※本ページ内の情報は2025年6月時点のものです。

愛知県一宮市に本社を構え、解体工事を主軸に多角的な環境事業を展開する、株式会社大中環境。少子高齢化による住宅着工件数の減少や空き家問題など社会ニーズ、そして地球全体の未来を見据えた事業活動を行っている。父の会社の倒産を乗り越え、「社会から必要とされる会社を作ろう」と強く思い、26歳の若さで起業した代表取締役社長の中島正則氏。同氏が歩んだこれまでの道のり、大中環境の理念や事業、そして社員と共に未来を切り拓く未来について、話をうかがった。

「社会から必要とされる会社に」逆境と理念の再構築

ーー中島社長のこれまでのご経歴について教えてください。

中島正則:
父は解体・廃棄物処理事業を行う会社を経営していましたが、私が中学卒業した後、会社が倒産することに。そのとき、お金がない生活を経験したことで、「いつか、自分も父親と同じ業界で会社をつくろう」と強く思うようになりました。

解体や廃棄物処理はならない商売。なくてはならない商売だからこそ、「社会から必要とされる会社になろう」と、解体屋ではなく、環境に関わる商品サービスを提供する会社になろうという思いをこめて、「大中環境」という社名をつけ、解体工事からスタートしました。

26歳で起業しましたが、それまで営業経験もなく、人脈もゼロ。なので、起業当初は現場作業と現場仕事がない日は飛び込み営業の日々。お金もなく、家族のために必死でした。その後、事業は順調に進みましたが、金儲けや「父を超えてやろう」という自分の目的が先行し、社員をないがしろにした結果、多くの社員が去ってしまう事態に陥ったこともありました。

ーーその後、事業が軌道に乗るきっかけはどんなことでしたか。

中島正則:
産業廃棄物中間処理プラントの会社をM&Aで手に入れて一つの夢がかなったタイミングで、業績も順調に伸びているのに、社員との関係性が構築できていない。その原因を探るべく、「私は何のために働いていたのだろう」と自問し続けました。その結果、理念と行動の乖離に気づきました。そこで、理念の再構築をすることにしました。

そして、現在の理念「地球創造・幸せ創造・夢創造」が生まれました。地球創造は、環境事業で豊かな地球を守る、幸せ創造は、社員が成長・貢献を通じて幸せになる、夢創造は、会社だけでなく社員一人ひとりの夢も叶えるという思いを込めています。

理念に基づく経営で、事業は着実に成長

ーー改めて、貴社の事業内容と強みについてお聞かせください。

中島正則:
弊社は、戸建て、マンション、店舗、工場などの解体工事を主軸に、造成・外構工事も手掛ける会社です。法改正によるアスベスト調査も3年前から手掛け、18,000件以上の解体工事実績に基づくノウハウが活かされています。また、空き家問題解決に向けた事業にも注力し、不用品買取も開始しました。

最大の強みは、解体から造成、外構、廃棄物処理、アスベスト調査、不用品買取まで一貫施工を提供できる点です。これにより中間マージンを省き、コスト削減に成功。さらに、顧客の手間を軽減し、スムーズな工事を可能にしています。自社施工による品質管理や、近隣への配慮も徹底することで、顧客からの信頼に繋がっていると考えています。

創業後の苦難を経て、現在の理念「地球創造・幸せ創造・夢創造」にたどり着いたわけですが、現在は、事業展開するうえで、この理念を大切にしています。この3つすべてを叶えることこそ、弊社の存在意義かもしれません。

社員と共に新たな「創造」へ。大中環境が見据える未来

ーー人材育成や組織づくりで大切にされている価値観は何でしょうか。

中島正則:
多様な働き方、キャリアチェンジも支援し、現在、社員の男女比は約半々です。

「夢創造」の理念のもと、社員の夢を応援する組織づくりが重要だと考えています。社内で、仕事・プライベートの目標を設定する「成長シート」を導入。年1回の合宿、3ヶ月ごとの会議で進捗を確認し、表彰制度もあります。これは自身の成長実感、目標達成に繋がる取り組みです。社員の成長が会社の成長と捉え、勉強会や資格取得支援も積極的に行なっています。

求める人物像は、理念に共感し、自ら考え行動できる人、夢を持つ人です。経験より人柄重視で、独立志向の人も歓迎します。

ーー今後の展望と挑戦についてお聞かせください。

中島正則:
「地球創造」の理念をベースに、環境事業の可能性を広げるため、解体廃棄物を建材に変えるリサイクルプラントを空き家リフォームに活用し、循環型住宅の実現を目指します。また、海外進出も視野に入れており、アジア地域へ不用品を輸出し、現地リサイクルを推進します。

具体的には、2027年には年商53億円、従業員数130名を目標として設定。そして、会社をホールディングス化し、理念に共感する社長と共にグループを拡大。10年後には10社設立、10人の社長輩出が目標で、既に社員から社長が誕生しています。

私は「夢は逃げない。逃げるのはいつも自分だ」という言葉が好きなのですが、自身の経験から、諦めなければ夢は叶うと信じ、社員と共に夢を叶えたいと思っています。

編集後記

中島社長へのインタビューを通し、逆境を乗り越える力強さと理念、社員への深い思いを感じた。「地球創造・幸せ創造・夢創造」の理念、そして「夢は逃げない。逃げるのはいつも自分だ」という言葉と共に夢を追う姿勢で、環境事業の可能性を追求し、世界へ視野を広げる同社の今後の飛躍に注目したい。

中島正則/愛知県一宮市出身。父の会社の倒産を経験後、26歳で株式会社大中環境を創業。同社代表取締役社長を務め、現在に至る。