※本ページ内の情報は2026年6月時点のものです。

12歳の時に日本からアメリカへ移住し、異文化の中で多感な時期を過ごした伊東グローニング七菜氏。大手スポーツアパレルブランドなどでのキャリアを経て、サステナビリティへの葛藤から教育の道へと進み、同社の代表に就任した。同社は単なる留学エージェントではなく、自社で学校を運営する教育機関としての強みを持つ。完璧主義より「まず挑戦する」カルチャーを重視し、失敗も成長の糧として捉えている。AI時代に光る対話力や原体験の価値を最大化しようと奮闘する彼女に、組織の独自性や今後のビジョンについてうかがった。

サステナビリティの葛藤から「教育」へ 人生そのものがミッション

ーーこれまでの歩みと、教育業界へ進まれた経緯を教えていただけますか。

伊東グローニング七菜:
私は12歳の時に家族でアメリカに移住し、現地の公立の学校へ通うことになりました。そこでの生活を通して、何でもチャレンジする冒険心を身につけていきました。大学卒業後はファッション業界などで10年ほどキャリアを積んできましたが、コロナ禍で大きな転機を迎えます。沖縄でサンゴの白化を目の当たりにしたことで、自分がいる業界でどれだけのものがごみになっているのかと、強い疑問を抱くようになりました。

その後、循環型社会に特化したスタートアップにジョインし、社会にポジティブなインパクトを生むには教育が必要不可欠だと学んだのです。今後のキャリアを見つめ直した時、自分自身の留学経験や親のバックグラウンドとも重なる教育の道へ進むことを決意し、海外留学EFへの入社を決めました。EFが掲げる「人生が変わる経験を、この留学で。」というフレーズにも強く共感しています。私には「人生で一度は留学すべきだ」という強い確信があり、一人でも多くの方を海外へ送り出し、社会に良い影響を与えていくことは、私にとって人生のミッションそのものだと感じています。

ーー貴社のサービスが持つ、他社にはない独自性や強みは何ですか。

伊東グローニング七菜:
最大の強みは、私たちが単なる仲介エージェントではない点です。国際教育機関として自社で学校を運営しています。全世界に5万人以上の職員がいますが、半数以上は教員や運営スタッフです。現地の校長先生とも電話一本で繋がり、緊急時の対応が非常にスピーディーです。

また、スイス本社直轄の意思決定スピードも大きな特徴です。現場の裁量が大きい環境も整っています。私たちの組織は“計算された混沌”、つまり「Organized Chaos(オーガナイズド・カオス)」とも言えるカルチャーを持っています。グローバル企業でありながらスタートアップ感の強い組織なのです。そのため、あえてガイドラインをつくらず、世界の状況に合わせて24時間以内で戦略をピボットすることもあります。

ーーそのスピード感を生み出すため、社内ではどのようなマインドを共有しているのですか。

伊東グローニング七菜:
完璧を求めるよりも、まず挑戦してみる姿勢を大切にしています。語学も同じで、完璧な文法を求めるよりまずは伝えようとする力が重要です。その姿勢がコミュニケーションを生むのと同じだと考えています。私たちの会社にはリスクテイクを歓迎する文化があります。常に変化する世界情勢の中でフレキシブルな対応が求められます。新しい方法を見つけ出し、失敗してもそれを学びに変えることが大切です。次に生かすことが重要だとスタッフにも伝えています。

DXとAIで効率化し人間にしかできない「原体験」の価値を高める

ーー顧客体験を向上させるため、テクノロジーはどのように活用されていますか。

伊東グローニング七菜:
LINEでのカウンセリング予約やAIチャットボットを活用しています。これは単なる省力化ではなく、作業を効率化するためです。お客様と向き合う時間を最大化するための仕組みづくりです。また「キャンパスコネクト」というアプリを導入し、滞在先の情報や数ヶ月先までのアクティビティを可視化しています。18歳以下のグループ留学の学生さんの場合は、保護者の方もアプリで写真などを見られます。安心して送り出せる体制を整えました。

ーーAI時代において、留学という体験の価値はどう変わっていくとお考えですか。

伊東グローニング七菜:
テクニカルなスキルはAIが瞬時に行ってくれる時代になりました。だからこそ、人前で話して感情や熱意を伝えることの価値が高まっています。チームで意見を交わすといった人間本来の対話力が重要です。私たちの学校では「インターナショナルミックス」と「スピーキング」を重視しています。世界中から集まった多国籍な留学生たちと同じ環境で多様な価値観に触れながら実践的なコミュニケーション力を養う仕組みです。AIには決して代替できない「留学という原体験」の価値を最大化します。そのためにリアルな対話の経験を提供しています。

自律と挑戦を楽しむ「ブーメラン文化」フラットな組織で仕組みをつくる面白さ

ーー採用や組織づくりにおいては、どのような変革を行っていますか。

伊東グローニング七菜:
より顧客と現場に近い組織にするため、組織体制をフラットにしています。同時に、今期から中途採用を全国の支局で強化しておりBtoCセールスやマーケティングのプロを募集しています。弊社で働く面白さは、グローバルな視野を持ちながら仕組みをアレンジできる点です。日本独自の市場に合わせて自分の手で構築できる裁量があります。

また、自社の語学プログラムを自ら利用できる制度も用意しています。その上、現地視察を行う『ファムトリップ』を体験できるのも大きな魅力です。営業成績に応じた海外研修に参加が可能など、インセンティブも充実しています。

ーーどのような方に仲間になってほしいとお考えですか。

伊東グローニング七菜:
「教育を通じて世界を変えていく」というミッションに共感してくれる方です。すべてが整ってはいるわけではない環境を面白がりながら挑戦できる方を求めています。自らインパクトを出そうと動けることが大切です。実は弊社には「ブーメラン」のカルチャーがあります。一度退職して外の世界を見てから、また戻ってくる文化です。日本のオフィスでもこれまで何人も戻ってきてくれた人がいます。この会社のミッションや仕事環境には中毒性とも言える魅力があるのだと思います。ぜひ一緒に新しい仕組みをつくり上げましょう。多くの人の人生を変えるサポートをしていきたいと考えています。

編集後記

サステナビリティの最前線で感じた葛藤から「教育」へと舵を切ったストーリーが印象的だった。直営校を持つ「教育機関」だからこその圧倒的なスピード感がある。そしてあえて余白を残す「Organized Chaos」の文化も魅力的だ。AI時代に求められる温かい対話力を育む同社のプログラムは人生の転機を提供する。独自のインセンティブ制度や、社員が戻ってくる「ブーメラン文化」も特徴だ。挑戦を称え合う魅力的な組織から、今後どのような革新が生まれるのか期待が高まる。

伊東グローニング七菜/家族と12歳の頃に日本から米国へ移住。南カリフォルニア大学卒業後、コペンハーゲン・ビジネス・スクール(デンマーク)へ留学。その後、インドネシアの投資NPOや、大手スポーツメーカーN社でのリテール及びeコマース領域を中心としたブランド成長、スタートアップの拡大等、多様なビジネス経験を経て、海外留学EFに参画。日本法人初の女性カントリーマネージャーとして、グローバル教育事業の拡大と組織の成長をリード。