※本ページ内の情報は2026年4月時点のものです。

「競売不動産」や「リノベーション再販」という言葉すら定着していなかった平成初期。不動産再生の未開拓地に足を踏み入れ、業界の健全化に奔走した男がいる。株式会社ハウスコンサルタント代表取締役の飛鳥居淳氏だ。占有屋が横行する不条理な状況に抗い、最高裁判所まで争って法改正の契機を作った事実は、同社が単なる不動産業者ではないことを物語る。現在は「売主の手数料完全無料」という独自のビジネスモデルと、「9時〜18時勤務」を掲げ、全国展開を見据える飛鳥居氏。激動の時代を切り拓いてきた「闘う経営者」の原点と、その視線の先にある未来を追った。

占有屋との法的闘争 競売不動産の夜明けを切り拓く

ーー創業の経緯を教えてください。

飛鳥居淳:
原点は、大手デベロッパーの大京観光株式会社(現・株式会社大京)での猛烈な営業経験にあります。規律の厳しさで知られる環境で、月数億円のノルマを背負い、電話と飛び込み営業を繰り返す日々。困難に立ち向かう圧倒的な精神力が、そこで叩き込まれました。独立を果たしたのは1992年、32歳の時です。バブル崩壊後の混乱期、多くの業者が手を引く中で、私は「競売不動産」に可能性を見出しました。落札した物件をリフォームして再生させる。今でこそ「リノベーション再販」として認知されていますが、当時は手探りのスタートでした。

ーー競売不動産を事業化するにあたって、どのような壁に直面されたのでしょうか。

飛鳥居淳:
それはまさに、「無法地帯」との戦いでした。当時問題となっていたのが「短期賃貸借権」の悪用です。競売にかかった物件に占有屋などが虚偽の賃貸借契約で居座り、不当な立ち退き料を要求する妨害行為が横行していました。私はこの不条理が許せなかった。だからこそ、弁護士と共に最高裁まで徹底的に争いました。「抵当権設定後の賃貸借は権利の濫用である」と主張し続け、ついには勝訴を勝ち取りました。この判決が呼び水となり、後の民法改正(民法395条)による短期賃貸借権制度の廃止、明渡し猶予制度への移行が実現したのです。不透明だった競売市場を、誰もが安心して参入できる市場へと変える。その一翼を担えたことは、私の誇りであり、事業の礎となっています。

先駆者としての再生で終わらせない 価値を蘇らせ繋いで最大化させる合理的メカニズム

ーー競合が増加する中、貴社が選ばれ続ける理由は何でしょうか。

飛鳥居淳:
最大の強みは、不動産を売却されるお客様から「仲介手数料を一切いただかない」という点です。一般的な不動産売却では、成約価格の約3%に相当する手数料が発生します。2000万円の物件であれば約60万円。決して安くない金額です。しかし、弊社は自社で物件を直接買い取り、再生・販売を行うため、仲介手数料という概念そのものが存在しません。近年は「買取」を謳う業者も増えましたが、蓋を開ければ仲介業者が介在し、手数料が発生するケースも散見されます。弊社は正真正銘の「売主と買主(自社)」の直接取引。中間コストを排除した分、お客様の手取り額を最大化できるのです。

ーーコストメリット以外での差別化ポイントはあるのでしょうか。

飛鳥居淳:
「スピード」と「資金力」、そして「愚直さ」です。多角的観点、それは路線価、公示価、過去事例、現販売事例、そして現場の生の声を聴き、それらを咀嚼・理解すること。これらを素早く頭に入れ、積算価格、DCF価格、比準価格などを土地建物に複合化させる「目利き力」により、業界歴40年の経験に裏打ちされた潤沢な資金準備とあわせて、数億円規模の案件であっても即断即決・即現金化が可能です。大手企業であっても決裁に時間を要することはありますが、私たちは待たせません。

しかし、機能的な価値以上に大切にしているのは「愚直に、謙虚に、真面目に」という姿勢です。どんなに時代が変わろうとも、お客様に対して誠実であること。奇をてらわず、当たり前のことを徹底する姿勢こそが信頼を生み、次の仕事へと繋がっていくと確信しています。

「優しさ」は「厳しさ」の先にある 生産性を極める組織論

ーー仕事をする上で大切にしている価値観を教えてください。

飛鳥居淳:
「真の優しさは、厳しさの中からしか生まれない」ということです。実家は三重県の寺院で、両親の躾は厳しいものでした。しかし、その厳しさの根底には、生き抜くための深い愛情と教えがあったと今は分かります。ビジネスも同様です。表面的な優しさだけでは、組織も人も破綻します。困難な課題に向き合い、厳しい競争を乗り越え、無駄を削ぎ落とした後に残る強さ。それを持って初めて、お客様や社会に対して本当の意味で「優しく」なれるのだと思います。

ーーそうした信念は、社員教育や組織づくりにおいて、どのように反映されているのでしょうか。

飛鳥居淳:
不動産業界=長時間労働という悪しき慣習を断ち切り、弊社は「9時〜18時」の定時退社を原則としています。これは単なる緩和ではなく、限られた時間内で最大の成果を出すための「規律」です。ダラダラと働くのではなく、密度濃く働き、結果を出した社員には給与や賞与で報いる。有給休暇の取得促進や家族手当の充実も、社員が安心して仕事に没頭できる環境を作るための投資です。現在は、この組織文化を継承し、共に拡大していける次世代のリーダー育成に注力しています。

全国展開を見据え、次代の同志を求む――「100トンの球」を動かす情熱を共に

ーー今後のビジョンと読者へのメッセージをお願いします。

飛鳥居淳:
今後は関西圏にとどまらず、全国への展開を加速させます。すでに名古屋や関東での実績も重ねてきましたが、私たちが培ってきた「再生流動化」のノウハウをシステム化し、より広範なエリアで不動産価値の最大化に貢献したいと考えています。そのために今、私たちは共に働く仲間を求めています。「日々邁進」の精神を持ち、適切な環境で的確な方向へと努力を積み重ねれば、動かないと思える「100トンの球」も動き出します。自身の成長と会社の発展を重ね合わせ、自ずから然るべき結果へ向かう「自然法爾」の境地をありのままに分かち合える方と出会いたいと思っています。

そして、不動産の処分にお悩みの方へ。私たちは、売主様から手数料をいただきません。これは揺るぎない事実であり、約束です。抱えていたモヤモヤを解放し、決意を持って次の一歩を踏み出す。その透明感あふれる「ありのまま」の未来を、私たちが支えます。少しでも高く、スピーディーに、そして安心して不動産を手放したいとお考えなら、ぜひ一度ご相談ください。誠心誠意、対応させていただきます。

編集後記

想像を絶する規律とノルマ。飛鳥居氏が語る下積み時代の厳しさは、現代の常識では計り知れないものがある。しかし、その極限の経験が単なる苦労話で終わらず、業界の法整備という社会的な成果に昇華されている点に、同社の真価がある。インタビューを通じて感じたのは、仏教的な精神性に裏打ちされた「正義感」と、合理的な経営判断を両立させるリーダーの姿だ。古い慣習を打破し続ける株式会社ハウスコンサルタント。その革新的な歩みは、不動産業界の新たなスタンダードとなるだろう。

飛鳥居淳/1960年三重県生まれ、関西大学卒。大京観光株式会社(現・株式会社大京)に入社し、8年の事業者としての武者修行期間を経て1992年に起業。1999年にグループ企業代表取締役社長に就任。