※本ページ内の情報は2025年8月時点のものです。

テクノロジーで店舗経営の課題解決を目指す株式会社カンリー。同社は店舗のマーケティング情報を効率的に管理する「カンリー店舗集客」を主力に、Mapで使える福利厚生サービス「カンリー福利厚生」など、幅広いサービスを展開している。海外展開も視野に入れ、「店舗経営を支える、世界的なインフラを創る」というミッションの実現に挑む、同社の代表取締役Co-CEOである秋山祐太朗氏に話をうかがった。

父の挑戦に触発され、志した経営者の道

ーー経営者を目指したきっかけについて教えてください。

秋山祐太朗:
私が経営者を志したのは父の影響が大きいです。父は広告代理店で長年働いた後、50歳を過ぎてから起業。その姿に刺激を受け、私も将来は会社を経営したいと考えるようになりました。いずれ起業するつもりでいましたが、まずは社会人としての経験を積んでからと考え、新卒で三井住友銀行に入社しました。

就職先に三井住友銀行を選んだ理由は、あえて自分が向いてなさそうな環境に入ることで、視野を広げたかったから。また、銀行であれば法人営業を通して経営者の方々と接する機会も多く、経営の勉強になるとも考えました。

ーーこれまでのご経歴の中で、転機となった出来事はありますか。

秋山祐太朗:
社会人1年目の夏休みにアメリカを訪問したのですが、シリコンバレーのベンチャー企業や現地のビジネススクールを訪れた際、無名な若者たちが次々と挑戦している姿を目の当たりにしました。そこで刺激を受け、「自分も若いうちに挑戦したい」という思いが強まり、銀行を退職して、次のステップへ進もうと決意します。

将来、自分がスタートアップのトップを務めることをイメージしたとき、安定した大企業で経験を積むよりも、スタートアップでHARD THINGSを経験する方が活きるだろうと考え、当時の社員数10人程のスタートアップへ転職。その会社で法人営業や新規事業の立ち上げに携わった後、個人事業主として準備期間を設け、社会人4年目で、当時はルームメイトであり、現在の共同代表で、親友(戦友)でもある商社出身の辰巳と共に、弊社を起業しました。

集客支援と福利厚生の両面から店舗経営を力強く支える

ーー貴社の事業内容について教えてください。

秋山祐太朗:
弊社は、「店舗経営を支える、世界的なインフラを創る」というミッションを掲げ、複数のサービスを展開する会社です。主力の「カンリー店舗集客」は導入店舗数11万店舗を突破、GoogleマップやSNSなどの店舗情報を一元管理できるサービスで、店舗のキャンペーン情報や写真、メニューなどをオンライン上で簡単に管理できるため、集客にかかる運用時間を減らし、来店が増加、店舗での接客に集中できる環境づくりに貢献しています。

実は、飲食業や小売業を含む店舗数は全国に500万店舗以上あり、労働力人口6,900万人に対して、店舗産業で働く人は2,700万人。実に40%もの人々が店舗産業で働いていることになります。しかし、これらの業界はまだまだアナログな業務が多い上に、2035年には労働市場全体の深刻な人手不足が予測されており、サービス業では100万人以上不足すると言われています。私たちは、日本の人手不足のど真ん中の産業で、未来に資する事業をつくり、店舗の方々を支えていきたい。このような想いで日々戦っております。

ーー新規事業の「カンリー福利厚生」がスタートした背景と実績を教えて下さい。

秋山祐太朗:
「カンリー福利厚生」は、アルバイト・パートなど雇用形態や働く場所を選ばずに利用できる福利厚生サービスです。具体的には、飲食店や映画館などで、割引をはじめとした特別な優待をMap上で簡単に探して利用できる仕組みを提供しております。
もともとは「カンリー店舗集客」で構築されたネットワークを活かし、店舗事業者様の売上により直接的に貢献できる新しいアプローチとして着想しました。その構想を深めていくなかで、「働いている従業員が『この会社で働いていて良かった』と思える仕組みを提供したい」という想いも加わり、サービス設計を進めました。

「カンリー福利厚生」には、アプリ上で、自社商品を社割価格で簡単に提供できる「自社割DX」という機能があります。この機能を活用したある大手コーヒーチェーンでは、社割利用が大幅に増加し、年間300件だった利用が半年で2万件に増加したという実績があります。このサービスを活用することで、従業員の満足度向上と同時に、企業の売上アップにも貢献できることが、このサービスの強みだと言えるでしょう。

各サービスの連携強化と海外展開で事業の飛躍を目指す

ーー貴社ではどのような人材を求めていますか。

秋山祐太朗:
弊社が求めているのは、バリューに共感できる人材です。弊社では「お客様の理想から入れ」「まずやってみろ」「圧倒的当事者意識」「利他主義でいこう」「正直であれ」という5つのバリューを掲げています。これらのバリューを体現した社員を表彰するイベントを毎週欠かさず行うなど、カルチャー浸透も重視しているので、そうした部分に魅力を感じる方は特に向いているのではないでしょうか。

また、私たちは「ステークホルダーの幸せの総量を最大化する」という思想を掲げており、チームで成果を出すことに喜びを感じられる方、スキルだけでなく人間性も高めたいという方には、ぜひ弊社に入社いただけると嬉しいですね。

ーー今後の展望についてお聞かせください。

秋山祐太朗:
弊社が目指すのは、店舗経営を支える世界的なインフラの構築です。そのために、まずは、現在展開しているマーケティング領域のサービスで国内No.1のポジションを確固たるものとし、インバウンド対策も含め売上UPに貢献していける会社になっていきたいと考えています。将来的には、東南アジアをはじめとする海外市場への展開に加え、マーケティング領域以外への事業拡大も視野に入れています。世界に目を向けると、日本の何倍もの店舗ワーカーがいらっしゃり、世界中の店舗/店舗ワーカーのポテンシャルを解放していけるよう、様々な形で貢献していきたいと考えております。

編集後記

インタビュー中、秋山社長が発した「ステークホルダーの幸せの総量を最大化する」という言葉が印象的だった。この言葉は単なる理念ではなく、表彰式をはじめとした日々の実践や事業の方向性にも一貫して反映されている。サービスを利用する従業員や経営者、そして自社の社員まで、かかわるすべての人の幸せを追求する姿勢こそがカンリーの強さの源泉なのかもしれない。

秋山祐太朗/早稲田大学社会科学部卒業。新卒で株式会社三井住友銀行に入行し、法人営業を経験。2016年、SORABITO株式会社に転職し、法人営業や新規事業立ち上げに携わる。2018年、代表取締役Co-CEOの辰巳衛とともに株式会社カンリーを共同創業。