※本ページ内の情報は2026年1月時点のものです。

薄毛に悩む男性のための専門美容室「RELIVE」を全国に展開する、RELIVE株式会社。医療やウィッグに頼らない"第三の選択肢"として、カットとスタイリング技術でコンプレックスを自信に変える独自のアプローチを確立している。その組織運営は"チームワークの撤廃"や"プライベートの不干渉"といった逆転の発想に基づき、ベテラン美容師が長く安心して働ける環境を実現。かつて自らも感じた美容業界の"構造的矛盾"を原点に、顧客と従業員双方の幸福を追求する代表取締役の栗田卓弥氏に、その事業の核心と未来への展望を聞いた。

現場が疲弊する「構造的矛盾」からの脱却と、独立への決意

ーー美容師としてのキャリアの原点と、独立までの経緯をお聞かせください。

栗田卓弥:
私は幼少期から「有名になりたい」という思いが強く、当時ブームだった美容師を志しました。専門学校時代に一度情熱を失い、消極的な姿勢で就職活動を行いましたが、縁あって採用されたサロンには13年間勤めることになります。

もともと器用な性格で、さほど努力をせずとも一定の成果は出せていたのです。しかし、30代を迎えると努力を怠ってきたツケが回り、売上が伸び悩む事態に。向上心もなく、ただ日々をこなす自分を「ゾンビ」のように感じ、このままではいけないと漠然とした不安を抱いたこと。それが、独立を決意する大きな転換点となりました。

ーー独立の契機となった組織の課題、目指すべき理想像を教えてください。

栗田卓弥:
最大の転機は、中間管理職として組織の「構造的な限界」を痛感したことです。会社のために尽くすほど、従業員が疲弊していく矛盾。なぜすれ違うのかを考え抜いた末、会社が与えるものと、現場が本当に欲しいものの間に決定的なズレがあるという結論に至りました。

現場が求めているのは、シンプルに「十分な報酬」と「自由な時間」です。この二つが満たされて初めて人は安心して仕事に打ち込める。既存の仕組みでそれが叶わないのであれば、ゼロから自分で創るしかない。そう決意し、独立へと舵を切りました。

医療やウィッグに頼らない!薄毛専門美容室という第三の選択肢

ーー独立にあたり、どのようなコンセプトや戦略を掲げて事業をスタートされたのでしょうか。

栗田卓弥:
独立後、自身の強みと市場のニーズを改めて分析する中でたどり着いたのが、「薄毛専門」という答えでした。私自身が10代の頃からAGA(男性型脱毛症)の薬を服用しており、一般的な美容師よりも薄毛に関する深い知識がありました。加えて、前職では30〜40代の男性のお客様から多くの支持をいただき、デザインカットの技術には自信を持っていたのです。「自身の悩みから得た知識」と「培ってきた技術」。この二つを掛け合わせれば、お客様に他にはない価値を提供できると考え、このコンセプトに至りました。

ーーAGA治療やウィッグとは異なる、貴社ならではの価値とは何でしょうか。

栗田卓弥:
私たちは髪を「隠す」のではなく、カットとスタイリングでお客様を「格好よくする」ことを目指しています。治療には副作用の懸念があったり、ウィッグはいつかカミングアウトする必要があったりします。私たちは美容室という形で、薄毛の悩みを解決する新たな選択肢を提供しているのです。お客様の悩みに寄り添い、プロとして最適なスタイルを提案することで、非常に喜んでいただいています。

ーーお客様からはどのような反響がありますか。

栗田卓弥:
コンプレックスから鏡を見るのも嫌だったというお客様が、施術後には満面の笑みで鏡を見てくださいます。「ここに来てよかった」と言っていただけることが何よりのやりがいです。中には、私が現場を離れることを心配して「美容師をやめないで」と言ってくださるお客様もいて、本当に求められているのだと実感します。

「チームワーク撤廃」個が自立し長く働ける組織運営

ーー組織運営においてはどのような方針を掲げていますか。

栗田卓弥:
長く働ける環境を作ることを最優先に考えています。離職理由として最も多いのは人間関係のトラブルですが、これは従業員同士が過度に親密になるからこそ生じるものだと考えています。最初から適切な距離感を保っていれば、不要な摩擦は起きにくいのです。

