※本ページ内の情報は2025年5月時点のものです。

共同カイテック株式会社は、バスダクト、OAフロア、屋上・壁面緑化システムなど、技術を生かした独自の製品の設計・製造・販売を行う環境設備メーカーだ。主力事業であるバスダクトシステムにおいては、専門メーカーとして60年以上の歴史を誇る。同社の事業の強みや特長はどのようなところにあるのか。代表取締役社長を務める吉田建氏に話をうかがった。

バスダクトのメリットを説明し事業を躍進

ーー社長就任に至るまでのご経歴をお聞かせください。

吉田建:
私の父が弊社の前社長であったため、幼い頃から家業を継ぐことを漠然と意識していました。しかし、弟が3人いることに加え、自分の好きな道を選びたいという思いも強く、大学卒業後はコンピューター関連の会社で3年間営業職に従事。その後、父から「そろそろ、どうなんだ?」と言われて、2000年に弊社に入社した次第です。

入社後は3年間の研修で弊社の事業全般について幅広く学び、研修修了後は大阪で支店長を務めることになりました。まずはスタッフの顔と名前を覚えることから始め、大阪で別々に拠点を構えていたバスダクト事業部とOAフロア事業部の拠点を統合し、事業部間の連携を強化しました。それと同時期に屋上緑化の環境事業部の大阪営業所も立ち上げ、三事業部体制を構築。営業効率の向上と、顧客への提案の幅を広げることに成功したのです。

その後、東京本社に戻ってバスダクト事業部長に就任したのですが、当時は今のように潤沢に利益計上で来ていたわけではなく、業績面で苦戦している状況にありました。バスダクトは、ケーブル配線に代わって建物や産業施設に電流を供給する画期的な電力幹線用部材です。しかし、当時はバスダクトの認知度が低く、価値がまだ十分に理解されていない状況でした。

そこで、私は「より大容量の電気が流せる」「途中からの分岐が容易で柔軟な電力供給が可能」といった、ケーブルにはない利便性・優位性を説明しながら、少しずつバスダクトの認知を広げていくことに注力したのです。ケーブル材料の銅価格の高騰など世の中の追い風を受け止めるなどの後押しもありましたが、地道な取り組みが実を結び、今では弊社の主力事業に成長しています。

2012年に、「40歳になる前に、少しでも早く社長になった方がいい」と父からアドバイスがあり、39歳で代表取締役に就任しました。この役職に就くことは大きな挑戦でしたが、これまで以上に会社を発展させるべく尽力しています。

3つの事業で環境配慮型の製品を提供

ーー現在は、どのような事業を展開していますか?

吉田建:
弊社は、環境設備メーカーとして、バスダクトやOAフロア、屋上・壁面緑化システムなどの設計・製造・販売を行っています。

バスダクトは、前述したメリットを兼ね備えた電力を供給する設備です。現在、データセンターの需要増加に伴い、大電流を省スペースで供給できる点が評価されています。製品は全てオーダーメイドの受注生産で、建物に合わせた最適な設計を提供しています。

OAフロアとは、床下に配線を収納するための床材です。昔は新築の建物に使われることが少なく、後からOAフロアの床に変えることが多かったのですが、最近は新築案件での採用も増えてきました。

屋上・壁面緑化は、ヒートアイランド現象や都市緑地の減少、ゲリラ豪雨による内水氾濫対策として、注目されているシステムです。環境配慮型のシステムとして、近年、都市部での需要が増えています。

ーー貴社ならではの強みや特長を教えてください。

吉田建:
バスダクトは前述したとおりですが、OAフロアに関していえば、配線のしやすさと耐久性、歩行感の快適さに優れており、長期使用にも適していることが特長です。施工から内装工事まで一括で提供するワンストップサービスも強みですね。

中でも主力製品の「ネットワークフロア」に関しては、リユースやリサイクルが可能であり、環境配慮型の製品として高く評価されています。20年前という、かなり早い段階でリサイクル可能なOAフロアの製造・販売を行っていたことは、他社には追随できない強みといえるでしょう。

また、「スクエアターフ洪水無用」という弊社の屋上緑化システムは、雨水流出抑制機能と、屋上緑化を兼ね備えた製品です。一般的に雨水を貯留するシステムは地下につくられることが多いのですが、それを屋上で可能にしました。雨水は一時的に貯留槽に溜まり、24時間以内に動力なしで下水に排水される仕組みになっています。「雨水流出抑制対策量」と「緑地面積」の両方の法規制に対応できる製品を提供しているところも、弊社の強みです。

海外進出でさらなる成長を目指す

ーー最後に、貴社の今後のビジョンをお聞かせください。

吉田建:
さらなる市場拡大を目指して、海外展開を推進したいと考えています。実は、2017年にマレーシアに進出したのですが、2024年に撤退したばかりです。コロナの影響を受けるなど、さまざまな事情から手を引きましたが、バスダクトやOAフロア製品は海外市場でも十分な需要が見込まれるため、東南アジア市場への本格的な再進出を検討しています。

また、既存の3事業に加えて新規事業も開発したいですね。2050年の創業100周年には、2事業ほど増やしたいと考えています。国内市場と海外市場の双方を取り込んで、さらなる成長を目指す方針です。

編集後記

2012年の社長就任以来、10数年にわたって事業を成長させてきた吉田社長。「今後は一歩一歩、必要な課題に着実に取り組み、企業として成長したい」と語っている。海外進出や新規事業開発などに意欲を見せる共同カイテック株式会社の未来は、どのような広がりを見せるのか。さらなる飛躍に期待が寄せられる。

吉田建/1973年東京都生まれ。法政大学経営学部卒業後、IT専門商社に入社。2000年に共同カイテック株式会社に入社し、大阪支店長、バスダクト事業部長などを経て2012年に同社代表取締役社長に就任。2019年よりDC ASIAの代表取締役社長も兼務。