
「受発注を変革するインフラを創る」というビジョンのもとに、BtoBに特化した国内最大級の受発注プラットフォームサービスを手掛けるPRONI(プロニ)株式会社。同社が向き合っているのは、労働人口の減少という社会課題だ。中小企業が本当に集中すべき事業に専念できる環境を整えることで、日本全体の生産性向上を目指している。
中小企業全体を対象にした挑戦はスケールが大きく、困難も多い。しかし代表取締役CEOの柴田大介氏は、「進化」や「変革」というキーワードを軸に、ビジョンの実現に向けて着実に歩を進めている。今回は柴田氏に、同社の強みや目指す将来像についてうかがった。
日本が抱えている課題に向き合う、壮大なチャレンジ
ーー柴田社長の経歴をお聞かせください。
柴田大介:
私は学生時代に旅でアジアや新興国を回っていました。海外から見た日本は経済的な存在感が強く、その体験の中で、日本の経済に貢献できる仕事がしたいと思うようになりました。
そこでまずは、お金を通じて人々の生活に関わることのできる銀行に就職しました。しかし、半年ほど働いたところで、もっとスピード感を持って成長できる環境に身を置きたくなり、2003年に当時創業間もない株式会社DeNAに転職。2009年より執行役員を担いました。
DeNA時代には、PRONIの創業メンバーである栗山規夫も一緒に働いていました。その後、栗山がPRONIの前身となる株式会社ユニラボを創業し、2018年私はそこに合流する形で入社したのです。
ユニラボ(後にPRONI)には取締役として入社し、主に営業や人事、経営企画、マーケティングを担当。その後、2020年に共同代表として代表取締役COOに就任。2023年10月より代表取締役CEOへと就任することとなりました。
ーー貴社を経営するにあたって、柴田社長が大切にしていることは何でしょうか?
柴田大介:
弊社のビジョンに掲げている、「受発注を変革するインフラを創る」という想いを大切にしています。ここでいう「インフラ」とは、意識せずとも当然のように恩恵が受けられる環境を指しています。
この想いは、IT業界に20年以上身を置き、技術が世の中を変えていく様子を見てきたからこそ磨かれたものです。かつては飲食店を探すのに雑誌をめくっていましたが、今ではスマートフォンで調べる行為があたり前になっているように、ITには社会構造を大きく変える可能性があるのです。
しかし、昨今「DX」が声高に語られるように、日本国内でのIT活用は世界的に見ても遅れています。ITで中小企業の生産性を高めることができれば、それは日本経済全体の底上げにもつながるはずです。私たちの挑戦は、日本社会が抱えている課題に対するチャレンジともいえるのです。
受発注の効率化だけではない。サービスの理想形を目指す事業展開

ーー貴社の事業内容を教えてください。
柴田大介:
主な事業として、IT制作、広告・販促から、企業のDXを加速させるためのIT製品・SaaSまで、最適なビジネスパートナーやサービスを迅速に見つけられる、BtoBに特化した国内最大級の受発注プラットフォームサービス「PRONIアイミツ」を提供しています。このサービスの大きな特徴は、「コンシェルジュ」という人的サポートが加わることです。ITと課題のヒアリングに長けた専門家を組み合わせることで、最適なビジネスパートナーやサービスとの迅速なマッチングを実現しています。
ーー貴社独自の強みはどのような点にありますか?
柴田大介:
弊社の強みは、人が手で行う業務支援サービス(役務領域)とクラウド型業務ツールが中心なSaaS領域、両方に対応していることです。提案できるカテゴリが無数に存在することで、課題解決に必要な選択肢を幅広い領域から適切に提示できます。
これら2つの領域はまったく異なる性質を持っていますが、業務的には近い存在です。たとえば、リアルな社員研修の依頼に合わせてSaaS型のeラーニングツールも必要となったり、ホームページ制作を依頼する際に、オンラインの運用管理ツールも相談できたりすることで、より課題解決の本質的ニーズが満たせます。
現状、役務領域とSaaS領域の両方に対応できる会社はほとんど存在しないので、この強みを磨き育てていきます。
大きな夢を本気で追い求めるからこそ大切なこと
ーー貴社ではどのような人材が活躍していますか?
柴田大介:
特に活躍しているのは、受発注を変革するインフラを創り、日本経済に貢献するというビジョンに共感してくれている人材です。それに加えて、「まっすぐ」というPRONIのバリューに共感してそれを大切にしている方も力を発揮しています。ここでいう「まっすぐ」とは、お客様にも仲間にも、誠実で前向きな姿勢を持ち続けるという意味を込めています。小手先のテクニックではなく、本質に向き合う人が評価される文化です。
弊社は壮大な目標を掲げているため、ビジョンやバリューの本質を理解し共感できている人ほど目標を具体的にイメージでき、それを行動に落とし込めているイメージがあります。まだまだ小さな会社ですので、やりたいこと(Will)と業務内容の一致は、事業のスピード感を出す上でも重要ですね。
ーー今後、貴社をどのような姿に成長させたいとお考えですか?
柴田大介:
ビジネスのインフラとなるには、社内も大きく進化しなければならないと考えています。例えば私たちそのものが積極的にDX化やAI導入で業務効率化を行っていくのは、この壮大なビジョンを実現するためには不可欠だと考えています。
その上で、サービスとしては常に進化し続ける必要があります。例えばAmazonは、既に社会のインフラに近い存在だと思いますが、いまだに進化し続けていますよね。インフラとして使い続けてもらうため、ニーズを捉え続け、常に進化する企業やサービスでありつづけたいと思っています。
ぜひ、この壮大なビジョンの実現について、共にチャレンジしましょう!!
編集後記
PRONIが目指しているのは、単なる受発注の効率化ではない。すべての企業が「本業に集中できる」社会を、インフラとして支えることだ。その仕組みが、数年後には「なくてはならないもの」になっている可能性は十分にある。同社がビジネスの現場に新たなスタンダードを確立する日が今から待ち遠しい。

柴田大介/PRONI株式会社 代表取締役 CEO。三井住友銀行を経て2003年にDeNA入社。EC事業マネジメントやBtoB新規事業立ち上げに従事。2009年から執行役員として広告・3rdパーティゲーム事業を担当。HR、経営企画、マーケティング本部長も兼任し、多岐にわたる部門を統括した。2018年にPRONI入社後、人事・カスタマーサクセスを管掌し、2020年より共同代表として代表取締役COOに就任。2023年より現職。