※本ページ内の情報は2025年4月時点のものです。

匠Lauren株式会社は、インターネット広告の運用やWebサイトの企画・制作、予約システム事業などを行う会社だ。競争の激しいビジネス社会で勝ち残る企業になるため、ITソリューションで中小企業の支援を行っている。

前職で営業部長昇進の最年少記録を打ち立て、そこから起業を決意した背景や、2億円もの負債を抱えてからの逆転劇など、代表取締役社長の金井匠氏にうかがった。

自分のビジネスマンとしての実力を試すため、起業を決意

ーー新卒でIT企業の営業職を選んだ理由をお聞かせください。

金井匠:
IT企業を選んだのは、何となくかっこいいからという単純な理由でした。当時は明確な目標もなく、とにかくたくさんお金を稼ぎたいという思いが強かったです。若かったこともあり、きっと自分が成功できるといった根拠のない自信はありましたね。

ただ、私は大学時代に留年しており、他の学生と比べてハンデがあると思っていました。それが社会人としてのスキルに関係があるのか、自分自身の能力がどの程度なのか知りたいといと思い、実力が可視化しやすい営業職を選びました。

入社後はトップを目指し、がむしゃらに働き続けました。すると2年半で営業部長に昇格し、50人の部下を抱えるようになったのです。

ーー順調な会社員生活を送る中、起業したのはなぜですか?

金井匠:
入社してあまり間を置かずに組織のトップとなり、この先は会社の役員か、子会社の経営者になることが予想できました。そのため、一から事業を立ち上げ、自分の可能性を知りたい、どこまでいけるのか試してみたいという思いが強くなり、起業を決意しました。

教育をする上で重要な社員へのポジティブな刷り込み

ーー創業期はどのような苦労がありましたか。

金井匠:
営業未経験の人ばかりだったので、仕事の8〜9割は私が営業に出向き、社員の指導も行っていました。その間に経営管理などの社長業もしなければならず、本当に大変でしたね。

また、社長としての自分自身の甘さが理由で、代理店との契約トラブルが起こり、2年の間裁判を行い、創業から5年目の頃には2億円近い負債を抱えてしまったのです。

そのような逆境の中、社員全員が目先の稼働を頑張ってくれた結果なんとか経営体制を立て直すことができたのです。

社長としての甘さやある意味天狗になってしまっていた自分自身の改心を行い、組織体制が少しずつ整ってきた今では社員数が100名にまで増え、業績も安定しています。

ーー社員教育を行う際に意識していることを教えてください。

金井匠:
たとえばコロナ禍のときは、対面で行っていた商談をオンラインに切り替えるなど、初めてのことばかりでした。こうした新しい挑戦をするときは、実際は難しいことも社員にはあえて「すごく簡単だよ」と伝えています。

先陣を切る私が難しい顔をしていると社員も不安になってしまうので、平気な素振りを見せていますね。そうすると、社員たちは「自分でもできそう」と前向きな気持ちで仕事に取りかかれるのです。

また、自分の言葉で説明できるようにするため、自分が現場に出ることを大切にしていますね。こうして果敢に挑戦する姿勢を見せ、後に続く社員の手本となることを心がけています。

地道な修正作業を重ね、広告効果の向上と顧客の信頼を獲得

ーー改めて貴社の事業内容を教えていただけますか。

金井匠:
弊社はWebサイトの企画・制作や、Webマーケティング事業、インターネット広告事業などを手がけています。完全成功報酬型SEO対策事業「匠SEO」では、サイト記事などのコンテンツをつくり込み、検索順位を上げていく施策を行っています。検索エンジンで上位表示させることでアクセス数を増やし、集客などにつなげられるのがメリットです。

Google口コミ対策事業の「匠Review」は、Googleの口コミ投稿数を増やし、新しい顧客の獲得を可能にする対策を実現するシステムです。継続的に口コミを積み上げ、競合店との差別化を図る仕組みを構築を支援します。

