※本ページ内の情報は2025年9月時点のものです。

株式会社モンスターラボは、「多様性を活かし、テクノロジーで世界を変える」というミッションのもと、AIとデジタルテクノロジーを駆使し、企業のデジタル変革や新規事業創出支援を手掛けるデジタルコンサルティング企業である。本記事では、代表取締役社長の鮄川宏樹氏に、創業の原点から現在のグローバルな事業展開に至るまでの道のりや、多様性を重んじる企業文化がもたらすイノベーション、AI時代における企業の変革と人材育成への思いについて話を聞いた。

熱意を原動力に、世界を変える道を切り拓く

ーー貴社を創業されたきっかけについてお聞かせください。

鮄川宏樹:
弟が音楽活動をしていたこと、私自身も音楽が好きだったこと、そして才能あるアーティストの音楽をインターネットでより多くの人に届けられる環境をつくれるのではないか、と思ったのが創業のきっかけです。根底には、人々の価値観が多様化していく中で、音楽に限らず才能ある個人をエンパワーし、届けば響くユーザーに多様な音楽を届けられる場と仕組みをつくりたいという思いがありました。

ーー大学をご卒業後のキャリアは、現在の経営にどのように活かされていますか。

鮄川宏樹:
最初のコンサルティング会社では、グローバルなオペレーションと、若い社員にもフラットに成長機会が与えられる環境を体験しました。また、コンサルタントとして顧客に価値を提供するというあり方も学びました。2社目の日本のテクノロジーベンチャーでは、事業成長や組織づくりを体感し、2000年代のインターネット黎明期にテクノロジーが世の中を変えていくことを肌で感じました。当時の同僚だったエンジニア数名を含む6名で創業しており、20代での経験が創業時に非常に役立ちました。

ーー現在のデジタルコンサルティング・プロダクト開発事業に事業をシフトしたきっかけをお聞かせください。

鮄川宏樹:
音楽配信サービスは2006年にローンチしましたが、その中で前職の経験から日本だけでなくアジアの人材を活用しようと考え、2010年頃に中国へ開発拠点を設立しました。一方で、日本は人材不足と高齢化が進んでおり、これらの新興国のエンジニアを活用すれば、日本企業のDXをさらに推進できるのではないかと考えたのです。2014年には「セカイラボ」という名前で、現在のグローバルでのプロダクト開発やデジタルコンサルティング事業の前身となる事業を立ち上げました。

ーー大切にしている仕事へのスタンスをお聞かせください。

鮄川宏樹:
20代の頃から起業までは、自分が社会に対してどのような価値を提供できる人間でありたいのかを意識し、そこから逆算して自分に何が足りないのかを考えてきました。たとえば、テクノロジーが世界を変える時代において、表層上の知識だけではなく、実装レベルでテクノロジーを理解する必要があると考え、テクノロジーベンチャーで経験を積んだりしました。他人と比べるのではなく、自分自身がどのようなインパクトを出したいのか、自分の軸を持って判断することがその後の道筋を大きく変えていくのだと思います。

グローバルな多様性が生むイノベーションの力

ーー貴社の事業概要をお聞かせください。

鮄川宏樹:
私たちは、AIとデジタルテクノロジーを活用して、企業のトランスフォーメーションや新規事業創出を支援する、DX支援事業を行なっています。単なるコンサルティングに留まらず、実際にプロダクトを企画・開発し、企業の価値創造を共に行うパートナーという位置づけになります。現在、世界の12の国と地域で事業を展開しており、日本だけでなく、アジア、アメリカ、中東などのクライアントに対して、AIやデジタルテクノロジーを活用した価値創造サービスを提供しています。

ーー多様性を大切にする企業文化で重視されている点をお聞かせください。

鮄川宏樹:
多様性には、国籍だけでなく、バックグラウンドや職種の専門性も含まれます。私たちは、ビジネス、デザイン、テクノロジーの複数要素を一体として捉え、最初から複数のスペシャリストが参画する形でプロジェクトを立ち上げています。使いやすさをデザインの観点から考えたり、ビジネスインパクトを考慮したりすることを重視し、それぞれの国や人が持つ強みを組み合わせることで、国境を超えた価値創造に繋げています。

