※本ページ内の情報は2025年6月時点のものです。

ポスタス株式会社は、飲食店、小売店、美容サロン、クリニック向けに特化したクラウド型モバイルPOSレジ(※1)「POS+(ポスタス)」を提供する企業だ。レジ機能に加えて、セルフオーダー、在庫管理・WEB予約(予約管理)、キャッシュレス決済など多彩な機能を兼ね備えていて、店舗運営の効率化を支援している。同社の創業の経緯やサービスの内容、今後の展望について、代表取締役社長を務める本田興一氏に話をうかがった。

(※1)POS:Point of Saleシステムの略。小売店などで商品が売れた瞬間の情報を自動で記録・管理するシステムのこと。POSレジは、売上実績の自動集計機能システムを完備。

クラウド普及期にPOS事業を始動 

ーー社長のこれまでの経歴をお聞かせください。

本田興一:
大学卒業後は、まず外資系ERP(※2)ベンダーでコンサルタントとして経験を積み、2003年に株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)に入社し、事業企画や、営業に従事しました。

その後、グループ会社であるパーソルプロセス&テクノロジー株式会社に異動し、2012年頃からクラウド型モバイルPOSレジ「POS+」の開発に携わることになったのです。そして、2019年に弊社を設立し、翌2020年に会社分割によって事業を承継しました。

(※2)ERP:Enterprise Resource Planning(企業資源計画)の略で、企業の持つさまざまな資源を統合的に管理・制御するための基幹システム

ーーなぜ、POSの分野でサービスを立ち上げようと考えたのですか?

本田興一:
起業を決意した背景は、大きく2つあります。

1つは、将来的に労働者不足が予測される中で、テクノロジーを活用した労働代替型のアプローチが必要になると考えたためです。日本では、2030年に、必要とされる6500万人の労働人口のうち、約1割の645万人が不足することが予測されています。その労働力不足を補うためには、業務の省力化や効率化がより一層重要になると見込んだのです。

そしてもう1つは、POSレジというシステムが、SaaS(※3)やデータ活用、モバイルデバイスと相性がよかったことです。私が最初にPOSサービスを立ち上げた頃は、クラウドが広く普及し始めた時期でした。このような社会背景から、SaaS、データ活用、モバイルデバイスが事務処理の中心になることが当時、一般的にも理解され始めていました。そこで、この3つと相性がいいPOSサービスを立ち上げることを決意したのです。

特にサービス業の領域でサービスを提供している理由は、この業界が比較的低賃金だったからです。弊社のサービスによって業務を効率化し、そこで得た利益をお客様の判断で所得に還元することができれば、社会的に非常に意義があることだと考えました。

(※3)SaaS:Software as a Serviceの略称。インターネットを通じて、ソフトウェアのサービスとして利用できる仕組みのこと。

柔軟な開発体制で顧客の要望に対応

ーー貴社の事業内容を教えてください。

本田興一:
弊社は飲食店、美容店、小売店、クリニックという4つの業界に特化し、クラウド型のPOSサービスを提供する事業会社です。POSレジを中心に、店舗におけるヒト・モノ・カネ・情報に関わる業務をトータルでサポートしています。

単にレジ機能を提供するだけではなく、機材の配置や無線・ネットワークの専門資格を持つスタッフによる設置業務など、導入時のサポートも手厚く行っています。また、365日対応のコールセンターと、必要に応じた駆けつけサポートが月額利用料金に含まれており、お客様に安心してご利用いただける体制を整えていることが、弊社サービスの強みです。

ーーどのような体制でサービスを提供していますか?

本田興一:
開発体制には、業界でも屈指となる100人弱の人員を配置しています。これにより、エンタープライズIT(※4)に求められる要件を満たしつつ、お客様のニーズに応じた柔軟なカスタマイズを行うことが可能です。また、飲食・美容・小売・クリニックといったお客様の事業毎にプロダクトを分ける「業種特化型」の体制を採用し、各分野に専門の人員を配置することでスピーディーな対応を実現しています。

現在、営業職やカスタマーサポートの人員を増員し、販売体制を強化しています。採用においては、特に、顧客志向・達成志向の高い人が望ましいですね。今後は営業部門と開発部門の両方で正社員の数を倍に増やす予定です。適性がある方は、ぜひ弊社でチャレンジしてください。

(※4)エンタープライズIT:大企業、中堅企業、公的機関向けのITサービスのこと。

デバイスレスPOSで省スペース化を目指す

ーー最後に、今後の展望をお聞かせください。

本田興一:
弊社が最終的に目指しているのは、物理的な専用端末を必要としない、デバイスレスPOSサービスです。スマートフォンを活用することによって、店舗にレジの機械を置かず、省スペース化した状態が理想的ですね。

スマートフォンには、キャッシュレス決済情報や個人情報が紐付いているので、POSシステムを経由して、さまざまなサービスをワン・トゥ・ワンで利用できるようになると思います。

近い将来、このような状態を実現できるサービスや商品を開発する予定です。レジを利用する方へも、より高い価値を提供できる仕組みを模索していきます。

編集後記

「5年後、10年後にはモバイルPOSのサービスが広がる」と語る本田社長。この将来的なマーケット拡大を見据えて、社内体制を強化し、さらなる飛躍を目指す株式会社ポスタス。その革新的な取り組みは、業界に新たな可能性を切り拓くに違いない。

本田興一/1973年東京都出身、早稲田大学大学院商学研究科修了。外資系ERPベンダーでのコンサルティング業務を経て、2003年に株式会社インテリジェンス(現社名:パーソルキャリア株式会社)に入社。同社およびグループ会社にて企画・営業・開発などの責任者を歴任した後、クラウド型モバイルPOSレジ「POS+(ポスタス)」のサービス立ち上げを行う。2019年12月にポスタス株式会社を設立し、代表取締役社長に就任。