※本ページ内の情報は2026年1月時点のものです。

コロナ禍という未曾有の危機の最中にあえて船を出し、破竹の勢いで拡大を続ける企業がある。2020年に創業し、代表取締役の松井勝也氏と実弟による二人三脚経営で躍進する株式会社doubleだ。主力ブランド「餃子のかっちゃん」を大ヒットさせ、創業数年で掲げる売上300億円という壮大な目標を掲げる。若きリーダーは、いかにして逆風を好機に変えたのか。強固な収益基盤と築いた経営信念と、急拡大する組織を束ねる独自の手法、そして成長を支える「見える化」戦略に迫った。

安定を捨てコロナ禍の荒波へ 兄弟で踏み出した第一歩

ーーあえて最も厳しい時期に独立・創業された経緯を教えてください。

松井勝也:
前職は居酒屋で現場統括の副社長というポジションで仕事をしていました。その頃は従業員と向き合うだけで良かったのですが、自分の決断で全部やってみたい、従業員の生活も会社の未来も背負ってやってみたいという思いがコロナ禍で強くなり、弟と共に独立しました。1店舗目に選んだのは「肉バル」。夜の営業や酒類の提供に制限があり当時は逆風でしたが、逆に言えば優秀な人材や好立地が手に入るチャンスでした。「時流を捉えれば勝てる」という読みは的中し、創業1年目で強固な収益基盤を築くことができました。

ーー創業1年目で基盤を築いた後、2年目はどのような戦略で事業を拡大されたのでしょうか。

松井勝也:
「肉バル」のような流行型ではなく、地域に根づき長く愛される店へ転換しようと考えました。そこで着目したのが、日本の食卓でも人気のある「餃子」です。経営的な決め手は再現性でした。最新機器を導入すれば、職人技に頼らず誰でも均一に美味しい餃子が焼けます。このオペレーションなら、質の高い店舗をスピーディーに展開できると確信しました。弟と二人の決定権者がいる強みを活かし、倍速で開発を進めました。

感覚から仕組みへ 組織を強くする「見える化」改革

ーー組織が急拡大する中で、直面した課題はありましたか。

松井勝也:
創業当初は若さと勢い、そして感覚で走れましたが、4年目、5年目になると組織の歪みを感じ始めました。そこでここ数年は、感覚でやっていたものを言語化する「情報の見える化」を徹底しています。

具体的には、理念をまとめたブックの作成や理念テストの実施です。弊社が掲げる心得「愛情・成長・規律」や、ビジョン「自分の『想い』『行動』が人の幸せに変わる」を言語化し、全員が同じベクトルで判断できる強い組織への変革を図っています。

ーーその理念浸透は、どのような成果を生んでいますか。

松井勝也:
アルバイトから正社員を目指すスタッフが増えたことが最大の成果です。単なる労働対価ではなく、弊社で働くことが成長につながると感じてくれている証拠だと考えます。この社風の良さと社風への共感と貢献意識こそが、私たちの最大の競争力になっています。

6年以内に200店舗 FC展開で広げる「三方よし」の輪

ーー今後のビジョンをお聞かせください。

松井勝也:
今後6年以内に「餃子のかっちゃん」を200店舗体制へ、会社全体で売上300億円を目指します。この目標を達成するため、フランチャイズ(FC)展開も加速させます。根底にあるのは近江商人の「三方よし」を弊社流に解釈した「会社よし、従業員よし、お客様よし」の精神。本部だけが潤うのではなく、加盟店オーナー様、地域のお客様、かかわる全てが幸せになるサイクルを作りたいと考えています。

ーー最後に、読者へのメッセージをお願いします。

松井勝也:
私たちは兄弟二人、互いに深く信頼し、協力し合い、ここまで走ってきました。しかし、ここから先の景色は、より多くの仲間がいなければ見られません。「何かを成し遂げたい」という熱い思いを持つ方、ぜひ私たちの船に乗ってください。あなたを巻き込み、共に300億円という頂を目指せる日を楽しみにしています。

編集後記

肉バルから餃子への転換に見る冷徹な市場分析力と、組織づくりにおける温かな人間力。松井氏の経営は、論理と情熱のバランスが極めて優れている。感覚に頼らず「情報の見える化」を徹底することで、急成長の歪みを正し、着実に足場を固めている。同氏が目指すのは、6年で200店舗体制、売上300億円という頂だ。兄弟の熱量が近江商人の「三方よし」精神を体現し、かかわる全ての人を巻き込むことで、業界に新たなスタンダードを確立していくだろう。採用やフランチャイズ展開への意欲も高く、今後の動きから期待が高まる。

松井勝也/1994年2月生まれ、大阪府大阪市出身。中学校卒業後の2013年、株式会社秀インターワンに入社。2017年、別の居酒屋企業の統括副社長に就任。2020年7月、大阪・梅田に「Tetsubal」を出店し起業。同月に実弟と共に株式会社doubleを設立。2021年、大阪・お初天神に「餃子のかっちゃん」を出店。現在は関西を中心に東京、福岡などへ進出し、直営45店舗、フランチャイズ17店舗の計62店舗を展開(他業態・FC含めると全114店舗)。今後6年以内に「餃子のかっちゃん」200店舗を目指す。