ーー社員の方々が活き活きと挑戦できる環境を整えるうえで、大切にしていることは何ですか。

鮄川宏樹:
新しいテクノロジーやアイデアを「とりあえず試してみる」というチャレンジ精神を非常に大切にしています。新しいことを試したいという社員がいれば予算を取ったり、社員の発想から新しいサービスやプロダクトが生まれたりすることもあります。また、コラボレーションを促す活動も多数行っており、たとえば毎週金曜日には「ハッピーフライデー」というイベントで社員がトピックを持ち寄り勉強会や懇親会を通じて交流を深めています。

AIが拓く未来と人材育成への提言

ーー特に注力されている事業領域について、具体的な戦略や計画をお聞かせください。

鮄川宏樹:
一つは、AIとデジタルを活用し、企業のデジタル変革や新規事業創出を行うならモンスターラボが最適なパートナー、と想起される存在になりたいです。もう一つは、現在注力している日本やアメリカだけでなく、グローバルサウスと呼ばれる東南アジア、南米、中東などの成長市場において、現地マーケットを開拓し、グローバル企業としての存在感を強化していきたいと考えています。そして、ビジネス、デザイン、テクノロジーの融合やAI活用によって、少数精鋭でも新しい事業を立ち上げられるような、グループ全体で若い人たちが新たな価値創造を起こしていく事業形態を目指しています。

ーーAI活用における人材採用において、どのような方を求めていらっしゃいますか。

鮄川宏樹:
現在、AIを活用したプロダクト開発やコンサルティングなどの顧客企業ニーズが非常に高まっており、社内においてもあらゆる業務にAIを活用する機会が多く存在しますので、AI時代において新たな学びと成長を達成できる環境があります。AIやデジタルを活用した変革に興味があり、ワクワクする気持ちや何かに挑戦したいという意欲がある方にはぜひ来てほしいと考えています。プロジェクトマネジメント、DXコンサルティング、UXデザインなどの経験ももちろん重要ですが、それ以上にこのAIによる変革フェーズを共に実現させていきたいという方を求めています。

ーー貴社で特に活躍している若手社員に共通するものは何だとお考えですか。

鮄川宏樹:
新しい付加価値を自ら、あるいはチームで創造しようという気持ちがある社員が特に活躍しています。直近では、AIによって様々な革新が起きている中で、年齢に関わらずそれを自分で試し、何かのプロダクトやサービス、顧客への提供に繋げようとするマインドを持つ人が最も活躍しています。また、同じように熱意を持って事業やプロダクト、サービスを創りたいと願う仲間と共に働くことを重視する人も活躍しています。

ーーこれからの時代で活躍するためにはどのような力が必要だとお考えですか。

鮄川宏樹:
まずは、AIなど新しいテクノロジーを試し、活用することで、今までと比較にならないスピードで非常に多くのインプットを得たり思考を深めることができるので、若くして価値を出せる人材が大量に生まれると考えています。またそれ以上に、より広い視野で社会課題や企業課題に対して正しい問いを立てることの重要性も高まると思います。グローバルな活躍という点では、実際にグローバルな環境で仕事ができることが重要です。ボーダレスなチームを編成し、新しいテクノロジーや事例に触れ、実際にグローバルプロジェクトに参加してみることが一番良い経験になると思います。

編集後記

鮄川氏の言葉からは、個人をエンパワーするという情熱が、音楽事業から現在のグローバルなデジタルコンサルティング事業へとつながる原点になったことが深く伝わってきた。失敗を恐れず挑戦し続ける姿勢、そしてAI時代における企業や個人の未来を見据えた明確なビジョンは、若手ビジネスパーソンにとって大きな刺激となることだろう。株式会社モンスターラボのボーダレスな企業文化が、これからも新たなイノベーションを生み出し続けるに違いない。

鮄川宏樹/コンサルティングファーム、テクノロジーベンチャーなどを経て、2006年に「多様性を活かし、テクノロジーで世界を変える」というミッションを掲げモンスターラボグループを創業。世界12の国と地域でデジタルコンサルティング事業、プロダクト事業を展開しながら、バングラデッシュのストリートチルドレンへのIT支援やパレスチナ・ガザ地区での雇用創出など、事業を通じた社会貢献にも意欲的に取り組む。また、2021年より地元である島根県出雲市のCDO補佐官を務める。