※本ページ内の情報は2025年11月時点のものです。

北関東を基盤に学習塾「W早稲田ゼミ」を展開する株式会社早稲田学習研究会。正社員教師による熱意ある指導と大規模校舎運営を強みに、地域の教育を支えている。同社を率いる代表取締役社長の佐藤誉氏は、小学生時代に生徒として通い始めた。大学卒業後に入社し、トップに就任した経歴を持つ。意外にも当初は教育業界に興味がなく、「高収入でキラキラした社会人」に憧れていたという。同氏が考える仕事のやりがいと成果主義、そして「日本一の塾を目指す」ビジョンとは。若手が成長できる環境を求める求職者必見のキャリア論に迫る。

創業者との出会いが導いた教育業界への意外な入社経緯

ーー早稲田学習研究会との最初の出会いを教えてください。

佐藤誉:
小学校6年生の時、地元にあった「W早稲田ゼミ」に入ったのが始まりです。授業はとにかく楽しくて、子どもたちが自然と元気になるような雰囲気だったのです。先生たちの面倒見も良くて居心地が良く、学校や家庭とは違う塾という場所が本当に好きでした。そこから高校生の大学受験部門まで、合計7年間通い続けました。

大学は東京の大学に進学しました。就職活動の際は教育業界への関心は全くありませんでした。むしろ興味があったのは不動産や金融業界です。20代で1000万円、30代で2000万円稼ぐような、派手でかっこいいビジネスマンに憧れていて、成果報酬の大きい業界で働きたいと考えていました。

ーーどのような経緯で入社を決意されたのでしょうか。

佐藤誉:
大学4年で就職活動が一段落した頃、地元で偶然、創業者である会長に会う機会がありました。その時に初めて弊社の待遇を知り、自分が志望していた会社よりも給料が高く、「20代で1000万円を目指せる環境だ」と分かったのです。率直に「この会社の方がいい」と思いました。教育へのやりがいというより、会長自身が私の憧れる社会人像を体現されていたことが大きいです。会社の将来性にも格好良さを感じ、人に惚れたのが大きな理由です。

「稼ぐ」と「生徒の喜び」が直結する独自の成果主義

ーー実際に入社してみて、仕事への印象はいかがでしたか。

佐藤誉:
生徒として7年間通っていたので、先生が明るく元気に熱いパフォーマンスをする仕事であることは分かっていたため、ギャップはありませんでした。教員として、とにかく熱く、面白い授業を意識して実践していました。

民間の集団授業において、教師は自分自身が商品でありサービスです。自分を磨いて魅力を高め、子どもたちや保護者からの評判を集めれば、生徒数は自然と増えていきます。生徒数が増えれば利益につながり、それが評価として自分に返ってくる。つまり、生徒を喜ばせることと稼ぐことは完全にイコールなのです。

ーーキャリアの中で、考え方の転機となった経験はありますか。

佐藤誉:
一つは塾長(マネージャー)になった時、もう一つは本部の部長になった時です。特に本部では、一つの校舎だけでなく会社全体を良くしていく視点が求められます。自分の目が直接届かない場所で人を動かし、チームの士気を高めることの大変さを痛感しました。その経験を通じて、「『W早稲田ゼミ』をもっと多くの生徒に知ってもらいたい」という思いが強くなり、新たなエリアへの展開を考えるようになりました。

人こそが教育の核。プロ教師集団が築く信頼の連鎖

ーー他の学習塾と比較した際の最大の強みは何でしょうか。

佐藤誉:
大学生のアルバイト講師ではなく、全員が正社員教師によるプロ集団であることです。私たちが目指すプロフェッショナルとは、単に勉強を教えるだけでなく、子どものやる気を引き出すプロです。充実した研修と育成ノウハウがあるため、未経験からでも一流の教師を目指せる環境が整っています。

ーープロの教師による対面指導の価値は、AI技術が進化する現代において、より重要になるとお考えでしょうか。

佐藤誉:
はい、教育はAIに決して取って代わられない仕事だと確信しています。子育てや教育においては、対面で人が寄り添い、人間性や心を育むプロセスが不可欠です。受験指導であっても、生徒一人ひとりと向き合う対面指導の価値はなくならないと考えています。

ーーそのように質の高い指導を事業として維持し、業界トップクラスの利益率を達成できるのはなぜでしょうか。

佐藤誉:
大きな理由の一つは、拠点規模が大きいことです。一つの校舎に500人から1000人といった規模で運営することで、効率的な経営を実現しています。もう一つは集客力で、入塾者の半分以上が、在籍生の兄弟や友人からの紹介によるものです。これは、私たちの指導や面倒見の良さに対する信頼の証であり、この高い評判こそが安定した経営基盤となっています。

北関東から首都圏へ 「日本一」を目指す次なる事業展開

ーー今後の事業展望についてお聞かせください。

佐藤誉:
今後は北関東の地盤を固めつつ、埼玉や東京といった首都圏へ本格的に進出していきます。事業拡大に伴い、これまで本格的に手掛けてこなかった中学受験領域にも挑戦し、新しい商品を開発していく計画です。目標は「日本一成績が上がる塾」「日本一面倒見のよい塾」になることです。

ーー今後、どのような人材を求めていますか。

佐藤誉:
新卒採用に特に力を入れています。求めるのは、明るく元気で、何事にも一生懸命に取り組める方です。学歴や経験は問いません。それよりも大切なのは、根底にある情熱です。「子どもたちを楽しませたい」「相手に喜んでもらうパフォーマンスをしたい」という思いはもちろん、「社長のように高い給与がほしい」という野心も、私たちは大歓迎します。むしろ、そういったギラギラしたやる気を持つ方を積極的に採用し、入社後にしっかりと育て上げます。

ーー最後に、読者へのメッセージをお願いします。

佐藤誉:
弊社には、年齢や社歴に関わらず、頑張りや活躍を正当に評価し、ステップアップできるチャンスが豊富にあります。私自身がそうであったように、成果を出せばどんどん重要なポジションを任せてもらえる文化です。意欲ある方には夢のある環境でしょう。

少子化などで教育業界に不安を感じるかもしれませんが、私たちは「生徒第一主義」を貫き、本気で子どものことを考えている会社です。皆さんの成長を全力でサポートする環境で、一緒に日本一の塾を目指しませんか。

編集後記

「稼ぐことと生徒を喜ばせることはイコールだ」と語る佐藤氏の言葉には、迷いが一切なかった。高収入への憧れからキャリアをスタートさせ、それを実現するプロセスで教育の面白さに目覚め、トップに立ったという経歴こそが、その言葉の何よりの証明だろう。成果が正当に評価される環境と、AIには代替できない人間教育への情熱。同社は、成長意欲の高い若者にとって、自身の可能性を試せる格好の舞台となるに違いない。首都圏進出という新たな挑戦に注目したい。

佐藤誉/1977年群馬県生まれ。2000年に法政大学卒業後、株式会社早稲田学習研究会に入社。その後、複数の校舎の拠点長を歴任し、2022年4月に同社取締役、2025年1月より代表取締役社長に就任。入社して25年、社長になった今も教育業界の最前線に立ち続け、事業拡大に注力している。