※本ページ内の情報は2025年10月時点のものです。

パーソルグループの一員であるミイダス株式会社は、世界初※1の採用・転職におけるミスマッチを減らしながら入社後の活躍をサポートする採用・転職サービス「ミイダス」を提供している。求職者は「ミイダス」独自の「可能性診断」でビジネスシーンにおける行動・思考の特徴やストレス要因、認知バイアスの強さなどを可視化し、ビジネスパーソンとしての自身の特徴や強みを知ることができる。さらに、企業は全国60万人以上(2025年6月時点)の「可能性診断」を受けた求職者から経歴やスキルだけでなく、自社の「活躍要因」に合った人に直接スカウトを送ることで、自社で活躍・定着しやすい人材を獲得できる。

同社は、採用活動におけるあらゆる工程をサポートし、特に中小企業の採用強化ブランディングを成功させるために独自の価値を提供している。大手人材サービス会社の中で新規事業を立ち上げ、分社化を経て代表取締役社長に就任した後藤喜悦氏に、サービスに込めた思いや、大企業で挑戦することの意義について話を聞いた。

※1「バイアス診断ゲーム」(認知バイアスを測定するテスト)と「コンピテンシー診断」を使って人材の採用と配置・育成を可能にする無料のスマホアプリ診断サービスとして(2023年5月 未来トレンド研究機構調べ)

事業家への転換点、大手人材サービス会社での新たな挑戦

ーーまずは、後藤社長のこれまでのご経歴と、「ミイダス」立ち上げに至った経緯についてお聞かせください。

後藤喜悦:
新卒で証券会社に入社し、富裕層向けの金融商品営業を担当しました。その後、2006年にインテリジェンス(現:パーソルキャリア)へ転職し、求人サイト(現在の「doda」)の立ち上げメンバーとして参画し、マネジャーを務めました。

キャリアの転機となったのは、東日本大震災です。故郷の石巻市が被災したことを受け、復興支援を目的とした就労支援事業のプロジェクトマネジャーとして現地へ赴きました。その後、人材紹介のマネジャーなどを経て、社内の新規事業コンテストで「ミイダス」を立ち上げました。

当時から「社会に影響を与えられるような仕事がしたい」という思いがありましたが、個人でゼロから事業を始めると、資金もリソースも限られてしまいます。そこで、会社の資本やブランドを借りることで、個人では成し得ない大きな挑戦ができると考え、社内での事業立ち上げという道を選んだのです。

採用の常識を変える、「ミイダス」独自の価値

ーー「ミイダス」の事業が生まれた経緯と、独自の価値についてお聞かせください。

後藤喜悦:
社内の研修で「自社のキャリア事業の戦略を考える」という課題が出たことがきっかけです。そのときに描いたビジネスの原型が、現在の「ミイダス」につながっています。

世の中の採用サービスの多くは「ターゲットにリーチできます」という点を価値としていますが、私たちは見てもらうだけでは意味がないと考えています。ターゲット層に興味を持っていただくために、「ミイダス」では、企業の採用力を強化するところまで支援します。具体的には、次の通りです。

1.企業の採用プランが、適切なターゲット設定になっているのか、年収などの採用条件面は、競合と比較してどうなのか、求人情報は充実しているのか、など、フィードバックを実施して、採用できる適切なプランにするヒントを提供する

2.研修制度や福利厚生、「はたらく人ファーストアワード※2」への参加など、求人企業自体に魅力をつける

3.求職者へメールや通知でスカウトを送信するだけではなく、電話をかけてフォローを行うことで、企業の採用熱意や入社後の活躍可能性の高さを直接伝えて応募を獲得する

4.応募だけでは意味がないので、日程調整などの運用代行(プランによる)、無料の動画による担当者向けの採用力強化トレーニングなど、応募からの採用率を高める支援も実施する

実際、採用が上手くできている会社もできていない会社も、1次面接の通過率はほぼ同じです。大きく異なるのは、2次面接ができる確率です。採用が上手くできてる会社は8割程度に対し、できてない会社は2割を切り、1次面接で辞退されてしまう状況にあります。辞退理由を確認すると、面接官や社風が合わないという理由が主であるため、採用ができてない企業は、面接で企業や求人の魅力を上手に伝えられていない可能性があります。そのため、「ミイダス」では、担当者向けの面接サポートに力を入れており、今後もより強化していく予定です。

