※本ページ内の情報は2025年5月時点のものです。

神戸製鋼グループのコベルコ建機の子会社として、建設機械のリースや販売などを広く手掛けるコベルコ建機トータルサポート株式会社。2024年にトーヨースギウエ株式会社、株式会社ササイナカムラと株式会社ワイズヨシハラの3社が経営統合して誕生した会社だ。

コベルコ建機から新会社の代表取締役に選ばれた中川浩二氏は、社内に同居する3社の文化を馴染ませ、育てていくという重要なポストを任されている。では、中川社長はどのような考えを持ってこの大仕事に臨んでいるのか。大切にしている経営方針や今後の注力テーマなどを聞いた。

神戸製鋼で多くのキャリアを積み、憧れていた社長職へ

ーー中川社長の経歴をお聞かせください。

中川浩二:
コベルコ建機はコベルコの名前で知られる株式会社神戸製鋼所の子会社で、コベルコ建機トータルサポートはそのコベルコ建機の子会社です。

私は1992年に新卒で神戸製鋼所に入社し、経理部門に配属されました。ここでは予算編成や経営管理を任され、若いうちから子会社の設立業務や事業の採算性の試算、小規模なサービス会社の立ち上げなどの経営関連の経験を積むことができましたね。

その後、人事労政部と経営企画部を経験した後、コベルコ建機へ出向して、インド法人の副社長や社長を経験しました。そして2022年に日本に戻ってからは、コベルコ建機の企画管理部長を務め、2024年に3社統合により生まれたコベルコ建機トータルサポート株式会社の社長に就任したのです。

まだ就任して間もないですが、弊社をお客様と社員の両方にとって魅力的な会社にするために日々精進しながら経営に取り組んでいます。

レンタルから販売、修理、メンテナンス、中古買取まで。ワンストップ体制が最大の強み

ーー貴社の強みは何でしょうか?

中川浩二:
弊社の最大の強みは、建設機械に関するすべてのサービスをワンストップで提供できる点です。新車・中古車の販売からレンタル、修理・メンテナンス、下取り・買取まで、一般的な企業が特定の事業に特化する部分を一手に担っているので、お客様のあらゆるニーズに対応できます。

神戸製鋼グループであるコベルコ建機の100%子会社という安定した基盤があること、また、充実した研修制度や資格取得のサポート制度など、未経験者からでもスキルアップできる環境を用意している点も強みといえるでしょう。

身に付けたスキルは、全世界のコベルコ建機グループが参加するサービス技能大会や営業コンテストで披露することができるので、会社にいながら世界規模の視点で自分を客観視できる点も魅力です。

ーー貴社で働く魅力はどのような点にあるとお考えですか?

中川浩二:
弊社で働く一番の魅力は、社会インフラを手掛ける建設業界のお客様のニーズにお応えすることを通じて建設機械を提供することで社会貢献ができるという点です。また、弊社は全国に60以上の営業拠点があるので、各エリアのお客様とのコミュニケーションを密に取ることができます。お客様と直接かかわる仕事がしたい方には向いている職場ではないでしょうか。

最初は現場の迫力に押されることもあるかもしれません。しかし、弊社にはお互いに支え合う文化があるので、安心して働き始められると思います。社員同士の関係も、上下関係というより、同じスポーツチームの仲間とたとえた方がしっくりくるかもしれません。

私も上の立場という意識はあまり持たないようにしています。スポーツのフィールドに立てば誰もが対等であるように、ビジネスにおいても日々の喜びや悩みを共有しながら、お互いに切磋琢磨していけたら嬉しいです。

「勝てる組織」に進化するためのカギは、適材適所のチームづくりにあり

ーー今後の注力テーマや、将来目指すべき姿をお聞かせください。

中川浩二:
競争の激しい業界でしっかりポジションを確保していくために、現場担当者以上に現場を理解して改善案を出していくこと、そして、強みを存分に発揮する勝てる組織づくりを進めていくことが目下の課題です。

特に後者の考え方は、弊社の勝ちパターンをつくる取り組みであり、利益を確保する視点からも欠かせません。現在は無意識のうちに強みを発揮できているケースも多いと思うので、組織や社員の特徴を改めて見つめ直し、再現性のあるパターンを構築できればと思います。

そのためのカギとなるのが、スポーツチームでいう監督のポジションにあたる、幹部職員の存在です。社員一人ひとりの強みを分析して、適材適所の組み合わせをつくることができれば、営業所単位で組織の成長が可能になることでしょう。

これは組織全体においても同じことです。弊社は2024年に3社による統合を果たしたばかりなので、各社の強みの分析を進めれば、組織全体にフィードバックできる部分がまだ残っているはずです。組織の違いという点をポジティブに捉えて、お互いに刺激し合いながら、新たな成長ステージへと歩みを進められればと思います。

編集後記

中川社長が語った、現場以上に現場を理解するという視点は、ビジネスチャンスを見つけ出し、取引深耕を実現するための根本的な要素だ。コベルコ建機トータルサポートが得意とするワンストップサービスと合わされば、そこから多くの商機が生まれるだろう。同社が新たな組織として成熟したとき、どれほどの飛躍を遂げるのか今から楽しみだ。

中川浩二/1968年兵庫県生まれ、関西学院大学卒業。1992年に株式会社神戸製鋼所に入社。新分野事業部FA・ロボット本部、人事労政部、経営企画部等の後、2013年にコベルコ建機株式会社に出向。海外部、インドの現地法人、マーケティング事業本部 営業企画部、企画本部 企画管理部長等を経て、2024年にコベルコ建機トータルサポート株式会社の代表取締役社長に就任。