企業の採用がもっと良くなるのではと考えたのです。

採用ブランディングから選考までシームレスに支援

ーー改めて、貴社の「採用係長」について教えてください。

木嶋諭:
「採用係長」は、中小・地方企業向けの採用マーケティングツールです。主な機能として、「採用ブランディング」「採用プロモーション」「採用選考」の3つがあります。

「採用ブランディング」では、企業の採用ホームページの作成が可能です。求人情報の記載には、厚生労働省が推奨するルールがあります。「採用係長」には、最低限守らなければいけない表現方法や、留意すべき記載内容を都度指摘するツールが搭載されているため、アドバイスを受けながら効果的な採用ページを作成できます。

「採用プロモーション」は、応募者を集め求人を見てもらう機能です。具体的には求人ボックスやスタンバイなど、求人に特化した検索エンジンと連携し、広告を掲載します。プロモーションをより強化したい場合、有料広告を出すことも可能です。

「採用選考」では、クラウド上で応募者の選考管理を行えます。また、面接のやり方や面接質問項目のテンプレートを確認できるなど、選考に慣れていない方に活用していただけるサービスもあります。

「採用係長」は無料プランと有料プランがあり、有料プランは全部で5種類です。有料プランでは、応募者にリーチしやすい有料広告を出したり、弊社の専任担当がついて伴走、アドバイスをもらえるなど、より成果につながりやすい使い方をしていただけます。

ーー「採用係長」の特徴と強みは何でしょうか。

木嶋諭:
特徴は中小企業に特化しているところで、強みはサポート力です。中小企業の採用担当者様は、他の業務と兼業している場合がほとんどです。そのため、採用における法律的な知識やコンプライアンス意識などで、マーケティングまで手が回らないという現状があります。そこを「採用係長」がサポートし、システムの使い方や採用ページの作成、プロモーションなど、採用の各工程を伴走します。

また、中小企業の場合、採用サービスは高機能さよりも使いやすさ、分かりやすさが求められる傾向があります。そのため、UIやUXも中小企業の方に合わせて開発しています。

ひとくちに中小企業といっても、職種や採用方針などさまざまですから、企業の状況に応じた対応を都度行っていく形です。

中小企業の採用をサポートし、日本の産業発展につなげる

ーー今後の展望について教えてください。

木嶋諭:
大きな方向性としては、「採用係長」を一過性の採用だけではなく、人の雇用の根本的な問題解決ができるサービスにしていきたいと考えています。

雇用者が企業に定着し活躍するという土台まで持っていくには、前提となる雇用条件や残業、給与に対する考え方など、採用や人の雇用に関しての根本的な考え方をアップデートしていく必要があると感じています。

採用支援をやっている会社の社長として、私もある程度のノウハウはお伝えできます。抽象的な表現になってしまいますが、ゆくゆくは採用ノウハウなどの情報を体系化し、再現性が持てるクラウドサービスに落とし込みたいと考えています。

事業のベースとして、中小企業向けにサービスを展開することで、日本の産業発展に寄与したいという思いから、Youtubeに「キッシー社長の採用道」というチャンネルを開設し、情報を発信しています。もし採用で悩んでいる中小企業の方がいらっしゃったら、ぜひ「採用係長」と「キッシー社長の採用道」を活用していただけたらと思います。

編集後記

採用に悩みを抱える中小企業は多い。採用活動だけでなく、定着や企業の発展まで見越してサービスを展開する同社は、中小企業の頼もしい味方となっていくだろう。同社のさらなる活躍に期待したい。

木嶋諭/1980年兵庫県生まれ。同志社大学を卒業後、特許事務所や大手通信会社系コンサルティング会社を経て2004年に有限会社グロービズ(現在の株式会社ネットオン)を創業。採用マーケティングツール「採用係長」の運営や採用Webマーケティング事業を行う。2024年からYouTubeでの発信も開始。