※本ページ内の情報は2025年6月時点のものです。

「住まいを通して人を幸せにする世界を創る」をミッションに掲げ、不動産賃貸仲介事業を全国で展開しているハウスコム株式会社。最新テクノロジーを積極的に導入した事業運営が特長で、オンラインでの部屋探しサービスをいち早く始めるなど、業界内でも革新的なことに挑戦してきた。社長の田村穂氏に、事業の強みや同社で働く魅力などを聞いた。

営業マン時代は「タッチポイントを増やすこと」で結果を出してきた

ーー社員時代に意識したことや、社長に就任するまでの経歴を聞かせてください。

田村穂:
大学卒業後に不動産関連の会社に就職し、1994年にハウスコムへ転職しました。入社直後は営業を担当していましたが、入社から1年後に店長に抜擢されました。

店長になってからも意識し続けたのが、営業マン時代とは変わらずに、お客様との接点、つまり「タッチポイント」を増やすことです。

多くの不動産会社では、店長はお客様の前にはあまり出ず、接客は担当者に任せることがほとんどです。しかし、私はお客様へ自ら物件の重要事項説明を行ったり、メールを送ったり、店舗の接客業務の8割を自分で担っていました。

店長である私自身が前に出ることで、結果としてお客様から信頼を獲得でき、それが数字にもつながったのだと今では感じています。

その後、店長からエリアマネージャー、部長などへと役職が上がり、2014年に社長に就任しました。

事業運営で意識しているのが「従業員が快適に働けるかどうか」という視点

ーー事業の内容や強みについて教えてください。

田村穂:
弊社は主に、不動産賃貸仲介業を手がけている会社です。幅広い物件(自主管理されている家主様の物件のほかに、不動産管理会社に管理を委託している物件)も扱うことで、複数の選択肢の中からお客様のニーズに合った物件を提案できるなど、入居者のエージェントであるという点が特長です。

不動産賃貸仲介業のほかに、原状回復工事やリフォーム工事、鍵交換・害虫防除、光触媒コーティングや、リフォームや改修工事等に関わる営繕・建築請負工事、下請け工事といったサービスも手がけており、不動産賃貸仲介にとどまらず事業の領域を広げているところです。

会社の強みは、明るくフレンドリーに接客をする従業員や、落ち着いてゆっくりと説明する従業員など、とにかくいろいろなタイプの従業員がいることです。従業員のタイプが多彩な方が、お客様も自分に合う担当者に出会いやすいと思うため、人材の多様性には非常にこだわっています。

ーー事業を運営するうえで、特にどういったことを意識していますか。

田村穂:
特に意識しているのが、従業員の生産性向上に向けた環境構築です。

たとえば弊社では、不動産情報サービス事業を手がける「LIFULL(ライフル)」と提携を結び、お客様の情報やステータスを管理するシステムの中で、AIを活用した顧客管理を行っています。これは、お客様から送られてきたメッセージに対し、AIで地域情報や物件説明を作成して返信します。

従業員の目線に立ち、どうすれば従業員が気持ちよく働けるのかを考えたうえで、弊社ではこうした業務のDX化を以前から継続的に推進しています。

「住まい」に限定しない幅広い領域で活躍できるサービス業の会社を目指す

ーー貴社で働くメリットはどういった点にありますか。

田村穂:
業務を通して、自分とは違う価値観を理解する力が身につくのがメリットの1つです。不動産賃貸仲介業のお客様は年齢の幅が広く、さまざまな事情や状況の中で、いろいろな人との出会いを通して他者を理解する力を磨くことができます。

また、先ほどの「LIFULL」との顧客管理システムなど、最新テクノロジーを業務に積極的に導入して生産性向上を図っているため、業務上のストレスが軽減できている点もメリットです。

そのほか、弊社はキャリアの希望を出しやすく、条件さえ満たせばジョブチェンジができるという点も、他社にはあまりない特長だと言えます。

ーー今後の目標や展望をお願いします。

田村穂:
今後もテクノロジーを駆使し、従業員たちの働きやすい環境づくりに力を入れることで、従業員たちがこの業界に愛着を持てるように働きかけていくのが目標です。

また、不動産業界は変化が大きいので、「変化に合わせて自分を成長させることができる人」を積極的に採用していきたいと思っています。

そして、企業としては、住まいのサービスを提供する企業に限定するのではなく、10年後までには、幅広い領域で従業員が活躍できるサービス業を展開する企業になることを目指していきます。

編集後記

ITやAIを積極的に活用するハウスコムは、不動産業界でDX推進に成功する企業として、1つのモデルケースになっていると感じた。同社の積極的なDX推進の背景には、「従業員のエンゲージメントが向上すれば、その結果として顧客満足度も向上する」という田村社長の考え方が根底にある。従業員の働きやすさを第一に、業界を変えていこうと前へ進む同社から目が離せない。

田村穂/中央大学大学院 戦略経営研究科を修了、経営修士(MBA)。1994年ハウスコム株式会社入社。入社後1年で店長に抜擢され、同社の営業を牽引。2005年に取締役営業部長に就任。その後、常務取締役営業本部長を経て2014年3月に代表取締役社長執行役員に就任。「住まいを通して人を幸せにする世界を創る」をハウスコムグループのミッションとして掲げ、社会・地域に貢献する不動産テック企業を目指す。