※本ページ内の情報は2024年11月時点のものです。

不動産管理を主軸とする企業として、顧客満足度を重視したサービスで注目を集める株式会社コンスピリート。2007年の設立以来、他社が敬遠するような物件も積極的に引き受け、オーナーとともに再生させていく独自のアプローチで成長を続けてきた。近年はトレーラーハウス事業にも進出。口コミや紹介を中心に顧客基盤を拡大し、2024年度には売上50億円を超える勢いだ。今回は同社の代表取締役である村上幸生氏に、経営理念や今後の展望について話をうかがった。

金融機関からデベロッパーを経て、理想の不動産管理会社を設立

ーーまずは起業に至った経緯を教えてください。

村上幸生:
金融機関で3年ほど不動産担保ローンを担当した後、大手デベロッパーに転職しました。そこで、マンション投資の営業職や管理職を3年ほどやっていたころに、ある方から不動産投資業に誘われて、区分マンションの販売に携わることとなります。

当初は3人からのスタートでしたが、会社が大きくなるにつれて売上至上主義になっていき、お客さまにとって最適でない物件も販売せざるを得ない状況に違和感を覚えるようになったのです。そこで、お客さまに本当に満足していただける質の高いサービスを提供したいという思いから、独立して弊社を設立しました。

ーー創業以来、どのような姿勢で仕事に取り組んでいますか。

村上幸生:
「真にお客さまと共に歩く」という姿勢ですね。単に物件を売るのではなく、お客さまにとって本当にメリットのあるものを紹介し、長期的な関係を築いていくことを心がけています。また、社員に対しても、年齢や立場にかかわらず謙虚であることの大切さを伝えています。これらの価値観は、会社の規模が大きくなった今でも変わっていません。

1年ほど前、お客さまから「終活のために不動産売買をしてくれないか」とご相談を受けました。その方は、私が20代のころに住宅を買ってくださった方で、住宅の管理を含めて25年ほどのお付き合いがありました。久しぶりにお会いして、「あなたに不動産を任せて良かった、人生が変わったよ」とおっしゃっていただいたときは、涙をこらえ切れなかったですね。長期的な信頼関係を築けていたことを実感し、とても嬉しかったです。

再生と管理で不動産価値を最大化

ーー貴社が展開している事業について教えてください。

村上幸生:
弊社の主軸は個人・法人に向けた不動産の管理サービスです。現在、約340棟、部屋数で4000弱の物件を一都三県を中心に管理しています。特徴的なのは、他社が敬遠するような全室空室の物件や老朽化した建物も積極的に引き受けている点です。オーナーさまと同じ目線に立ち、一緒に物件を立て直していく再生事業も、弊社の強みの一つです。

また、弊社の成長は主に口コミや紹介によるものです。広告費はほとんど使っていないのですが、お客さまとの信頼関係を大切にしてきたからこそ、ご紹介いただけるのだと思っています。

ーー他社とはどういった部分で差別化していますか?

村上幸生:
必要以上に完璧を求めるのではなく、入居者のニーズに合わせた適切なリノベーションを行うことで、オーナーさまの初期投資を抑えつつ、高い入居率を実現しています。物件ごとにきめ細やかな管理を実行していることが、問題の迅速な解決や管理の質の向上につながっていると感じていますね。

最近では、関連会社でトレーラーハウス事業も展開しています。これは節税商品としての需要だけでなく、プライベート空間を求める方々のニーズにも応えています。現在、全国で複数の施設を運営しており、今後は10施設以上に増やしていく計画ですね。

グローバル展開を見据えた職場づくり

ーーどのような人材を求めていますか?

村上幸生:
主体性、創造性、実行力を持った人材を求めています。マニュアル通りではなく、自分なりにアレンジして仕事ができる人が理想ですね。また、前向きで明るい人柄も重視しています。現在、特にマーケティングチームの強化を図っているので、広報PRやイベント出展など、幅広い業務を担当できる人材は大歓迎です。

また、社員の幸せも大切にしており、売上や利益だけでなく、社員が楽しみながら仕事ができる環境づくりに力を入れています。社員旅行を実施するなど、チームの結束力を高める取り組みも行っていますね。

ーー今後の展望をお聞かせください。

村上幸生:
管理の質を高めるためには、管理物件数を増やすことよりも人材のスキルアップが必要であり、そのために人事評価制度を見直しました。これまでの360度評価に加え、マネージャー職とスペシャリスト職を明確に分け、それぞれのキャリアパスを新たに設定しました。「マネジメントをする人」と「自分の得意なことをする人」は同じように評価されるべきだと考えたのです。他には、評価基準を明確にしました。これにより、それぞれの目標が明確になり、モチベーション高く、業務に取り組めるようになったと感じています。

また、海外展開も展望のひとつです。日本の少子化を考えると、将来的に海外で収益を上げる必要があると考えています。特にトレーラーハウス事業は、海外でも通用する可能性が高いと見ていますね。海外の富裕層が日本の不動産に興味を持っているなど、既に海外との取引の可能性も見えてきています。今後も、お客さまと社員の双方が満足できる会社を目指して、挑戦を続けていきたいですね。

編集後記

村上氏の言葉からは、顧客第一の姿勢が強く伝わってきた。特に印象的だったのは、幸せを重視する経営方針。売上至上主義ではなく、顧客と社員双方の満足を追求する姿勢は、今後の企業経営のあり方を示唆しているように感じた。トレーラーハウス事業など新たな挑戦にも積極的な同社の歩みに期待が高まる。

村上幸生/1972年、東京都三宅島生まれ。金融機関で不動産担保ローン担当を経て、大手デベロッパーにてマンション投資の営業職・管理職を3年間経験。2007年に株式会社コンスピリートを設立。