※本ページ内の情報は2026年1月時点のものです。

地方競馬や競輪、オートレースのインターネット投票サービスを通じて、地域に根差した公営競技の発展を支えてきたオッズ・パーク株式会社。同社は「地方からニッポンをドキドキさせる」というスローガンのもと、公営競技が持つ本来の魅力をテクノロジーの力で引き出し、新たな価値を創造しようとしている。オッズ・パークの親会社であるSBプレイヤーズ株式会社で、ふるさと納税サイト「さとふる」をはじめとする数々の新規事業を立ち上げた経験を持つ、代表の髙松俊和氏。同氏はなぜ今、自身の原点である「オッズ・パーク」の舵取りを担うのか。これまでの歩みと同氏が描く公営競技の未来に迫る。

現場の声から実感した地域貢献事業の重要性

ーーまずは、これまでのご経歴についてお聞かせいただけますか。

髙松俊和:
私は2008年に、オッズ・パークの親会社であるSBプレイヤーズ株式会社に財務部門の担当として入社し、その後新規事業開発を中心にさまざまな経験を積んできました。SBプレイヤーズは地域活性化を軸に事業を展開していますが、当時は「オッズ・パーク」のみを運営する状況だったため、事業基盤をより強固にするための新たな柱が必要でした。その中で、これまで積み上げてきた知識を活かして立ち上げたのが、ふるさと納税サイトの「さとふる」です。約4年間事業責任者を務め、事業の成長に携わってきました。

その後も、テクノロジーを活用した持続可能な農業を展開する「たねまき」や、カーボンクレジット創出の支援を行う「ステラグリーン」といった地域に根差した事業を立ち上げてきました。地域の事業者の方々から「新たな販路が生まれた」「雇用を維持できた」といった喜びの声をいただいたことは、事業の意義を実感する大きな原動力となっています。

ーーその後、どのような経緯で貴社に携わることになったのですか。

髙松俊和:
オッズ・パークは、当時の岩手県知事から「経営難の岩手競馬をネットの力で何とか救って欲しい」との相談を受けたことを機に設立されました。インターネットを活用し、厳しい状況にあった地方の公営競技を支えたい、という思いからスタートしました。

創業から約20年、私たちは公営競技の売上を向上させ、事業基盤を回復させていくことに注力してきました。一定の成果を積み上げることができた今、次の成長フェーズへ進むためには、改めて全体を俯瞰し、事業の価値を磨き直す必要があると考えています。その役割を担うため、代表としてオッズ・パークに戻る決断をしました。

「地方からニッポンをドキドキさせる」理念を体現する事業の核心

ーー貴社が提供するサービスには、どのような特徴があるのでしょうか。

髙松俊和:
最大の特徴は、地方競馬・競輪・オートレースという3つの競技を、一つのサイトやアプリで楽しんでいただけることです。これは現在、日本で唯一のサービスだと思います。それぞれの競技には異なる魅力があります。その楽しさをお客様に丁寧にお伝えし、競技間の垣根を越えて興味を広げていただくことで、公営競技全体の裾野を広げていきたいと考えています。

ーー直近ではどのような取り組みに注力されていますか。

髙松俊和:
お客様一人ひとりに、より深く楽しんでいただくための取り組みを推進しています。その一環として、データやAIを積極的に活用しています。たとえば、お客様が予想を楽しむことを支援したり、お客様の購入動向を分析し、利用状況に応じたサービス改善を行ったりしています。公営競技は初めての方にとって少し敷居が高く感じられることもあります。だからこそ、分かりやすく、安心して楽しめる環境を整えることが重要だと考えています。

公営競技の価値創出のために 描く未来と次世代への思い

ーー技術の進化によって、公営競技の楽しみ方はどのように変化するのでしょうか。

髙松俊和:
これまでは、インターネット投票は「買えること」自体に価値がありました。しかし、公営競技の本質的な魅力はそれだけではありません。レースが生み出す緊張感や高揚感、響き渡る声援など、その瞬間に立ち会う体験にあります。

今後は、そうした魅力をより多くの方に伝えられるよう、観る・知る・参加するという体験全体を磨いていくことが重要だと考えています。

ーー今後の展望について、お聞かせいただけますか。

髙松俊和:
私たちは、公営競技を軸とした事業会社ですが、その中で、競技の価値を高め、結果として地域にとってもプラスになる循環を生み出していきたいと考えています。

これまで関わってきた事例からも、公営競技が持つ可能性はまだまだ広がる余地があると感じています。その可能性を丁寧に形にし、各地の状況に寄り添いながら支援していくことが、私たちの役割です。

ーー人材の採用や育成はどのように進めていきますか。

髙松俊和:
グループ全体として、経営視点を持った人材を育てる文化があります。その精神を受け継ぎ、弊社の中から地域活性化を推進できるリーダーを育て、輩出していくことが私の重要な役割だと認識しています。

そのため、現在は社内でのデータ活用を促進しており、社員一人ひとりがお客様や業界のために何ができるかを自律的に考える組織を目指しています。また、意欲ある社員には、さまざまな挑戦の機会を提供し、事業と共に成長し地域に貢献できるようになってもらいたいと考えています。

ーー最後に、読者の方々へメッセージをお願いします。

髙松俊和:
私たちは公営競技という事業を通じて、弊社のスローガンである「地方からニッポンをドキドキさせる」ことに本気で取り組んでいます。地方には、十分に知られていない魅力や可能性が溢れています。それらをテクノロジーの力で最大限に引き出し、新しい賑わいをつくる。それが私たちの果たすべき責任だと考えています。

これからの20年も、地域の皆様や自治体の方々と共に歩み、地方創生に貢献していきます。オッズ・パークが提供する体験が、地域を元気にする原動力になると信じています。新しく生まれ変わっていく公営競技の未来に、ぜひ注目してください。

編集後記

地方にある未踏の可能性を信じ、技術の力で新たな息吹を吹き込む姿勢には、地域共生の理想的な姿が反映されている。単なる利便性の提供にとどまらず、競技そのものの魅力と、そこに関わる人々への敬意を大切にする姿勢こそが、同社の強みなのだろう。情熱溢れるリーダーのもと、次々と生み出される革新的な取り組みが、各地でどのような喜びの光景を描き出していくのか。その歩みを静かに見守りたい。

髙松俊和/東京都出身。慶應義塾大学大学院経済学研究科を修了し、税理士事務所勤務を経て、2008年ソフトバンクプレイヤーズ株式会社(現・SBプレイヤーズ株式会社)に入社。新規事業室室長、複数の関連企業の取締役を務め、2025年1月よりオッズ・パーク株式会社の代表取締役社長に就任。