
ピコグループは世界36都市にネットワークを持つグローバルイベント会社である。その日本法人が、ピコ・インターナショナル株式会社だ。展示品の輸送や会場設営だけでなく、イベントの企画や企業のブランディング戦略の立案までトータルでサポートしている。
同社に入社したきっかけや、他社との差別化ポイント、一期一会の仕事の魅力などについて、代表取締役社長の大出 隆氏にうかがった。
海を渡り物資を届ける仕事に興味を持ったきっかけ
ーーまずは大出社長のご経歴についてお聞かせください。
大出 隆:
海外と接点のある国際的な仕事に就きたいと思い、大学で英語を専攻しました。卒業後は外資系の商船会社に入社し、横浜港で世界各国から来る船舶の入出港管理を担当していました。英語でやり取りをしながら、港湾荷役・入出港業務における対費用効果を最大にする手配業務に、とてもやりがいを感じ、仕事にのめり込んでいきます。
その後、東京勤務になり、営業部門に異動になりました。しかし、サービスの付加価値による競争ではなく、価格の安さや接待で仕事が決まることに物足りなさを感じてしまったのです。そこから現場を取り仕切り、サービスの付加価値に差が出せるプロジェクトマネジャーの仕事に興味を持つようになります。
そのときに見つけたのが、展示会でブース設営を行うプロジェクトマネジャーの募集広告です。当時は日本企業が海外の展示会に続々と出展していた時期で、通信機器メーカーなどが世界各地で大規模な展示を行ってました。その中でも、この仕事は面白そうだと思ったのがピコ・インターナショナルで、それをきっかけに入社を決めたのです。
グループの力を活かし、大規模プロジェクトを成功に導く度胸と緻密な計算

ーー改めて貴社の事業内容と強みについてお聞かせください。
大出 隆:
大規模イベントや企業展示会などのブース設営に関する仕事を総合的に手がけています。もともとは展示会ブースのデザインと施工からスタートしましたが、現在では企業のブランディング戦略からイベントの企画、設営まで幅広く展開しています。
弊社の強みは、他社が手を付けない業務まで請け負っている点です。物流部門を担当するフェアトランス社では出展品を輸送するだけでなく設置から動作確認まで行っています。
そのためお客様からは、別の業者へ設置を依頼する手間を減らせると評価をいただいています。また、これまで弊社は、自動車や繊維機械、工作機械、通信機械など、一般では取り扱いが難しいとされる製品の搬送も取り扱ってきました。
こうしたノウハウを活かし、お客様の大切な製品を傷つけず、スムーズな搬送をしてきた豊富な実績が信頼につながっています。
ーー貴社の強みについてお聞かせください。
大出 隆:
弊社の強みは、常に自社のユニークセリングポイント(USP)を追求し、進化を続けていることです。もともとは展示会ブースの施工会社からスタートし、展示会のデザインも手がけるイメージビルダーとしての役割を確立してきました。
展示会における企業のブランディングもサポートしているため、お客様は自分たちの業務負担が減り、なおかつ効果的なPRができるのがメリットです。また、資材調達力も大きな強みですね。
ピコグループは世界36都市に拠点があるため、日本国内だけで資材を調達する場合に比べ、コストを削減できます。たとえば東京オリンピックの際は、観客席用の資材を中国から調達することで大幅なコストカットができる点をアピールし、およそ40億円の受注につながりました。
こうした大規模プロジェクトは、失敗すれば自分たちが大きなリスクを被るため、度胸と緻密な計算の両方が不可欠です。この点が弊社は得意であるため、東京オリンピックでは真っ先に入札が決まり、オリンピックの運営に貢献したことで大臣から感謝状もいただきました。
こうした弊社ならではのユニークセリングポイントが、他社との差別化になっています
スケールが大きく達成感のある仕事は他では味わえない

ーー貴社で働く魅力についてお聞かせください。
大出 隆:
オリンピックやイベントの会場設営など、他社では経験できない一生に一度の仕事ができることですね。イベント会場はあくまで仮設なので、イベントが終われば形としては残りません。
しかし、イベントにお越しいただいた人々の心には深く残ります。そして一緒に仕事をした仲間はあらゆる厳しい条件をクリアするために一緒に戦った戦友なので、その経験は一生の財産となります。そのため、これほど楽しくやりがいのある仕事は他にないと思いますね。
また、ピコグループには各専門チームがあり、世界的に有名なテーマパークの会場設営に関わるチャンスもあります。このように多くの人に触れる施設の運営に関われる仕事のため、家族や友人に「これは私がつくったんだよ」と自慢できるのも魅力のひとつですね。
ーー貴社が求める人材について教えていただけますか。
大出 隆:
社内外で海外の方と接する機会が多いため、少なくとも英語が話せることは必須ですね。それに加え、チャレンジ精神と忍耐力を持った方を求めています。
私たちの仕事は同じものはなく、毎回が挑戦です。また、イベントや展示会の運営には多くの関係会社の方との折衝が不可欠で、ハプニングが起こるたびに対応していかなければなりません。そのため、新しい挑戦を楽しめる方、最後まで粘り強く取り組める方がいいですね。
なお、弊社は社員の約4割が外国籍と、海外の人の比率が高いのが特徴です。そのため国籍はもちろんのこと、年齢や性別は一切問いません。実力主義のため、若手の方も活躍できる職場です。クリエイティビティを高めるためにも、背景や得意分野が異なる人たちが集まった、個性豊かな組織にしていきたいと思っています。
現在、デジタルコンテンツのクリエイターやデザイナー、一級建築士、プロジェクトマネージャー、営業職など、多くの領域で人材を募集していますので、弊社に興味を持たれた方はぜひお越しください。
ーー最後に今後のビジョンについてお聞かせください。
大出 隆:
誰もが「ピコ・インターナショナルはすごい」とうらやむような、大規模プロジェクトを手がけていきたいです。現状維持は後退なので、常に新しいチャレンジを続け、企業の価値を高めていきます。
また、私が「No dream, No Result(夢を見なければ実現はない)」をモットーにしているように、社員たちにも自分の夢を持ってもらいたいと思っています。一人ひとりが描く夢の実現に向け、全力でサポートしていきます。
編集後記
自社が行う仕事の魅力について、熱く語ってくれた大出社長。何万人もの人が訪れるイベントの会場設営を手掛け、世界各国から物資を集める同社の仕事は、困難が多いからこそ大きな達成感を味わえる仕事なのだと感じた。ピコ・インターナショナル株式会社はこれまで培った実績とノウハウ、グループのパワーを活かし、これからも人々に感動を与えるイベント運営をサポートしていくだろう。

大出 隆/立教大学英米文学科卒業。新卒でエヴェレット汽船に就職し、その後ピコ・インターナショナル株式会社に転職。1998年にイベントロジスティクスを専門にするフェアトランスインターナショナル株式会社を設立。2008年、中国で北京五輪などの仕事を手掛けた後、日本に戻りピコ・インターナショナル株式会社の代表取締役社長に就任。座右の銘は「What's next?」。常にチャレンジし続ける姿勢を重んじている。