予約システム事業である「匠Assist」は会員登録を不要とした予約システムです。こちらを導入することでオンラインでの来店予約の動線をつくり、低コストでの集客を実現できます。

SNSや動画広告事業の「匠BUZZ」は、YouTubeやTikTokなどのSNSで流れる広告動画の企画・制作を行っています。

各企業ならではの強みや特徴を動画に盛り込み、その会社の魅力が伝わるよう工夫しています。また、住んでいるエリアや性別、年齢、趣味嗜好をもとにターゲットを絞り込み、商品やサービスに興味がありそうな方に発信していることも特徴です。

ーー貴社の強みについてお聞かせください。

金井匠:
私たちの1番の強みは、創業5年で自社プロダクトの種類が豊富な点であり、すべてそれを内製化していることです。また、クライアントとのやりとりもスムーズでき、そこも好評をいただいております。

自社ですべての業務を巻き取り、一定の効果を見込めるため、SNSで自社のPRをしたいけれど、運用方法がわからないという企業様に重宝されていますね。

また、複数の事業を展開することで、経営基盤の安定を図っています。多くのベンチャー企業では、ひとつの事業で業界のトップを狙いがちです。しかし、その事業が上手くいかなければ売上が立たないので、経営的にはリスクが高い行為です。

そのため弊社はトップを狙うのではなく、一定の利益を獲得できる事業をいくつか展開し、リスクの分散をしています。さらに動画広告事業では、コンテンツを作成して終わりではなく、公開後も継続的な修正を行っています。

投稿後のパフォーマンスを見ながら修正するのは手間がかかりますし、追加コストも発生します。しかし、改善を重ねることで、より広告効果を高められるのです。そして、修正を重ねるためお客様との関係が途切れにくく、新たな依頼につながりやすいのも重要なポイントです。

ーー新規事業のアイデアはどのように生まれるのでしょうか。

金井匠:
私だけでなく、役員も含めてアイデアを出し合っています。特に重視しているのは、お客様との対話の中で相手のニーズを汲み取り、事業のヒントを得ることです。そのため、自分たちの想像を膨らませるよりも、営業現場で直接聞いた声を形にしていくことが多いですね。

上場に向けた今後の取り組みについて

ーー今後取り組みたい課題について教えていただけますか。

金井匠:
部長レベルの中間層の人材が不足していることですね。この課題を解消すべく、外部研修も取り入れながら中間層の人材育成を進め、外部からも人材を獲得したいと思っています。私たちが求めているのは、執着心のある人材です。

すぐに結果が出なくても諦めない、しつこさを持った人がいいですね。自分が決めたことを何があってもやり遂げるといった、振り切った人を求めています。

ーー最後に将来のビジョンをお聞かせください。

金井匠:
今後5年以内の上場を目指しています。そのために、自分たちにしかできない新しいサービスに取り組んでいきたいと考えています。今考えているのが、顧客の集客につなげる自社メディアの開設です。

これからさらに構想を練り、弊社の核となる事業にしていきたいですね。これからも実業家として、どのような事業をつくろうかとワクワクしています。事業の収益よりも、自分が考えた事業がどこまで世間で通用するか知りたい欲の方が強いですね。

これからも情熱を持って仕事に取り組み、社会に新たな価値を提供する企業を目指して邁進していきます。

編集後記

前職で華々しいスタートを切る中、さらなる成長の機会を求めて起業家となった金井社長。経営者となった今も、さらなる高みを目指す挑戦心とバイタリティを感じた。匠Lauren株式会社はこれからもITソリューションを活用し、中小企業の成長に貢献していく。

金井匠/1992年埼玉県生まれ。亜細亜大学卒業後、某上場IT企業に入社。入社から2年半、25歳という最年少で事業部長に昇格し、その後独立。2019年に匠Lauren株式会社を設立。