
神奈川県横浜市に本社を置き、建設機械のレンタル事業を展開する株式会社三恵商会。建設現場に欠かせないショベルカーなどの重機レンタルを主軸に、イベント会場の設営資材の取り扱いや特殊工事といった多角的な事業運営で安定した基盤を築いている。異業種であるシステムエンジニアからキャリアをスタートさせ、現在は同社の組織改革を牽引する専務取締役の本間将太氏に、家業に戻った経緯や、アメフトの経験から得た独自のマネジメント論、そして組織づくりにかける熱い思いを聞いた。
システムエンジニアとして積んだキャリアと決意の瞬間
ーー社会人としてのキャリアはどのようにスタートされたのですか。
本間将太:
親が会社を経営していることは幼い頃から知っていたので、漠然と「いつかは継ぐことになるのかもしれない」という意識はありました。しかし、親から「継げ」と言われたことはありませんでした。
そこで、まずは一人の社会人として経験を積もうと考え、大学卒業後は大手システム会社に就職し、システムエンジニア(SE)としてキャリアをスタート。SEとして約7年間勤務し、プロジェクトの管理などを任されるなど、充実した日々を過ごしました。
ーーそこから、貴社へ入社するに至った経緯について教えてください。
本間将太:
30歳を目前にして、自身の今後の人生を改めて考えたことが転機となりました。ちょうどその頃、親戚が経営していた会社で後継者に関する動きがあり、私自身も「父の会社はどうするのか」と意識するようになりました。社長である父に相談したところ、「戻ってきてもやるべき仕事はあるが、会社はあと10年は大丈夫だ。」と言われました。そのとき、「その先はお前次第だ」と言われたような気がしました。
私は、自分で起業するほどのエネルギーはないと思っていました。しかし、父が守ってきた会社をさらに発展させるという挑戦は、他では得がたい経験だと感じたのです。そして、挑戦してみたいと心が動いたため、弊社へ入社することを決断しました。
アメフトで得た組織を束ねるマネジメント

ーーこれまでの経験で、現在の経営や組織づくりに活きていると感じていることはありますか。
本間将太:
学生時代から社会人リーグまで続けていた、アメリカンフットボールでの経験が非常に活きていると感じています。私は選手としてだけでなく、コーチやチーム運営にも携わっていました。特に社会人チームでは、仕事も年齢もモチベーションも異なる60人規模のメンバーをまとめなければなりません。トップリーグを目指す中で、運営費を確保するためにスポンサー集めに奔走したり、チームの方向性を定めたりと、まさに組織運営そのものを経験しました。
「自分事」として組織を捉え、率先して動く姿勢はスポーツを通じて培われたものです。会社経営も同じで、多様なバックグラウンドを持つ社員が一つの方向に向かうためには、リーダーが熱意を持って関わり続けることが不可欠だと認識しています。
ーー仕事をする上で、特に大切にされていることはありますか。
本間将太:
「現状に満足しないこと」と「人を大切にすること」です。「満足しない」というのは、単に利益を追求するということではなく、「もっと良くできるはずだ」と常に改善を模索する姿勢のことです。一社員として働いていた頃は目の前の業務をこなすことで満足してしまうこともありましたが、経営に関わる立場では、会社全体や社員の幸せのために、常により良い状態を目指さなければなりません。
そして何より、縁あって一緒に働いている社員には、やりがいを持って働いてほしいと強く願っています。社員が「ここで働いてよかった」と思える環境を作ることが、結果としてお客様へのサービス向上につながり、会社の成長にもつながると信じています。
本業から派生する新たな事業種の探求
ーー競合他社と比較した際の、貴社の強みはどこにあるとお考えですか。
本間将太:
大きく2つの強みがあると考えています。一つ目は、お客様に対する親身な対応です。私たちが扱う建設機械は、どの会社から借りてもモノ自体に違いはありません。だからこそ、困っているお客様の相談を簡単に断らず、真摯に向き合う姿勢が差別化になります。大手では対応が難しいような細かな要望にも、できる限り応えることで信頼を獲得しています。
二つ目は、技術力です。弊社は建設機械メーカーの指定工場として認定を受けており、高い技術を持った整備士が多数在籍しています。単に機械を貸すだけでなく、お客様が所有する機械の修理やメンテナンスの相談にも対応できることが、大きな付加価値となっています。
ーー目指している会社の姿や今後の展望についてお聞かせください。
本間将太:
目指しているのは、社員全員が、やりがいを持って長く安心して働ける会社です。現在、勤続20年を超えるベテラン社員が多く在籍しており、彼らが会社を支えてくれています。今いる社員、そしてこれから加わる新たな仲間たちが、この組織の一員であることを誇りに思い、自らの仕事に確かな価値を感じられる環境づくりを、常に追求し続けたいと考えています。
今後の展望としては、既存の建設機械レンタル事業を盤石にすることが最優先です。同時に、イベント事業や工事事業のように、本業から派生する新たな事業の種も探求していきたいという思いがあります。これまで培ってきた良い部分は残しながら、さらに組織を活性化させるため、変化を恐れずに挑戦し続けることで、5年後、10年後も社員が笑顔で働ける組織をつくっていきます。
編集後記
システムエンジニアから老舗企業の経営者に転身した本間氏は、論理的な思考とスポーツで培った情熱を組織づくりに注いでいる。親族が守ってきたフィールドを「他では得がたい挑戦」と捉え、変化を厭わず改革を進める姿勢が印象的だ。社員のやりがいと幸福を追求する経営観は、企業が成長し続けるための根幹である。親身な対応と高い技術力という強みを持ちながら、現状に満足せず新しい風を入れようとする探求心は、企業の未来に向けた大きな躍進を予感させる。

本間将太/1987年神奈川県生まれ。青山学院大学卒業後、みずほ情報総研株式会社(現・みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社)に入社し、システムエンジニアとして勤務する。29歳の時に家業を継ぐことを決意し、建設機械商社へ転職し、4年間営業職として業界経験を積む。2021年に株式会社三恵商会の専務取締役に就任。