
海外の優れた商品を日本で展開する株式会社LeaguEは、自社物販の生きた知見を武器に、新規通販事業の立ち上げをワンストップで支援している。同社の最大の特徴は、独自のビジネスモデルにある。クラウドファンディングをテストマーケティングの場として活用し、在庫リスクを限りなくゼロに近づけるのだ。再現性の高い手法でクライアントを成功へと導き、単なるコンサルティングに留まらない「伴走者」として厚い信頼を得ている。この革新的な仕組みを築き上げたのが、代表取締役CEOの武智翔太郎だ。学生時代の起業、共同経営者との別離という苦境を乗り越え、いかにして「共創」を理念とする組織を築き上げたのか。その軌跡と事業の核心、そして日本ブランドを世界へ届ける未来像に迫る。
覚悟を決めた原点 学生起業から不退転の決意まで
ーー社会人としてのキャリアはどのようにスタートされたのでしょうか。
武智翔太郎:
大学時代から漠然と会社を経営したいという思いがあり、カナダへ留学してビジネスの専門学校に通いながら働いていました。帰国後、内定先の入社まで1年ほど時間があったため、家にある不用品をフリマアプリで販売してみると、予想以上に売れて10万円ほどの利益が出たのです。これがきっかけとなって商品を仕入れて販売する「せどり」に挑戦したことが、ECビジネスの第一歩となりました。戦略的に始めたわけではなく、自然な流れで今に至っています。
ーー法人を設立し、事業を本格化させる中でどのような困難がありましたか。
武智翔太郎:
最も大きな困難として記憶に残っているのは、創業期に経験した共同経営者との別れです。2020年、留学先で出会った先輩に誘われて法人を設立しましたが、次第に事業への熱量に差が生まれてしまいました。私は自らツールを用いて分析を行い、着実に販売実績を上げました。一方で、商品を確保できない相手との間にパワーバランスの崩れが生じ、関係が悪化したのです。
当時、会社はまだほとんど売上が立っていない状況でもありましたが、全株式を買い取る形で袂を分かつことになりました。並行して勤めていた会社もすぐに辞めてしまったため、まさに退路を断たれた状態でした。とにかく「やるしかない」という一心で、がむしゃらに事業と向き合い続けたことが、今の礎となっています。
在庫リスクゼロを実現 「凡事徹底」と「互敬互信」の組織論
ーー貴社のビジネスモデルの強みは何でしょうか。
武智翔太郎:
最大の強みは、クラウドファンディングを活用して事業の失敗リスクを最小限に抑えている点です。通常の通販事業では、見込みで在庫を仕入れるため、売れなければ大きな損失となります。しかし弊社は、まず海外で売れている商品の独占販売権を獲得し、クラウドファンディングでテスト販売を行います。そこで得られた資金で商品を仕入れるため、在庫リスクがありません。また、テスト販売は実績作りや顧客データの収集にもつながり、その後の一般販売を有利に進められるというメリットもあります。
支援するクライアントは、製造業に限らず、全くの異業種から参入される企業がほとんどです。たとえば、ある販促用の重機メーカー様は、弊社との伴走で通販事業を成功させ、今ではそれが大きな収益の柱に成長しました。その関係性は、単なるコンサルティングの枠を超えています。先日も、私が最初に独占販売契約を結んだアメリカのメーカーとの商談へ、そのクライアントに同行していただきました。仕入れの現場で海外メーカーと直接引き合わせ、深い信頼関係を築くサポートをしたのです。
このように、一過性のビジネスに留まらない「人と人とのつながり」まで構築することこそ、弊社が提供する真の価値だと考えています。
ーー組織が大きく飛躍するきっかけは何だったのでしょうか。
武智翔太郎:
現在の副社長を含む、2人のメンバーの参画が大きな転機となりました。もともと私のクライアントだったメンバーが組織に加わってくれたことで、事業は大きく飛躍しました。その要因は特別なスキルではなく、当たり前のことを徹底的にやり抜く力があったことです。課題を見つけて解決策を分解し、実行する。この基本プロセスを確実に実践できるメンバーが増え、組織全体の底力が格段に上がったと感じています。
ーー経営者として大切にしている価値観についてお聞かせください。
武智翔太郎:
2つの価値観を大切にしています。1つは先ほどお話しした「凡事徹底」。つまり当たり前のことを当たり前に行うことです。もう1つは「互敬互信」。これは私たちが作った言葉で、お互いに尊敬し、信頼し合うことを意味しています。役員それぞれが見ている領域や課題感は異なりますが、互いを信頼し、それぞれの意思決定を尊重することで、組織として迅速かつ柔軟な対応が可能になるでしょう。そのため、私もメンバーを信頼し、権限移譲を心がけています。
競争から共創へ 日本のブランドを世界に届ける未来

ーー事業を展開する上で、どのような考え方を大切にされていますか。
武智翔太郎:
他社と競争するのではなく、共に価値を「共創」することを大切にしています。たとえば、資本主義の仕組みを体験できる「ナショナルエコノミー」という経済ゲームがあります。このゲームは、プレイヤー同士が利益を奪い合うと、全員の富が停滞してしまう仕組みになっています。しかし、お互いが助け合うことで、全員がより多くの富を得られるようになります。私は、現実のビジネスにおいても全く同じことがいえると考えています。
弊社には商品を見つける力や、マーケティングのノウハウがあります。一方で、クライアントには、私たちにはない別の強みがあるはずです。互いの力を補い合うことで、一社では成し得ない大きな価値を生み出せると確信しています。
ーー今後の事業において、特に注力していきたい分野は何でしょうか。
武智翔太郎:
今後は、海外の優れた商品を日本に展開するだけでなく、日本の良いブランドを海外へ届ける取り組みに最も力を入れていきたいです。この分野でポジションを確立している日本企業はまだ多くありません。背景には、言語や商習慣の違いに加え、現地市場に適したマーケティングノウハウや海外クラウドファンディング運用の知見を持つ企業が限られているという現状があります。私たちはこれまで培ってきた実践的なデータとネットワークを活かし、その壁を越えていきたいと考えています。
そのためには、まず日本市場で確固たる実績と信頼を築くことが不可欠です。自社でも海外で通用するブランドを育てながら、一つひとつの成功事例を積み重ねていく。そして将来的には、有名なブランドの出所が弊社である。そう言っていただける状態を目指しています。
編集後記
競争ではなく「共創」。武智氏の話から、誰もが疲弊するゼロサムゲームではなく、互いの強みを活かし合うことで全体が豊かになるという、シンプルかつ力強い思想がうかがえる。在庫リスクを極限まで排したビジネスモデルは、その思想を具現化する合理的な仕組みである。個人の力に頼るのではなく、組織で当たり前を徹底する。その堅実な歩みが、やがて日本の優れたブランドを世界へ羽ばたかせる原動力となるのだろう。

武智翔太郎/