※本ページ内の情報は2026年3月時点のものです。

1980年代、輸入車販売ビジネスで頭角を現した株式会社LUFTホールディングス代表取締役の南原竜樹氏は、イギリスの自動車メーカーの経営破綻という不測の事態により、一時は数十億円もの負債を抱えるどん底を経験した。しかし、そこからの歩みは力強い。レンタカー、出版、飲食、そして人材派遣と、領域を問わず新事業を次々に軌道に乗せ、再び売上高100億円の壁を突破。現在は、その膨大な実体験を武器に、若手経営者を導く「顧問業」を主軸に据えている。波乱の道のりを経て辿り着いた、真の経営哲学に迫る。

どん底からの再起 固定観念を捨てた「多角化」への転換

ーーまずは、これまでのキャリアについてお聞かせいただけますか。

南原竜樹:
学生時代から車一筋でビジネスを拡大してきましたが、2005年に最大の転機が訪れました。当時、独占販売契約を結んでいたイギリスのMGローバーが経営破綻したのです。その煽りを受け、一気に数十億円規模の負債を抱えることになりました。文字通り、人生という盤面が振り出しに戻った瞬間でした。当時は精神的な疲弊も激しく、一時は再就職も検討しました。しかし、45歳という年齢が壁となり、どこも雇ってくれない。それならば、自分の力でもう一度立ち上がるしかないと覚悟を決めたのです。

ーーもう一度立ち上がると決め、具体的にどのような事業に着手されたのですか。

南原竜樹:
MGローバーの破産を経験するまでは、「車以外の事業には手を出さない」という強い制約を自分に課していました。しかし、単一事業に依存するリスクを身をもって痛感したことで、その思考を根本から改めました。「これからは領域を限定せず、可能性のある場所へ向かう」と。沖縄でのレンタカー事業を皮切りに、出版、eコマース、ワイン輸入、さらにはミシュラン二つ星のフレンチレストランの経営まで、勝機を感じるものにはすべて挑戦しました。結果として、沖縄のレンタカー事業は7000台規模にまで成長。変化を恐れず動いたことが、再び売上高100億円を達成する原動力となりました。

成功を支えた「人材」の視点と組織構築の極意

ーー異業種で次々と成果を出せた要因は、何だったのでしょうか。

南原竜樹:
再起において大きな転換点となったのは、ある大手技術者派遣会社との出会いから始まった、人材サービス事業です。当時、その会社は採用難に直面していましたが、私は車屋としての発想を活かし、「福利厚生として高級車を導入し、それを広告塔にする」という手法を提案しました。これが功を奏し、説明会には1万人もの応募が殺到。この経験から人材ビジネスの構造を理解し、自らも医療系アウトソーシングなどの事業を立ち上げました。最終的にその事業を80億円規模で売却できたのは、表面的な手法ではなく、ビジネスの「勘所」を掴めたからだと確信しています。

ーー組織を安定させるマネジメントの要諦について教えてください。

南原竜樹:
一言で言えば「私自身に依存しない仕組みの構築」です。社員数が5000人規模になっても組織が機能したのは、権限委譲を徹底したからです。精緻な事業計画を立案する能力と、それを完遂できる組織構造。そして、労働分配率を高めて社員へ利益を還元する。この三要素が揃っていれば、業種を問わず成功の再現性は高まります。

自身の価値を社会へ還元する「顧問業」と次世代への思い

ーー現在、貴社が主軸として取り組まれている事業は何でしょうか。

南原竜樹:
現在は「顧問業」に注力しています。人生の「第四クォーター」を迎えるにあたり、自分が5000人の社員を背負って走り続けること自体が、経営上のリスクになると判断しました。これからは、私が培ってきたノウハウや人脈、そして「南原竜樹」という名前に寄せられる信頼を、次世代の成長のために役立てたい。それが現在の株式会社LUFTホールディングスが目指す姿です。現在は約100社の顧問を務めていますが、机上のアドバイスで終わるつもりはありません。経営者と共に事業計画を練り、資金繰りに奔走し、最適なビジネスパートナーを繋ぐ。泥臭く現場に介入し、企業の価値を底上げすることに心血を注いでいます。

ーー他にも、力を入れている取り組みはありますか。

南原竜樹:
AIを活用した支援です。AIは、経営の精度を飛躍的に高める武器です。弊社では、過去の膨大なデータや名刺情報を活用し、ビジネスマッチングや書類作成の効率化にAIを導入しています。最新のテクノロジーを駆使して、いかに最短距離でクライアントの利益を最大化できるか。常に手法をアップデートし続けています。

ーー最後に、次世代を担う方々へメッセージをいただけますでしょうか。

南原竜樹:
もし、経営の壁にぶつかり、出口が見えないのなら、迷わず私のところへ来てください。売上高が伸びない、資金繰りが苦しい、組織がまとまらない。企業が抱える悩みの大半は、私がすでに経験し、乗り越えてきたものです。情報が溢れる時代だからこそ、最後は「実体験に基づいた知見」と「確かなネットワーク」が成否を分けます。若い世代が壁を突破し、伸びていく姿を見るのは何よりの喜びです。私の失敗も成功も、すべてを皆さんの飛躍のために使い倒してほしいと思っています。

編集後記

かつて「虎」と呼ばれた男は、今、柔和な表情で次世代の育成を語る。しかし、経営の核心に触れる際に見せる眼光の鋭さは、修羅場を潜り抜けてきた者だけが持つ凄みを感じさせた。売上高100億円の栄光と絶望、その両極を知る南原氏の言葉には、事実という重みが宿る。自らのブランドを惜しみなく開放し、若手を鼓舞するその姿は、まさに生涯現役を貫く「不屈の挑戦者」の体現であった。

南原竜樹/1960年岡山県生まれ、愛知工業大学工学部中退。オートトレーディングルフトジャパン株式会社(現・株式会社LUFTホールディングス)設立。『マネーの虎』(日本テレビ系)に出演し「冷徹な虎」と呼ばれる。主取引先だったMGローバーの経営破綻により30億円以上の負債を抱えるが、たった一人で再起をはかり多角経営に転換、2016年には売上高100億円を達成した。現在100社以上の顧問になり、さらには日本を元気にすべく政治活動に邁進中。