※2「はたらく人ファーストアワード」とは、従業員を大切にしている企業を称え、その取り組みを発信することで、より「はたらく人ファースト」なはたらき方を推進することを目的として2023年からミイダス株式会社と株式会社朝日新聞社が共催。

ーー応募を増やすために、具体的にどのようなサポートをされているのですか。

後藤喜悦:
たとえば、企業は「ミイダス」を導入するだけで、求職者が企業選びの上で重要になる研修制度や福利厚生といった制度を自社で利用することができます。特に中小企業では人事や総務を兼任している方も多く、なかなかこういった制度を用意できない企業が多く存在します。採用強化ブランディングで必要な、求職者を「魅了する」といった観点でも企業を支え、企業の採用力を高めているのは「ミイダス」の特徴です。応募があった後も、どのような面接をすればよいか、活躍する人材をどう見極めるかといったサポートも行っています。

新たな価値創造へ、挑戦を後押しするカルチャー

ーー新規事業開発において、どのような目標をお持ちですか。

後藤喜悦:
私たちのグループでは、その業績規模から考えても、期待される成果も大きくなります。だからこそ、大きなチャレンジも推奨されます。スモールビジネスで終わらせず、大企業のプラットフォームを使って大きな成長を描いていきたいです。

ーー「はたらく人ファーストアワード」への応募や「健康経営」の認定支援などにも注力されていますね。

後藤喜悦:
中小企業が抱えがちな「厳しい労働環境と誤解されることへの不安」を解消し、ホワイトな企業イメージを打ち出すお手伝いをしています。とても良い取り組みをしている企業、他の企業が学ぶべき取り組みを実施している企業もたくさんありますが、その企業単独では発信する場がない。働きやすい環境かどうかという結果以上に、そういった企業を取り上げ、支援していきたいというのも作った理由の一つです。そうした取り組みの中で「ここまでやって儲かるのか」と聞かれることもありますが、私たちは知恵を絞り工夫を重ね、お客様に価値を提供しながら事業として成立させているのです。

他にも、企業価値向上にも繋がる人を大切にする経営の本質を広めるために、「人的資本経営ゲーム」をリリースしています。人的資本経営というと難しく聞こえますが、本質は「人を大切にする企業文化が結果として業績向上につながる」というシンプルな考え方です。このゲームを体験すると、そのことが直感的に理解できます。私自身もプレイしてみて「こういうことか」と分かり、非常に面白いと感じました。

ーー貴社で活躍されている方の共通点や企業文化を教えてください。

後藤喜悦:
弊社には、社員が「これを成し遂げたい」と手を挙げれば、会社が思い切った権限移譲とともに費用面で支援し、実現を後押しする文化があります。社員のアイデアから事業やサービス、機能、コンテンツが生まれることは日常であり、大企業にはない柔軟性と速さが特徴です。そのため、固定観念にとらわれず、自ら積極的に挑戦できる人が活躍しています。

「ミイダス」が目指す未来と「可能性」の解放

ーーユーザーには、どのような存在として認知されたいですか。

後藤喜悦:
個人のお客様に対しては、シンプルに「自分の可能性に気づいてもらう」きっかけを提供したいです。「自分にこんな可能性があるなら挑戦してみよう」と感じてもらうことが私たちのミッションです。

法人のお客様に対しても同様に、金額や使い勝手も含めて、「人材採用」、「人材育成」、「エンゲージメント向上」、「離職防止」など、人の生産性に関する課題に対して、「ミイダス」だったら改善、向上できそうだと感じてもらいたい。そういった企業に、「この金額でこんなことができる」と具体的に提案することで、事業成長のための次の一歩を踏み出すきっかけを創出したいと考えています。

編集後記

大企業の豊富なリソースを活用し、社会に大きなインパクトを与える。後藤社長のキャリアは、「起業の形」が1つではないことを示唆している。その根底にあるのは、個人や企業の可能性を解放したいという強い思いだ。採用の常識を覆し、定着、そして活躍まで見据える「ミイダス」のサービスは、まさにその哲学の表れといえる。後藤社長の挑戦が、日本の「はたらく」をどう変えていくのか、今後の展開に注目したい。

後藤喜悦/1979年、宮城県石巻市出身。2004年に立命館大学経済学部を卒業後、大手証券会社などを経て、2006年に株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)へ転職。求人広告営業を経験後、石巻市における被災者就労支援事業のプロジェクトマネジャーなどを歴任。2015年、社内の新規事業コンテストを勝ち抜き、「ミイダス」を事業化。2019年、ミイダス株式会社の設立に伴い、代表取締役社長に就任。