※本ページ内の情報は2025年7月時点のものです。

画像と動画のUGC(ユーザー生成コンテンツ)をクライアント企業のコンテンツ活用に取り込むという、画期的なマーケティングを実現するプラットフォーム「visumo(ビジュモ)」。このユニークなビジネスモデルを他社に先駆けて開発・運営するのが、株式会社visumoだ。

この新しいITソリューションへの反響の大きさと信頼度の高さは、取引先に並ぶ一流企業群からもうかがい知れる。設立からわずか5年で上場を果たした同社を率いて、2023年に代表取締役社長に就任した井上純氏に、事業への思いや未来像について聞いた。

海外の斬新なITソリューションをヒントに「visumo」を開発

ーーまずは社長のご経歴を教えてください。

井上純:
地元は関西で、大学受験がうまくいかなかったことから、「海外に出て語学を学んだほうがいいだろう」と考え、高校卒業後、2年間ほどアメリカに留学しました。帰国後は、いつか経営者になりたいという小さいころからの目標はあったものの「まずはサラリーマンを経験しよう」とEコマース支援事業を展開するスタートアップ企業に就職しました。

その会社はロサンゼルスや上海等に拠点を構えビジネスを展開していたので、グローバルで活躍したいと思っていた私にはもってこいでした。しかしながら、期待して社会人生活をスタートしたものの、結果的には国内営業に携わるだけでした。

最初の3年間は、IT業界のことが何もわからない状態からスタートし、上司に育てていただきました。見込み顧客の課題が明確になれば、それに合った商材を自ら探し出し、アポイントを取得して案件化する、そういった今のスタートアップ企業においても大事な営業スキルを身につけることができたと考えています。また、働いているうちに、IT業界は関西よりも本社を多く構える関東のほうが、ビジネスチャンスが多いのではないかと感じるようになり、4年目にチャンスが巡ってきたタイミングで東京に転勤しました。

しかし、東京に異動した後、リーマンショックの影響を受けて会社の経営状態が悪化し、本来の業務以外の仕事も増えていきました。将来に不安を感じ、「このまま20代のキャリアを終えてしまっていいのか?」と自問するようになり、新たな環境を求めて転職を決意。それが、現在の事業を始めるきっかけへとつながっていったのです。

ーー転職先での印象に残るエピソードをお聞かせください。

井上純:
転職先として入社したのが、現在までの流れを汲む株式会社ソフトクリエイトホールディングスの子会社、株式会社ecbeingでした。クライアントに大企業を多く抱える会社のため、それまでの経験を活かして結果を出すぞと意気込んで入社したのですが、新たな上司に早々と鼻をへし折られました。

その方は実力が足りなかった私に「お前は成長したいのか?だったら一度、破壊して創造してやる」と育成のテーマを設定し、熱心に指導してくれたのです。とてもタフな時間でした。

最初の会社の上司も、厳しく力強い指導をしてくれる方でしたが、こうしたお二人の存在があったからこそ、私は営業やコンサルティングの領域で力を発揮できるようになったのだと思います。結果、今こうして事業を牽引する立場に立っているのだと感じ、お二人には心から感謝しています。

ーー貴社設立のきっかけとなった出来事を教えていただけますか。

井上純:
ecbeing社で一定の成果を上げられるようになり、同社のユーザーに新たなソリューションを提供するため、社長とともに海外の展示会へ足を運ぶようになりました。そこで出会ったのが、Instagram上の投稿を活用するという取り組みでした。

当時その手法は日本ではまだ広く知られておらず、「これをしっかりと仕組み化できれば、大きな可能性がある」と感じたことが、2017年の「visumo」誕生につながりました。その2年後には、ecbeingから株式を分割する形で当社を設立し、2023年には私が代表取締役社長に就任しています。

「visumo」はクリエイティブを収集し、デジタル接客力を強化するツール

ーー改めて貴社の事業内容を教えてください。

井上純:
弊社は社名とサービス名が同じビジュアルマーケティングプラットフォーム「visumo」を開発しており、これまでに900社以上の企業様に導入いただいております。

「visumo」は、InstagramやXなどのSNS上の投稿をオウンドメディアで活用できる機能をはじめ、プロモーション動画や接客動画を簡単に配信できる機能など、事業者がユーザーに届けたいクリエイティブをテクノロジーを活用して最適に配信できる仕組みを提供しています。

ーーvisumoの特色や強みはどんなところですか。

井上純:
「visumo」は、業界用語であるUGC(ユーザー生成コンテンツ)を簡単に活用できる点が特徴です。一般的に馴染みがあるUGCとしては、ブログや口コミなどが昔から存在していますが、「visumo」では、Instagramに投稿された映える写真を収集し、ECサイトなどに簡単に掲載できる機能を提供しています。

実際に商品を購入した消費者が自身のInstagramにUGCを投稿し、そのUGCを企業が接客コンテンツとして活用することで、他の消費者は今まで以上に商品理解が深まります。その結果として、導入企業からは「サイトの滞在時間が伸び、注文率がアップした」という声を数多くいただいています。

消費者や店舗スタッフ、インフルエンサーなど、さまざまなステークホルダーがクリエイターとしてクリエイティブを制作できる時代において、弊社は事業者が簡単にクリエイティブを活用できる仕組みを開発しているのです。

ーー今後のビジョンをお聞かせください。

井上純:
私たちのミッションは、「ブランドの想いが詰まったクリエイティブを、消費者に最適な形で届ける」ことです。将来的には、消費者が目にするクリエイティブの多くがvisumoを通じて配信されていたり、visumoで分析された最適なコンテンツが使用されている、そんな世界観の実現を構想しています。

最近の開発ではAI技術を組み込み、クリエイティブに関するビッグデータを機械学習させる取り組みを進めており、ユーザー一人ひとりに対して最適化されたコンテンツをパーソナライズ配信する機能もリリースしています。

デジタルマーケティングのトレンドは日々変化しています。私たちは、常に新たな市場ニーズをいち早く捉え、事業者の課題解決に貢献できる機能を開発し続けながら、イノベイティブな要素も取り入れ、世の中をあっと驚かせるようなムーブメントを起こしていきたいと考えています。

編集後記

課題解決の難易度が年々上がる中で、井上社長は「ソリューション提案力を備えた営業人材の重要性はますます高まっていく」と語る。その対応策として、今後は社内の育成体制の整備と並行して、新たな採用の強化にも注力していく方針とのことだ。

事業の拡大と共に、世の中のあらゆるクリエイティブ活用がvisumoによって何らかの影響を与えているかもしれない。今後の伸びしろに期待が募る。

井上純/株式会社ネクストソリューションズに入社。その後、株式会社ソフトクリエイト(現:株式会社ソフトクリエイトホールディングス)に入社し、同社子会社の株式会社ecbeingでビジュアルマーケティングの新サービスとして「visumo」をリリース。2019年に同社から株式分割して株式会社visumoを設立。2023年に代表取締役社長に就任し、現在に至る。