
市場規模が拡大しているパワースポーツの分野で活躍しているのがBRPジャパン株式会社だ。同社は、水上バイク「Sea-Doo(シードゥ)」やスノーモービル「Ski-Doo(スキードゥ)」、3輪モーターサイクル「Can-Am Spyder/Ryker(カンナム スパイダー・ライカ―)」など、主にレクリエーションで使える製品を全国のBRP正規販売店で販売・展開している。
今回、2024年10月に同社の代表取締役に就任した西光寿氏に、事業の内容や製品の詳細、今後の目標などを聞いた。
自動車や2輪車に関わる業界で豊富な経験を積み、代表取締役に就任
ーー今までの経歴を教えてください。
西光寿:
メガネの産地である福井県鯖江市が地元で、また自身もメガネユーザーということから興味を持ち、大学卒業後は金子眼鏡(現Japan Eyewear Holdings)に入社しました。
海外営業職として入りましたが、営業だけでなく、輸出管理業務なども任されていたことをよく覚えています。
その後、ビー・エム・ダブリューやKTM Japanなど、自動車・2輪車業界での転職を経て、2024年4月にBRPジャパンへ転職。代表取締役に就任したのは、同年10月のことです。
ーーどのような背景があって代表取締役に抜擢されたのでしょうか。
西光寿:
代表取締役に抜擢されたのは、ビー・エム・ダブリューやKTM Japanでの経験が買われたからだと思います。
今までの経験から、私はこの業界のサプライヤーやメーカー、さらにその協力会社のこともよく知っています。また、過去にはセールスやマーケティング、購買など、幅広い業務に携わってきました。
それに加えて、英語も話せる人材というと非常に希少ですから、そういった点を評価してもらえたのだと考えています。
パワースポーツ分野の製品を卸し、ノウハウを伝授する事業を展開

ーー事業内容や製品について聞かせてください。
西光寿:
BRPジャパンは、カナダに本社を置くBRPの日本法人です。パワースポーツ分野の製品をメーカーから輸入し、レジャー施設などに卸しています。それに加えて、それぞれの製品のメンテナンス方法や修理方法を伝授するというのも、弊社の事業です。
主な製品群は、水上バイク、スノーモービル、3輪モーターサイクル、ATV(4輪バギー)の4つです。その中には、海上レスキュー隊が使うような、人々の安全な暮らしを守るための製品も手がけていますが、製品のメインはレクリエーション向けのものとなっています。
たとえば3輪モーターサイクル「Can-Am Spyder/Ryker」は、2輪と違い、自らバランスをとらなくて良い点が魅力です。ツーリングをする夫婦の方や、シニア世代の方などからも、よく利用されています。
ーー組織の雰囲気や、貴社の求める人材についても教えてください。
西光寿:
社内は、とてもオープンな雰囲気だと思います。私は代表という立場にありますが、社員から「みつさん」とあだ名で呼ばれるほど、距離が近いのです。
互いを尊重することは大切ですが、代表だからといって余計な気を遣われたくはありません。社員たちへ誠実に向き合いながら和気あいあいと働いています。
求める人材でいえば、パワースポーツの製品に理解があり、さらには経理の知識もある方が来てくれると非常に嬉しいです。そのうえで、自ら能動的に動ける方が理想ですね。
「最初に思い浮かぶパワースポーツのブランド」になるのが目標
ーー今後はどのようなことに注力していく予定ですか。
西光寿:
注力テーマの1つが、会社や製品の宣伝・広告を強化することで、今年は前年比2倍のマーケティング予算をつけました。これからはSNSや雑誌への掲載などを上手く活用しながら、ブランド力をより一層高めていくつもりです。
また、弊社の製品をお客様に体験してもらう場を提供することにも、力を入れる予定です。
水上バイクやスノーモービルはニッチな製品ですから、実際に自分で体験してみないと、その面白さはなかなか分かりません。そのため、まずは製品に触れてもらう場をつくることが大切だと思っています。
そのほか、まだ進出できていない都市部でのエリア拡大や、後継者など次世代の育成も重要なテーマです。
取引先の中にも、後継者の育成を進めたいと思っている企業は多いので、弊社に何かできることがあればサポートし、場合によってはM&Aも提案していきたいと考えています。
そしてこれらのテーマに注力しつつ、パワースポーツの分野において「一般のお客様や取引先から1番に思い浮かべてもらえるブランド」になるのが、今後の大きな目標です。
編集後記
普段の生活で水上バイクやスノーモービルに触れる機会は少ない。ただ、まだ市場に広まり切っていないからこそ、開拓の余地が大きい分野だともいえる。
「パワースポーツの分野で最初に思い浮かぶブランド」という目標に向けた、西代表の挑戦はまだ始まったばかり。BRPジャパンの製品を体験できる場が今後さらに増えれば、同社のファンが急増することは間違いないだろう。

西光寿/1986年石川県生まれ、信州大学卒業。金子眼鏡株式会社にて貿易・海外営業からキャリアをスタート。2014年よりビー・エム・ダブリュー株式会社にて二輪部品の担当職に就き、数社転職を経てKTM Japan株式会社で2020年9月よりジェネラルマネージャー職に従事。2024年4月にBRPジャパン株式会社へ入社、同年10月に代表取締役に就任。