そのため、当サロンではプライベートで深くかかわらない、私生活の話を過度に行わないといったルールを徹底しています。あえて「チームワーク」という概念を排し、個々が自立して仕事に向き合える環境を整えることが、結果として個人のストレスを減らし、安定した雇用継続につながると確信しています。

ーーその独自の方針は、実際にどのような効果を生んでいますか。

栗田卓弥:
スタッフ同士が良い意味で気を使い続ける関係なので、トラブルがほとんどありません。たとえば、予約がなければ早く帰れる制度があるのですが、他のスタッフに気を遣って帰りにくいといった雰囲気も生まれないのです。お互いに干渉しないことで、仕事に集中できる環境が作られています。

即戦力のベテラン採用 経験者が「もう一度輝ける場所」を

ーー採用活動における人材選定の基準や、重視されている点についてお聞かせください。

栗田卓弥:
当サロンでは、即戦力となる経験豊富なベテランの美容師に特化して採用を行っています。その目的は、一から技術を教える教育コストを省き、入社前の約束を確実に守ることにあります。新卒採用では将来の待遇が不透明になりがちですが、確かな技術を持つベテランであれば、入社直後から成果を出せることが明確です。その結果、給与や休日といった条件を具体的に提示でき、互いに納得感を持って働き始められる環境が整うのです。

ーーベテラン美容師の方々にとって、貴社で働くメリットは何でしょうか。

栗田卓弥:
美容業界特有の長時間労働や、練習という名のサービス残業は一切ありません。また、土日に休みを取ることも可能です。私自身も子どもがいるので分かりますが、年齢を重ねると家族との時間も大切になります。子どもの運動会などのイベントにも気兼ねなく参加できる環境は、大きな魅力だと考えています。実力を発揮できずにいるベテラン美容師が、もう一度輝ける場所を提供したいのです。

目指すは全国1000店舗!既存店を再生する独自のFC戦略

ーー貴社が目指す将来像と、その実現に向けた独自の成長戦略についてお聞かせください。

栗田卓弥:
まずは2026年中に、全国47都道府県への出店を達成することが目標です。将来的には1000店舗体制を築き、「薄毛専門美容室RELIVE」というブランドを全国へ広めていきたいと考えています。

この拡大を支えるのが、独自のフランチャイズモデルです。既存の美容室に弊社のブランドや技術、ノウハウを導入していただく形式をとっており、ゼロから新店を作る必要はありません。この仕組みにより、経営課題や後継者不足に直面しているサロンの支援が可能になります。廃業の危機にある店舗を再生させ、美容師の方々に新たな活躍の場を提供することも、私たちが果たすべき大切な使命です。

ーー最後に、事業を通じて実現したい世界観についてお聞かせください。

栗田卓弥:
全国には、薄毛の悩みを誰にも相談できず、諦めてしまっている方が大勢います。そうした方々にとっての一つのきっかけや希望になりたい。悩みを抱えるお客様と、高い技術を持ちながらも環境に恵まれないベテラン美容師。この両者を全国規模でマッチングさせ、双方の人生を豊かにしていくことが、私たちの目指す未来です。

編集後記

「ゾンビのように日々を過ごしていた」。栗田氏は自らの過去をそう振り返る。しかし、その苦悩こそが、業界の常識を覆す原動力となった。顧客のコンプレックスを解消し、同時にベテラン美容師の労働環境も守る。RELIVEの挑戦は、単なる美容室の多店舗展開にとどまらない。疲弊する現場と悩める顧客、その双方を救う社会的なインフラになろうとしているのだ。1000店舗という数字の先には、美容業界の新たなスタンダードが確かに見えている。

栗田卓弥/埼玉県出身。美容業界での現場経験を経て、薄毛に悩む男性に特化した「薄毛専門美容室」を創業。完全個室・マンツーマン施術という独自モデルを確立し、現在は全国に店舗を展開。代表としてサロン運営に加え、フランチャイズ本部事業や人材育成、マーケティング支援にも取り組んでいる。