※本ページ内の情報は2025年7月時点のものです。

コロナ禍をはじめとする激動の経済情勢は、多くの企業に事業の見直しを迫った。しかし、こうした逆境を変化の機会として捉え、飛躍的な成長を遂げた企業がある。舵取りをするのは、株式会社シティクリエイションホールディングス代表取締役社長の高鍬仁一氏だ。リーマン・ショックやコロナ禍といった危機を乗り越え、事業を拡大してきた同氏の軌跡と、類まれな営業力、そして変化を恐れない経営哲学に迫る。

喪失感の先に見つけた1兆円企業という新たな野心

ーーこれまでのキャリアと、貴社の事業をどのように発展させてきたかをお聞かせください。

高鍬仁一:
大学在学中に、株式会社DEITAに入社しました。当時は、派遣会社としてスタートアップしたばかりの企業でした。その後、社員となり、24歳でグループ会社の代表取締役に就任しました。短期間で代表取締役までのぼりつめた原動力は、「周囲を見返してやろう」という強い野心があったからです。当時は寝る間も惜しんで働いていました。

24歳で早々に目標達成した後、やり切ったことによる喪失感も経験しました。しかし、高校の野球部でバッテリーを組んでいた仲間が仕事に打ち込んでいる姿を見て、刺激を受けました。「自分は全然成長していない。このままだと負けてしまう」と思い、身が引き締まりました。そこで、「1兆円企業を目指す」という新たな目標を設定しました。

完全成果報酬を可能にする絶対的な自信と組織力

ーー現在の主な事業内容と強みについて詳しく教えてください。

高鍬仁一:
売上の柱はBPO(営業代行)、自社サービス、M&Aの3つです。最大の強みは、完全成果報酬型の営業モデルを展開していることです。成果がでなければ費用がかからないため、委託企業様はリスクなく活用できます。特にSaaSやフランチャイズモデルの企業様とは相性が良いです。

完全成果報酬型モデルが成り立つ理由は「優秀な人材」「優れたマネジメント」「精度の高い市場分析」「効果的な提案営業」の4つの要素があるからこそだと考えています。優秀な人材を採用し、組織としてしっかりマネジメントしています。そして、市場分析で勝てる市場を見極めて注力し、お客様の真のニーズを深くヒアリングすることで、最適な解決策を提供しています。このすべてが整っているからこそ、お客様との信頼関係が築けているのだと思います。

ーー事業拡大の転機はありましたか。

高鍬仁一:
事業拡大の転機は、リーマン・ショックとコロナ禍です。リーマン・ショックの時は、派遣事業から営業代行事業へと転換しました。そしてコロナ禍では、訪問営業が制限される中、むしろその困難をチャンスと捉えました。訪問営業が必要だった事業から撤退し、いち早く「会わずに成果を出す」オンライン完結型のビジネスモデルを確立したことで、新規事業を加速させることができました。

その結果、営業生産性も向上し、新たな市場や顧客層にもリーチできるようになり、現在の多角的な事業展開における大きな転換点となりました。

熱い仲間がいるからこそ実現する壮大なビジョン

ーー貴社の求める人物像についてお聞かせいただけますか。

高鍬仁一:
求める人物像は、「熱くて、強くて、コミュニケーションが気持ちよくて、賢い」人物です。

弊社ではバリュー(行動指針)を設定しています。その中には、「できるかできないかではなく、どうやるか」「勝ちにこだわる」といったものがあります。そのため、今いる社員たちは「まずやってみる」というスタンスで働いています。
人材育成では、スキル以上に「愛社精神」を育むことを重視しています。営業スキルは短期間で身につきます。しかし、弊社のバリューを実践し、愛社精神を持って仕事に取り組める人材は容易には育ちません。そのため、採用と育成が今後の成長スピードを左右すると考えています。

理想は、社員が自社の商品を心から好きだと思える会社になることです。愛着を持てるサービスを自社でつくり、社会から評価される。それによって、社員の愛社精神が高まり、会社はより強固な一体感を持って走り続けられると信じています。

ーー最後に、今後の戦略と目標についてお聞かせください。

高鍬仁一:
M&Aでは、「0から1をつくれるクリエイティブな人材や組織の獲得」に注力しています。弊社の営業力と優れたサービス創造力を組み合わせ、事業を加速させていきたいと考えています。対象は、良いサービスを持ちながらも営業やマーケティングに課題を抱え、業績や企業価値向上に悩む企業様です。上場企業からスタートアップまで、領域を問わず可能性を探っています。

M&A交渉では、単に買収するのではなく、「一緒に素晴らしい事業をつくりたい」という思いで相手の感情に寄り添い、共に未来を築くパートナーとして迎え入れたいです。

弊社の2030年までの目標は2つあります。それは「売上1000億円の達成」と、「誰もが知る、誰もが感謝する会社になること」です。「シティクリエイションといえば、これ」という代表的なサービスを世に生み出します。そして社会に貢献することで、永続的な成長企業を目指します。

編集後記

高鍬社長の言葉の端々から感じられたのは、圧倒的な「負けず嫌い」の精神だ。そして、どんな逆境もチャンスに変える「変化を恐れない」経営哲学である。リーマン・ショックやコロナ禍を成長の糧としてきた軌跡は、「戦う場所を変え、チャンスを掴む」という経営の原点そのものだ。社員が「商品が好きだから働く」と心から言える会社を目指すというビジョンは、現代企業経営において最も重要な要素の一つだろう。シティクリエイションホールディングスの今後のさらなる飛躍から目が離せない。

高鍬仁一/石川県能美郡川北町出身。大学在学中、スタートアップ期の株式会社DEITAに派遣スタッフとして参画。その数か月後に社員になり、2年で取締役就任。グループ会社の代表取締役を歴任後、シティクリエイションホールディングスの代表取締役に就任。「2030年までに売上1000億円」「誰もが知る、誰もが感謝する企業」を目標に掲げ、挑戦を続けている。