
中古車・廃車を買い取り、再利用できるものは中古部品として販売、ボディなどの金属部分は資源として販売しているアールレックス株式会社。地球に優しい事業を展開する、埼玉県を中心とした地域密着型の会社だ。
今回、「僕たちの仕事は尊い仕事」だと自負する代表取締役の石川将輝氏に、創業のきっかけや事業の強み、今後の目標などを聞いた。
自動車リサイクル法の施行をきっかけに、パソコン1台で起業を決意
ーー創業の経緯を教えてください。
石川将輝:
もともと車が好きで、新卒の就活時は車の整備会社、板金会社、リサイクル会社のどれに就職しようか迷っていました。そのときに出合ったのが、昭和メタルという車のリサイクルパーツも販売する解体会社です。
同社に入社したのは、解体業者がリサイクルパーツを販売していること自体、当時は珍しく、面白そうだと思ったのが理由です。また、急成長していてとても活気があり、面接時に出会った社長の人柄にも惹かれて、入社を決めました。
入社後1年間は現場で解体業を経験し、2年目にリサイクルパーツの製造販売を担当しました。ちょうどその頃、2002年に「自動車リサイクル法」が2005年に施行されることが政府から発表されました。この法律により、車の破砕業務を今後できるのは、特別なライセンスを持っている会社だけになることが決まったのです。
もともと起業について考えていたこともあり、この法律が発表されてから「独立するならこのタイミングだ」と、翌年の2003年に起業しました。
最初は自分で会社を立ち上げるのではなく、実家が石川商事株式会社という産業廃棄物収集の会社を経営していたので、その会社の中の事業の1つとして自動車リサイクル事業部を設立しました。祖父の小屋を事務所として借りて、パソコン1台で始めました。
その後、早い段階で事業を軌道に乗せられたため、事業を切り離して2018年にアールレックス株式会社として独立し、現在に至ります。
ーー起業してから、どのような考え方を大切にしてきましたか。
石川将輝:
自分が先に手本を見せる「率先垂範(そっせんすいはん)」を特に大切にしながら、これまでスタッフを鼓舞してきました。また、車関係の団体に自ら出向いて会社のプレゼンテーションをするなど、泥臭い営業を続けることを重視してきました。
「走行距離が短く高品質な商品」を全国展開することで付加価値をつける

ーー事業内容を教えてください。
石川将輝:
弊社は自動車リサイクル業を手がけており、首都圏を中心に不要になった車両の買い取りをしています。買取台数は月間1000台ほどで、年間にして1万2000〜1万3000台ほどです。
リサイクルパーツの良さといえば新品と比べて価格が安いことですが、たとえば色の塗られていない新品のドアが5万~6万円ほどするのに対して、リサイクルパーツであれば色が塗られて、さらにガラスまで付いて1万5000円程度で済むことも珍しくありません。
安さからリサイクルパーツを好む業者は多く、車に詳しい人であれば自分で修理できるため、安定して需要が高い商材だと言えます。
ーー貴社の事業の強みはどういった点にありますか。
石川将輝:
首都圏で使われていた品質の高い商品を、全国に展開できる点が強みです。
首都圏と地方は走行距離に対して感覚が違う傾向にあり、たとえば首都圏の人は10年ほどしか乗っていない車を廃車にするのに対して、地方の人は20年などより長い期間乗ってから廃車にするという特徴があります。
首都圏で使われている車は走行距離が短いのに加えて、雪も降らず、埼玉や東京に関しては海もないため車が劣化せず、品質が高い状態を維持しています。首都圏で仕入れた高品質な商品を日本全国に販売できるのが、弊社の事業モデルの強みです。
リサイクルに興味があり、仕事にプライドを持てる人と働きたい

ーー今後の注力テーマや目標を教えてください。
石川将輝:
ディーラーへのシェア拡大を進めるほか、新サービスの提供も始めたいと思っています。具体的には、現在はスタッフが自ら車を回収しにお客様のもとへうかがっていますが、今後は車をお客様から弊社に持ち込んでもらうといった選択肢も取り入れようと考えています。そして、持ち込みの場合はその分高く買い取る予定です。
また、現在SNSに力を入れており、弊社の投稿がInstagramで990万回再生されました。実際に、SNSからの受注も増えています。弊社は業界内でも後発の会社なので、他社にはない新しい価値を提供するという意味でも、SNS発信に注力していきます。
採用に関しては、新卒も中途も採用したいと考えており、特にリサイクル業に興味がある方と一緒に働けると嬉しいです。資源の少ない日本において、リサイクルを通して資源を循環させる弊社の仕事は非常に尊いものです。この仕事にプライドを持てる人とともに、会社を成長させたいと考えています。
編集後記
「日本で車を1番処理している会社を目指す」と語った石川代表。パソコン1台で始まったアールレックスだが、現在は年商約25億円にまで拡大している。
同社が成長を続けるのは、石川代表はもちろん、社員たちも同社の事業に誇りを持っているからなのだろう。来期は年商30億円を目指すなど、進化が止まらないアールレックスの今後が楽しみだ。

石川将輝/1979年、埼玉県生まれ。埼玉自動車大学校卒業後、有限会社昭和メタルに就職。2003年に石川商事株式会社に入社し、自動車リサイクル事業部を設立。2018年、アールレックス株式会社を創業し、代表取締役に就任。