※本ページ内の情報は2025年5月時点のものです。

不動産の管理業務を効率化するDXサービスや、物件の清掃や草むしりを地域住民に委託するアウトソーシングサービスなどの事業を手がけるCOSOJI株式会社。同社は、不動産業界でキャリアを積んだ富治林希宇氏が、業界での自身の経験をもとに共同創業した会社だ。全国多くの投資会社、不動産会社、管理会社、大家、清掃貸家などで利用されるなど、今注目を集めている同社のサービスとは一体どのようなものなのか。富治林氏に詳しい話を聞いた。

「現場で働く人に光が当たっていない」ことに課題感を覚えて会社を創業

ーーどのような背景で、貴社を創業したのでしょうか。

富治林希宇:
COSOJIを創業したのは、不動産業界で働いていたときに覚えた「現場を管理する方や現場作業員に光が当たっていないこと」に対する課題感です。

オフィスなどあらゆる物件を快適に使えるのは、物件を管理したり、掃除したりする人がいるからこそ。しかし、今まで僕は不動産の現場から投資まで幅広い仕事に携わりましたが、現場の人たちに光を当て、現場からイノベーションを起こそうと取り組んでいる会社が当時世の中にはないように感じていました。

こういった現状を見て、次第に「不動産の現場から業界を大きく支え、その先にある世の中をよりよくしたい」という思いが強くなったのです。

ーー現場からイノベーションを起こすという点について、当初どのような構想をしていましたか。

富治林希宇:
付加価値を創造し、0を1にすることを特にイメージしていました。たとえば空き部屋を宿泊施設として貸し出すAirbnb(エアビーアンドビー)というサービスは、テクノロジーを駆使して価値を創造している例の1つです。Airbnbのように、もともと仕事が存在しないところから、新たな仕事を生み出すことをイメージしていました。

既存の商習慣も大切にしながら、業界や社会をより良くするためにサービスを生み出すという考え方は、創業から現在まで常に持ち続けています。

不動産管理の「業務効率化」と「アウトソーシング」で業界の課題を解決

ーー事業の内容や特徴を教えてください。

富治林希宇:
弊社は不動産の管理を効率化するDX事業と、不動産管理を地域住民に依頼するアウトソーシング事業の2軸で事業を展開しています。また、最近はここにAIを取り込み3軸になってきています。

DX事業では、タスク管理アプリの開発・提供のほか、ホームページ制作や名刺作成を通した企業ブランディングの支援などもしています。アウトソーシング事業では、日常の清掃だけではなく、原状回復や法令点検といった作業にも対応しています。

弊社の特徴は、不動産業界出身や現場作業経験のあるメンバーが多く業界の知見を大切にしていることや、地域の作業員や工務店にワンストップで発注までできること、またテクノロジーを活かしたサービスを提供していることなどが挙げられます。

不動産業界は今、人手不足や空き家の問題が顕著ですが、物件管理者と働きたい人のマッチングサービス「COSOJI」は、これらの問題の解決に大いに貢献できると確信しています。

ーー会社として、どのような成長戦略を練っていますか。

富治林希宇:
不動産業界に特化した多彩なサービスを開発・提供し、業界の課題解決に貢献して成長することを第一に考えています。適切に管理される物件が増え、現場で働いている人の価値が認められるような世界をつくっていきたいですね。

また、サービスの質向上には、お客様である管理会社様の声や協力会社様、現場で働く片の声(パートナー)を聞くことが重要です。そのためイベントなどを開催し、お客様と直接つながる機会を増やしていきたいと思っています。

地域で仕事を循環させる「地産地消」の取り組みを広げたい

ーー社長として大切にしている考え方を聞かせてください。

富治林希宇:
特に重視しているのが、その地域や社会に貢献することです。地域の住民に清掃などの業務を依頼するのは、地域内で仕事を循環させ、地域活性化につなげたいからです。

現場の仕事は現場の人が行う「仕事の地産地消」を達成するためにも、今後はより多くの全国の管理会社と提携していきたいと考えています。

ーー今後の展望をお願いします。

富治林希宇:
弊社は社員たちにオンライン出社を認めているので、全国で働くことができます。今後は特に地域に貢献しながら働きたい人を積極的に採用し、会社を成長させていきたいです。

大きな展望は、社員全員が自分で考え、発案し、チャレンジする文化の会社になることです。挑戦することでチームは成長し、お客様の成長にもつながります。失敗しても良いので、社員たちにはどんどん挑戦してほしいです。

弊社では老若男女さまざまな人が活躍していますが、特に力を発揮しているのはやはり自分で考え、自分の裁量で仕事ができる人だと感じています。

みんなでチャレンジし、仕事や働き方、そして自分自身をアップデートする。そんな会社を目指しながら、世の中を良くしていきたいと思っています。

編集後記

物件管理者と働きたい人をつなぐだけでなく、仕事を地域内で循環させる「地産地消」を意識してサービスを提供している点が、COSOJIならではの魅力だと感じた。

特に少子高齢化が進む日本では、富治林社長の言うとおり人手不足や空き家など、多くの問題がこれからさらに顕著になってくる。同社のサービスが、「物件の管理」という切り口から日本を良くしてくれることを応援したい。

富治林希宇/1989年、京都府出身。立命館大学建築都市デザイン学科卒業。大手不動産会社ザイマックスグループで不動産の管理・運営業務に従事。その後、投資銀行のファーストブラザーズで不動産投資・運用業務を執行後、クラウドリアルティにて投資銀行部長などに従事。その後、COSOJIを創業、代表取締役社長に就任し、現在に至る。