
60年以上の歴史を持つPR業界のパイオニア、共同ピーアール株式会社。確固たる信頼と実績を持つ同社は今、大きな変革の時代を迎えている。AIやデジタルマーケティングといった先端技術を積極的に導入し、挑戦を続けているのだ。この挑戦を牽引するのが、代表取締役の石栗正崇氏。伝統的なPRの枠組みにとらわれず、その専門性を危機管理広報や政治領域にまで広げている。今回、同社の現在地と未来像について、石栗氏のこれまでの歩みとともに話をうかがった。
苦難から始まったキャリアと若き日の成功体験
ーーまずは、石栗様のキャリアの原点についてお聞かせください。
石栗正崇:
新卒で入社した会社で、ウェブメディア事業を展開する子会社に配属されました。この子会社は新しく立ち上がったばかりで、上司と私の二人だけの会社でした。税理士向けの求人サイト作成から始めました。しかし広告を出してくれる顧客も、登録してくれるユーザーもおらず、全くのゼロからのスタートでした。当初は全く成果が出ず、お客様から毎日お叱りの電話を受け、謝罪ばかりしていました。1年目は大きな赤字で、社内では厳しい言葉をかけられることもあり、本当に悔しい思いをしました。
その悔しさをバネにがむしゃらに働き、ウェブマーケティングを学び、地道な活動を続けました。その結果、2年目には事業を黒字化させることができたのです。この時の「ゼロから事業を立ち上げた」という経験が、私の大きな自信になりました。
伝統と革新が交わる場所への挑戦
ーー経営者を志すようになったのは、いつ頃からですか。
石栗正崇:
サイバーエージェント時代に広告事業の局長をした経験が大きいです。市場が大きく伸びていく中で、会社の成長に貢献できた経験は非常にエキサイティングでした。その頃から「いつか自分も経営者として会社を率いてみたい」という思いが芽生えました。そして、子会社の社長を任せてもらいました。もちろん、上司にもその意思を伝えていました。
ーー貴社へ入社された経緯を教えていただけますか。
石栗正崇:
ご縁があり、当時の社長(現会長)と話をする機会がありました。その際に「これからデジタルマーケティングや広告領域に本格的に参入したい」という熱い思いを聞き、非常に興味を持ちました。自分がこれまで培ってきた経験を、伝統あるこの会社でなら活かせるかもしれない。そう思い、入社を決意しました。
ーー社長に就任された際には、どのような目標を掲げられましたか。
石栗正崇:
グループ全体で『New’S design company』になるという目標を掲げました。私たちの使命は、クライアントの商品やサービスに新たな価値を見出し、「ニュースをつくり、広めること」です。この本質は創業以来変わりませんが、手法を今の時代に合わせて磨き上げる必要があります。デジタルやAIを駆使してPRの効果を最大化していくことを目指しています。
企業の盾となり社会を動かすPRの枠を超えた専門性

ーー改めて、貴社の事業内容と強みについて教えてください。
石栗正崇:
弊社の基本事業は、メディアリレーションズを中心とした企業などの広報活動支援、代行、コンサルティングです。基本的なPR事業に加え、近年はインフルエンサーマーケティングやデータ分析といったデジタル領域に注力しています。
私たちの強みは、60年以上の歴史で培われたメディアとの強固なリレーションです。そして、豊富な経験に裏打ちされたコンサルティング力も強みと言えるでしょう。また、「守りのPR」ともいわれる危機管理広報は、創業以来の得意分野です。企業の不祥事や事故が発生する前、発生時、発生後。この3つのフェーズで、一貫したコンサルティングを提供できる体制を整えています。近年特にご相談が増えており、弊社の専門性が高く評価されている分野です。
ーー新しい取り組みがあれば教えてください。
石栗正崇:
PR会社としては珍しく、パブリック・アフェアーズ(※1)、いわゆるロビー活動の支援も行っています。また、社内ではPR業務に特化した生成AIツールを導入しました。これにより、業務効率化と提案の質の向上を進めています。こうした新しい挑戦こそが、弊社の未来をつくると考えています。
(※1)パブリック・アフェアーズ:企業やNPO・NGOなどの民間団体が政府や世論に対して行う、社会の機運醸成やルール形成のための働きかけ活動
ーー組織としての強みや、求める人物像についてはいかがでしょうか。
石栗正崇:
ベテランの知見と、若手の挑戦を後押しする文化が共存しているのが特徴です。最近では、大阪支店の責任者を社内公募で決定しました。自ら手を挙げた若手が、見事に事業を黒字化させています。弊社で求めているのは「素直で、誠実で、謙虚で、したたか」な人物。周りから応援され、自ら道を切り拓いていける人と一緒に働きたいですね。
チャンスは期待を超えた先にある
ーー今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。
石栗正崇:
中期経営計画の目標達成に向け、既存事業の強化はもちろん、M&Aや新規サービス開発も視野に入れ、成長を加速させていきます。若い方々には、「目の前の仕事に120%の力で応え続けてほしい」とお伝えしたいです。期待以上の成果を出し続けることで信頼が生まれ、必ず次のチャンスが巡ってきます。やりたいことがあるなら、恐れずに口に出してみることも大切です。私たちの挑戦は、まだ始まったばかり。これからの共同ピーアールに、ぜひご期待ください。
編集後記
石栗氏の言葉からは、老舗の看板を自らの手で塗り替え、PRの可能性を押し広げようとする強い意志が感じられた。長年の歴史で培った信頼を基盤としつつも、その安定に安住せず、AI導入やパブリック・アフェアーズといった未知の領域へ果敢に挑む同社。若き日の苦労と成功体験を原動力に、変革を推し進めるリーダーのもと、新たな挑戦を続け、これからも多くのニュースを生み出していくに違いない。

石栗正崇/大学卒業後、株式会社アックスコンサルティングに入社。2004年に株式会社サイバーエージェントに入社し、広告事業本部局長、グループ会社の代表取締役社長などを歴任。「@cosme」を運営する株式会社アイスタイルでは役員や子会社社長などを務める。2022年9月に共同ピーアール株式会社にて事業戦略室長に就任。2023年1月より同社PRアカウント本部長兼事業戦略室室長、2023年3月に同社取締役、2024年3月より代表取締役に就任。