
独自のスマートセキュリティ技術を核に、人々の暮らしに安心安全を提供する株式会社Secual。同社は戸建て住宅向けのサービスから事業を開始したが、現在では街全体や自動車領域にまでその範囲を拡大し、「トータルセキュリティカンパニー」としての地位を確立しつつある。既存の街にも後付けで導入可能な技術を開発し、共創によって新たな価値を生み出し続ける姿勢が同社の特徴だ。創業期から事業変革を牽引してきた代表取締役CEOの菊池正和氏に、事業の現在地から未来の展望、そしてともに働きたい仲間への思いを聞いた。
キャリアの転機と事業モデル転換への挑戦
ーーこれまでのご経歴と、貴社の事業に参画された経緯を教えてください。
菊池正和:
私は1998年に第二電電株式会社(現・KDDI株式会社)に入社し、音楽配信サービス「LISMO」の開発リーダーなどを経験しました。その後、2015年に株式会社VLOGを設立しています。そのころ、知人を介して株式会社Secualの創業者と出会いました。そこで意気投合し、2016年に副社長として参画することになったのです。2018年には、事業拡大を見据えた新体制として代表取締役CEOに就任しました。
ーー参画当初、どのようなことを感じておられましたか。
菊池正和:
当時、個人のお客様に直接サービスを提供するビジネスだけでは、成長に限界があると感じていました。そこで不動産会社などのパートナー企業と連携し、その先にいる多くのお客様へ価値を届けるモデルへと転換したのです。「まちづくり」という広い視点からセキュリティサービスを展開するモデルへとシフトさせたことで、事業拡大だけでなく、社員の成長機会にもつながると確信しています。
次世代街灯が解決する既存の街の防犯格差
ーー現在の事業領域はどのように広がっていますか。
菊池正和:
現在は「トータルセキュリティカンパニー」を目指し、家だけでなく、街全体や自動車の盗難対策へと領域を拡大しています。特に大きな進歩は、「Secual Smart Pod(セキュアルスマートポッド)」の開発です。これにはスマートポールと同様、防犯・防災・見守り機能が備わっています。後付けで設置ができるため、新築だけでなく既存の街にも導入できるようになりました。家、街、車という暮らしの主要要素をカバーし、縦にも横にも事業を拡大できる体制が整っています。
ーー地域活性化への取り組みについても聞かせてください。
菊池正和:
単なる防犯にとどまらず、地域全体の利便性を高める仕組みづくりも進めています。たとえばある地域では、既存の約1.2万世帯を対象としたプロジェクトが進行中です。地域のお店で買い物をするとポイントが貯まり、それをシェアサイクルなどに使える仕組みを構築しています。地域循環型のプラットフォームを提供することで、街の活性化にも貢献したいと考えています。
ーーAIのような新しい技術は、事業にどう活用していくお考えですか。
菊池正和:
AIはこれから本格的に導入していく予定です。たとえば防犯カメラの映像解析において、AIが異常を検知して通知するようになれば、セキュリティ精度は格段に向上します。将来的には、カメラ映像だけでなくさまざまなセンサーデータを統合的に解析し、事件や事故の発生を予測するといった活用も可能になるでしょう。データの利活用という点で、可能性は大きく広がっていると考えています。
KDDI時代に培った経営の礎「稲盛イズム」

ーー現在の経営観に最も影響を与えた経験は何ですか。
菊池正和:
社会人として最初に在籍した通信キャリアでの経験が、すべての土台になっています。当時は稲盛和夫氏が名誉会長としていらっしゃった時代で、事業内容だけでなく、人としてのあり方を学ぶ機会が多くありました。技術の進化とともに社会が大きく変わる中で、先輩方とともに成長できたのは貴重な経験です。お客様を大切にする姿勢や、社会人としてのフィロソフィなど、そこで培われた「稲盛イズム」とも呼べる精神が、今の私の根幹を成しています。
ーー事業を進める上で、特に重視されていることはありますか。
菊池正和:
私たちは「共創」を何より重視しています。自社の技術だけでは実現できないことも多いためです。たとえばスマートロックの開発では、鍵の専門企業と連携しています。また、自動車業界への展開においても、業界に精通したパートナー企業の力が不可欠です。他社の技術や製品・サービスと掛け合わせることで、日常使いの中で利便性や豊かさを実感できる付加価値を生み出す。これこそが、私たちが目指すセキュリティの形なのです。
また国内基盤が整いつつある今、海外展開も積極的に進める予定です。特に東南アジアでは、自動車盗難など日本と同様の社会課題を抱える地域が多くあります。弊社のスマートセキュリティ技術は、そうした国々の安心安全な社会づくりに貢献できるはずです。現地のニーズに合わせ、責任を持って事業を推進できる体制を構築していきます。
求める仲間と創る次のステージ
ーーどのような方と一緒に働きたいとお考えですか。
菊池正和:
スキルや経験以上に、好奇心を持ち、多くのことを吸収しようとする意欲のある方です。弊社には異業界出身のメンバーも多く、そうした多様な視点が新しいものを生み出す原動力になっています。面白い発想を持ち、私たちの考えに共感し、ともに成長していける方なら大歓迎です。
ーー最後に、貴社に興味を持つ若い世代へメッセージをお願いします。
菊池正和:
安心安全は人間の根源的な欲求であり、その領域に携われることは非常に魅力的です。若い世代の方々がこれからどのようなセキュリティを求めていくのか、ぜひ聞いてみたいですね。年齢に関係なく、思ったことを率直に言い合える環境で、次の時代の当たり前になるサービスを一緒に創っていけたら嬉しく思います。
編集後記
セキュリティという「有事」への備えに、「日常」の利便性や豊かさという新しい価値を加えていく。菊池氏の言葉からは、テクノロジーの共創によって暮らしの安心を再定義しようとする強い意志が感じられた。その想いは、他社との連携だけでなく、多様な人材が集う組織づくりにも貫かれている。家から街、そして世界へと広がる同社の挑戦は、テクノロジーがもたらす新しい安心の形として、私たちの生活に深く浸透していくだろう。

菊池正和/1976年生まれ、千葉県出身。芝浦工業大学工学部卒業。1998年第二電電株式会社(現・KDDI株式会社)に入社後、音楽配信サービス「LISMO」開発リーダーやコンシューマ向け商品企画、商品戦略マネージャーを経験。2015年株式会社VLOGを設立。その後、知人を介して株式会社Secualの創業者と出会い意気投合。2016年副社長として参画後、上場に向けての新体制として、2018年代表取締役CEOに就任。
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