
飲食業界において職人の人口が年々減少していく中で、株式会社Chef’s valueは「飲食業界をもっと魅力的なものとして感じていただくこと」「登録者一人ひとりが、より活躍できるステージを創り出すこと」の二つに本気で向き合い、日々取り組んでいる。同社は、親会社である株式会社クリーク・アンド・リバー社が掲げる「プロフェッショナルの生涯価値向上」という理念を飲食領域で具現化すべく、人材紹介(エージェント)事業を基盤としながら、自ら実店舗を運営する独自の展開を見せている。2025年に代表取締役に就任した青木寛和氏に、同社の取り組みと、料理人・飲食業界への思いをうかがった。
エージェントの枠を超え実店舗「Cassolo(滑走路)」で創出する活躍の場
ーー貴社はエージェント業でありながら、自社で実店舗を運営されています。その理由を教えてください。
青木寛和:
私たちの最大の目標は「料理人の生涯価値の向上」です。人材紹介は、そのための大切な手段の一つですが、それだけでは不十分だと考えています。自分たちで飲食店を持ち、直接活躍できる場所を提供することで、料理人の価値をさらに高めていきたいという思いがあります。現在運営する実店舗「Cassolo」は、飛行機が離着陸する「滑走路」から名付けられました。ここで経験を積んだ料理人たちが、次のキャリアに向けて我々の紹介を介して羽ばたいてもいいし、いつでも戻って来られる帰還場所にしてもいいという意味が込められています。沢山の料理人が集う場であると同時に、若手育成の拠点としての役割も担っています。
ーー実店舗を起点に、具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか。
青木寛和:
「Cassolo」を起点とし、現在の注力施策として主に2つのイベントを展開しています。1つは、料理人のコミュニティ形成を目的とした「Chef meets」です。これは2ヶ月に1回程度、「包丁研ぎ」や「食育とキャリア」など多様なテーマを設定し、シェフ同士が知見を深める場を提供しています。もう1つは、若手料理人が渾身の一皿をつくり、お客様へ直接プレゼンを行う「NEXT TABLE」です。将来的には、この「NEXT TABLE」への出場自体が料理人のステータスとなるような、権威ある登竜門へと育てていく方針です。同時に、独立を志す料理人と投資家や企業とのマッチングを図る場としても機能させていきたいと考えています。
ーー独立までの支援体制についてはどのようにお考えでしょうか。
青木寛和:
未経験者が「Cassolo」で基礎技術を習得し、外部で経験を積んだ後、再びCassoloに戻って経営やマーケティングを学び、独立へと繋げていく。私たちはこれを「アカデミー」と呼んでおり、現在はそのカリキュラム構築を目指して整備を進めている段階です。独立後も継続してサポートを行う、こうしたワンストップの伴走こそが最善の支援だと信じています。将来的には、年間10人のオーナーシェフを輩出できるようなモデルを目指しています。
1人ひとりに寄り添うマッチングと新たな挑戦

ーー既存のエージェント事業における強みは何にあるとお考えですか。
青木寛和:
求人サイトで広く集客するのではなく、登録者一人ひとりと深く向き合う「現場伴走型」の姿勢です。その方の適性に合致する案件のみを提案するため、クライアント企業からも「自社に合う人材を的確に紹介してもらえる」と評価をいただいています。紹介して終わりではなく、「Cassolo」を通じて、引き続きコミュニケーションを取ることにより、常に異なるキャリアの選択肢を提案できることが強みです。
ーー今後の事業展開についても教えてください。
青木寛和:
新たに「出張料理サービス」をスタートします。シェフが直接ご家庭へうかがい、記念日などにフルコースを振る舞う事業です。私たちにはエージェントとして培った約5000名の料理人のネットワークと、全国規模のリーチがあります。一般消費者向けのBtoC(※1)展開はもちろん、ハウスメーカー様が成約者特典として提供するようなBtoBtoC(※2)領域への販路開拓も見据えています。
(※1)BtoC:「Business to Consumer」の略。企業が一般消費者に対して商品やサービスを提供するビジネスモデル。
(※2)BtoBtoC:「Business to Business to Consumer」の略。企業(同社)が別の企業(ハウスメーカー等)を介して、その先の一般消費者にサービスを提供するビジネスモデル。
事業を創り上げる「自走型人材」と共に描く未来
ーーどのような方と一緒に事業を大きくしていきたいとお考えですか。
青木寛和:
弊社はまだ発展途上のフェーズにあり、自ら考え、行動できる「自走型人材」を強く求めています。自身の得意領域を活かし、前例のない事業開発に参画したいという方にとって、非常に刺激的な環境だと思います。
ーー会社に参画される方には、どのようなマインドを期待されていますか。
青木寛和:
私たちの根底にあるのは「料理人の生涯価値の向上」という揺るぎないビジョンです。この思いに共感し、圧倒的な熱量を持って共に歩んでくれる仲間を歓迎します。会社が目指すビジョンを深く理解し、立ち上げメンバーとして強固な基盤を築いていきたいという強い意志を持つ方をお待ちしています。飲食業界の常識を覆すようなやりがいのある環境で、私たちと一緒に新たな未来を創り上げましょう。
編集後記
「料理人の生涯価値を最大化する、ニューノーマルへの挑戦」。青木氏が語る未来図は、単なる人材紹介の枠を大きく超えている。現場での徹底した伴走と、実店舗や新規サービスを通じた多角的な価値提供。将来的には、「食のビジネスのこと、キャリアのことで迷ったら、まずはChef‘s valueに問合せしよう」と誰もが真っ先に思い浮かべる、業界にとって不可欠なプラットフォームへと進化していく。料理人の可能性を切り拓き、飲食業界の未来を根本から変えていく同社の壮大な挑戦に、大いなる期待と高揚感を抱かずにはいられない。

青木寛和/1983年千葉県生まれ、明治大学卒。2006年株式会社プリオコーポレーションに入社。その後飲食店検索サイトの営業を経て、2018年株式会社クリーク・アンド・リバー社にて料理人に特化した人材紹介事業に従事。2023年、同社の一部門から事業移管する形で設立された株式会社Chef's valueへ参画。取締役を経て、2025年5月より代表取締役就任。店舗運営×エージェント事業を行う。