
働き方改革の一環として、多くの企業で取り組みが行われているITツールの活用によるDX推進。そうした中、Salesforce製品の導入支援やシステムソフトウェア開発を行っているのが、株式会社Sharing Innovationsだ。
データ領域とITコンサルティングを得意とする自身のこれまでのキャリアや、今後の事業の展望、エンジニアの職場環境などについて、代表取締役社長の信田人氏にうかがった。
基礎を築いたITエンジニア、事業運営、コンサル業務で培った経験
ーーまずは信田社長の経歴を教えてください。
信田人:
大学時代に電子情報を学んだ経験を活かし、新卒で日本電信電話株式会社(現:NTT)に入社しました。入社後はネットワーク運用部門に配属され、ITエンジニアとしてオペレーションの効率化や、業務改善のためのデータ分析に従事しました。
そこから事業運営に関わりたいと思うようになり、20代後半でKDDI株式会社に転職すると、グローバル部門の事業企画に携わるようになります。拠点のある米国ニュージャージーと英国ロンドンの収益の向上のため、顧客へのアプローチ方法や営業戦略を練っていましたね。
こうして組織運営に関わるうちに、会社経営に携わりたいと思うようになったのです。そこで、まずは知見を深めるために、経営層と接する機会が多いコンサルティング会社に転職しました。コンサルティング業界は未経験でしたが、世間でDX推進が重視され始めたこともあり、デジタルやデータ領域での実績を評価していただけましたね。
このときに私が意識していたのが、自分の意見を押し付けないことです。業務における課題を解決する方法を一緒に探りながら、それぞれの企業様に適した業務改善策を提案するよう心がけていました。このアプローチ方法は、現在の私の仕事の基盤となっています。
着実に実績を重ね、会社の舵を取る経営者へ

ーーSharing Innovationsに入社した経緯をお聞かせいただけますか。
信田人:
私が20代後半のときに、前職の親会社で、データ領域に特化した組織を立ち上げる計画が浮上しました。データ領域は私の得意分野なので、このまま残ればリーダー的ポジションに抜擢されるだろうと思いました。しかし、京セラの創業者である稲盛和夫さんの経営哲学を踏襲したKDDIで働き、経営者視点を持って仕事に取り組んでいたことから、組織の一員としてではなく、収益を生み出す側に行きたいという思いが強くなっていったのです。
ちょうどそのタイミングで弊社の親会社である株式会社Orchestra Holdingsの方から、Sharing Innovationsでの経営ポジションのオファーをもらいました。設立されたばかりの会社で、一から事業を立ち上げていくところに魅力を感じ、経営サイドで事業の拡大に貢献したいと思い、参画を決めました。
ーー入社してからこれまで、どのようなことに取り組みましたか。
信田人:
入社後はデータ事業の責任者に就任し、まず新規取引先の獲得に取り組みました。当時はパートナー契約を結んでいるSalesforceのほかに、取引している企業がまったく無い状態だったのです。そこで前職で培ったコンサルティングスキルを活かし、組織の課題を一つひとつ棚卸ししていきました。
そしてリード(見込み顧客)獲得に向けた営業体制を整え、外部発信を強化した結果、半年ほどで5〜6社のパートナーとの協議に取り付けました。今でも関係が続いている企業もあり、事業の基盤づくりに貢献できたと思っています。
こうして着実に実績を積み、2023年3月にSharing Innovationsの取締役に、同年の6月にはグループ会社である株式会社ヴェスの取締役COOに就任しました。その後、2024年に弊社の代表取締役社長に就任しました。
低コストでオールラウンドに事業を展開
ーー貴社の事業と強みを教えてください。
信田人:
弊社はSalesforce製品の導入支援のほか、システムやアプリの受託開発、エンジニアの斡旋をするSES事業などを行っています。弊社は中堅企業のため、必要最小限の人員で業務を回しています。そのため、多くの人材を雇用している大手企業よりも低価格でサービスを提供できることが強みです。
人数が少ないといっても、システム開発に必要な人材はそろっているため、小規模SIerと比べても幅広い事業領域をカバーしていることもポイントですね。
ーー取締役COOを務める株式会社ヴェスについても簡単にご説明いただけますか。
信田人:
ヴェスの主な事業は、ソフトウェアの品質検証です。取締役として関わるようになってから意識してきたのが、テスト工程だけでなく、開発工程全体を通じた品質向上です。ソフトウェアの品質に関するスペシャリストになることで、他社との差別化を図れるよう心がけています。
なお、今後はソフトウェア向けのセキュリティ事業の立ち上げも検討しています。事業領域を広げていき、お客様の困りごとの解決に貢献できる企業でありたいですね。
今後の経営戦略とエンジニアが働きやすい環境整備について
ーー今後の運営方針についてお聞かせください。
信田人:
Sharing Innovationsは2027年末までに、ヴェスは2028年末までに、それぞれ売上高100億円の達成を目指しています。弊社は現在、販売管理のSFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)を提供しています。
これにより経営計画の立案など上流工程から関わることで、経営基盤を支えるDXパートナーとしての立ち位置を確立するのが最重要テーマです。具体的にはERP(業務を統合し一元化するシステム)事業の展開や、MA(マーケティングオートメーション)など、経営に必要なサービスを網羅的にサポートできる状態を目指しています。
その中でも特に力を入れていきたいのが、ITコンサルティングとデータ領域です。コンサルで顧客の上流工程に組み込むことが、5年後、10年後と弊社が成長し続けるために重要なキーポイントになると考えています。
また、生成AIの活用が拡大していく中で、データ領域は今後さらに注目が集まると予想しています。Salesforceをお使いいただいているお客様のデータを活用することで、より深く顧客の事業の成長を支援していきたいですね。
ーー最後に就職・転職希望者の方々に向けてメッセージをお願いします。
信田人:
東京恵比寿の本社から徒歩5分のところに、エンジニアリングセンターを立ち上げました。働きやすい環境を提供するため、内部の仕様はエンジニアたちに考えてもらいました。
仕事に集中しやすい執務スペースのほか、仲間同士でコミュニケーションを取るためのミーティングスペースも確保しています。また、カフェテリアや芝生エリアなど、リフレッシュスペースもあります。理想的な環境で働いていただけるよう努めていますので、弊社に興味を持たれた方はぜひご応募ください。
編集後記
キャリアチェンジを重ねて着実にノウハウや知見を貯め、経営者として会社の成長に貢献している信田社長。自身が得意とするデータ活用とITコンサルティング領域は、まさにこれから多くの企業が必要とすることだろう。株式会社Sharing Innovationsは今後も企業の経営基盤を支えるDXパートナーとして、さらなる成長を後押ししていく。

信田人/1976年千葉県生まれ。東京農工大学卒業。日本電信電話株式会社(現:NTT)、KDDI株式会社、KPMGコンサルティング株式会社を経て、2022年株式会社Sharing Innovationsに入社。2023年に同社取締役、グループ会社の株式会社ヴェス取締役COOに就任し、2024年に代表取締役社長に就任。現在はOrchestra Holdingsグループ内の子会社を含AむDX関連5社の取締役を務め、同グループのDX事業のリード統括も担当。