
株式会社ブレイク・フィールド社は、月間数百万人が訪れる「ファイナンシャルフィールド」を運営するメディア事業と、デジタルマーケティング事業を展開している。同社を率いる井田正幸氏は新卒でベンチャーキャピタルに入社した異色の経歴の持ち主。数多くの経営者と対峙する中で「自ら事業を創りたい」という思いが芽生えたという。会社としての「性格目標」を、ブレイクスピリッツとして掲げて、自律的な組織を築く井田氏の軌跡と今後の展望についてうかがった。
起業の原点は「自分で打席に立つ」ことへの渇望
ーーまずは、これまでのご経歴を教えていただけますか。
井田正幸:
就職活動の際には、新しい産業や新しいことに挑戦できる会社で働きたいと考えていました。そういった背景から、当時まだ珍しかったIT系のベンチャーキャピタルに入社したのです。入社後は、投資開発の営業として成長の可能性がありそうな企業へトップ営業を行い、審査から投資後のフォローまで一貫して携わっていました。
ーーそこからご自身で起業しようと思ったきっかけは何だったのですか。
井田正幸:
投資開発活動を通して、何十人ものエネルギッシュな経営者の方々とお会いする機会がありました。その中で「これは新卒でやる仕事ではないな」と感じたのです。たとえば、自分で野球をやったことがないのに打席に立つ人にアドバイスをするのと同じように、新卒が、事業を評価するなんて恐れ多いことです。今後投資の仕事を続けるにしても、まずは自分で事業をやるべきだと考えました。そこで、退職後にシリコンバレーのインキュベーター等でインターンを経験し、そして帰国後の2000年に株式会社ブレイク・フィールド社を設立しました。
自社メディアという「実験の場」が圧倒的な強みを生む

ーー改めて、現在の事業内容と貴社の強みについて教えてください。
井田正幸:
現在は自社メディア事業とデジタルマーケティング事業を展開しており、メディア事業では暮らしとお金の課題を解決するメディアを運営しています。「ファイナンシャルフィールド」では月間約700本ほどの記事を制作し、現在では数百万人が集まる大手メディアへと成長しました。
弊社の最大の強みは、自社メディアで数百万人集めるコンテンツマーケティングのノウハウと共に、サービスの比較サイトのメディアも運営し、集客のために年間で数億円規模のGoogleや、Yahoo!、新興メディアで実際に広告を出稿していることです。そこで得た最新の自社の広告結果、「何の広告が当たるのか、どんなコンテンツが当たるのか」という生きたノウハウが蓄積されているため、その知見をお客様に直接提供できる点が強みとなっています。
ーー海外展開は比較的早い時期からスタートされたのですか。
井田正幸:
2014年にベトナムに子会社を設立しました。また、2016年にはタイへも子会社を設立して進出を果たしています。現地で使用されるインターネットのメディアは日本と同じ環境だったため、我々のノウハウも十分に活かせると考え、進出しました。ベトナムでは医療保険の比較サイトを展開しており、十数万人のデータ基盤を構築しつつ、システム開発の機能も持っています。
成功の反対は失敗ではない困難を前向きに捉える「プラス受信」
ーー経営される中で大切にしている考え方や思いはありますか。
井田正幸:
「プラス受信」という言葉を大切にしています。世の中で成功している経営者は過去の失敗談を嬉しそうに語るものです。大変な時や困難な出来事であっても前向きに捉えて乗り越えられ、後々「あの経験のおかげで成功できた」と言えるようになります。成功の反対は失敗ではなく「挑戦しないこと」です。失敗を恐れずに物事を前向きに受け止める考え方を重視しています。
ーー「性格目標」という独自の指標について教えていただけますか。
井田正幸:
会社にも人と同じように「性格」があると考えており、どんなに儲かっていても暗い会社があれば、一方で明るい会社もあります。私たちは前向きに、そして互いに足を引っ張り合うことなく仕事を進める姿勢を大切にしています。そのため、愚痴や悪口を言わずに良い思いを持つことなどを「会社の性格目標」に掲げ、人事評価ともリンクさせながら組織を運営してきました。
たとえ大きな売上高を上げたとしても、周囲に不満ばかりを漏らす人は正当に評価されません。月に数回は、この目標について私を含め社員同士で、ディスカッションする場を設けることで、全社的な理念の浸透を図るよう努めています。
情熱を「行動」に移せる人と共に新たな歴史を創る
ーー今後の事業の展望について、お話しいただけますか。
井田正幸:
メディア事業では既存のジャンル以外にも新しいメディアを立ち上げ、さらに海外でのメディア創造にも積極的に挑戦していく方針です。デジタルマーケティング事業においては、ベトナムやタイだけでなく、すでに進出し始めているインドネシアなど東南アジアの他国へもさらに展開を広げていきます。日本の枠に留まらず、東南アジアにインドを含んだ20億人規模の巨大な市場に向けて進出することで、我々のノウハウを提供し、広く社会の役に立っていきたいと考えています。
ーー最後に、読者に向けてメッセージをお願いいたします。
井田正幸:
情熱を持ち、それを「行動」に移せる人と一緒に働きたいと思っています。弊社では若いうちから大きな挑戦ができる環境が整っており、実際にタイ法人の社長は新卒7年目で就任しました。さらに来年は、現在5年目の若手社員が同法人の社長に就任する予定です。
業務に必要なスキルは後からいくらでも身についてくるため、失敗を恐れずに挑戦し、困難をプラスに捉えられる方を探しています。そのような方であれば必ず大きく成長できるはずだと確信しており、自分の可能性を信じて行動できる方からのご応募をお待ちしています。
編集後記
「起業したことないのに他社の事業を評価できない」という率直な思いから起業し、数百万人が集まるメディアを育て上げた井田正幸氏だ。根底には失敗を恐れず挑戦し続ける「プラス受信」の精神がある。社員の人間的成長を重んじる「性格目標」という揺るぎない軸をぶらすことなく、メディアとデジタルマーケティングの世界で確かな実績を出し続けてきた。そうした組織の血流となる「人の心のあり方」を最も大切にする企業でもある。日本とアジアを舞台にどのような新しい価値を創造していくのか。今後の同社のさらなる飛躍から目が離せない。

井田正幸/1971年生まれ。1995年に多摩大学経営情報学部卒業後、CSKベンチャーキャピタルにて投資開発を担当(IT分野)。 1998年、IDAビジネスインキューベーターを設立。2000年、ブレイク・フィールド社を設立。現在、同社代表取締役社長。2014年、Break Field Vietnam Co., Ltd.会長(現任)。2016年、Break Field(Thailand) Co., Ltd.取締役(現任)。