※本ページ内の情報は2026年6月時点のものです。

中華圏をはじめとするアジア地域のテレビ番組リサーチやロケの手配、映像制作を手がける株式会社フライメディア。同社を牽引する代表取締役社長のワンタオ氏は、大学時代のアルバイトからキャリアをスタートし、長年現場で実務を経験してきた人物だ。「人と人とのつながりを何より大切にする」と語る同氏に、仕事への原動力や同社ならではの強み、そしてアジア全域への展開を視野に入れた今後の展望について聞いた。

憧れの日本でアルバイトからスタート 「異なる文化を伝える」喜びに目覚める

ーーまずは、日本に留学した経緯を教えていただけますか。

ワンタオ:
日本のドラマを見たことがきっかけです。幼い頃、地元である上海のテレビに日本語専門のチャンネルがあり、そこで日本のドラマが放送されていました。それを見て「東京っていいな」と強く憧れを抱き、日本への留学を決意しました。日本語の勉強は難しかったですが、日本に住んでみたいという強い思いが原動力になりました。

ーーその後、貴社へ入社した経緯を聞かせてください。

ワンタオ:
大学4年生のときに、友人から「テレビの仕事をしてみないか」と声をかけられ、アルバイトとして働き始めたのが始まりです。当時はテレビ業界の知識は全くありませんでしたが、リサーチや翻訳などの業務を手伝っていくうちに仕事が面白く感じるようになりました。そのため、卒業後も就職活動はせずにそのまま社員として入社しました。それからは、通訳や現地手配、番組制作など、少しずつ仕事の幅を広げていきました。

ーー事業のどのようなところにやりがいを感じていますか。

ワンタオ:
「架け橋」としての役目を担えることが、一番のやりがいですね。私は外国人として日本で生活しながら、日本の良いところを本国へ伝え、逆に自分の国の良いところを日本へ伝えています。異なる文化を持つ人同士のコミュニケーションを円滑にし、お互いの理解を深めていく過程に楽しさを感じています。

年間約400本の制作を支えるリサーチ力と独自の人脈

ーー貴社の事業内容と、独自の強みを教えてください。

ワンタオ:
メインの事業は、テレビ番組のためのリサーチや現地の手配、遠隔での撮影手配です。特に中国本土における取材許可の取得などには長年の実績があり、大きな強みとなっています。また、遠隔で現地の撮影を行うリモートロケにも対応が可能です。年間で200〜400本の依頼をいただいており、9割以上がテレビ番組の制作ですが、日本の大手メーカーや小売チェーンなど、業界を問わず企業のPR動画の制作や中国での撮影なども受注しています。

もう一つの大きな強みは、あらゆる業界の人とつながりを持っていることです。番組制作を通じて、食品や家電、日用品などさまざまな分野の専門家や企業とネットワークを築いている点は、他社にはない私たちの武器だと考えています。

ーーこれまでのキャリアで特に印象に残っているエピソードをお話しいただけますか。

ワンタオ:
人気バラエティ番組『世界の果てまでイッテQ!』の企画で、海外テーマパークの20周年記念ロケを担当した経験は印象深いですね。ガンバレルーヤのお二人が、ディズニーのステージでダンサーたちと一緒にショーへ出演する企画でした。私は現場で全ての取りまとめを担い、バックステージで行われたリハーサルから、ミッキーをはじめとするキャラクターたちとショーをつくり上げる過程までを間近で見守りました。番組史上初となるディズニーでの大規模な企画を無事に成功へ導くことができ、「この仕事をやり遂げたからには、もういつ定年しても悔いはない」と心から思えるほどの大きな達成感を得られました。

誠実な関係構築を基盤にアジア圏への事業拡大を目指す

ーー仕事をするうえで、軸としている考え方は何ですか。

ワンタオ:
「付き合い」や「つながり」を大事にすることです。特に私たちの業界は、人と人との付き合いで成り立っているといっても過言ではありません。この人間のつながりの輪が崩れてしまうと、仕事が機能しなくなるのです。だからこそ、すべての仕事、すべてのクライアントに対して正々堂々と真面目に付き合っていくことを心がけています。ごまかさずに誠実に向き合ってきたことが、今の仕事にもつながっているのだと思います。

ーー今後、事業として注力していきたい分野は何でしょうか。

ワンタオ:
「架け橋」という会社の根本的な価値観は、私が社長になる前も後も変わりません。ただ、事業を展開するエリアは広がっています。これまでは中国や台湾、香港、マカオといった中華圏がメインでしたが、現在は韓国やベトナム、マレーシアなどの東南アジアにも事業を展開し始めています。

また、自社で映像許諾のシステムを構築したことも新しい動きです。番組制作では映像の使用許諾を取る作業が頻繁に発生しますが、これを迅速に行えるようにしました。間もなく関係者向けに公開し、より豊富な情報をスピーディーに提供できる体制を整える予定です。

求めるのは語学力と思いやりの心を持つ「架け橋」の担い手

ーー今後、どのような人材と一緒に働きたいとお考えですか。

ワンタオ:
大前提として、日本のクライアントと円滑に仕事を進めるために、日本語能力検定の「N1」以上の語学力を必須条件としています。弊社のスタッフは日本語、英語、中国語をベースに会話が可能です。ただ、語学力はあくまで基礎。その上に求められるのは、日本社会や相手国のルールをきちんと守れる人間性です。国籍を問わず、つながりを大切にできること、そして柔軟な考え方ができる方をお迎えしたいですね。

ーー最後に、今後の会社の展望を教えていただけますか。

ワンタオ:
これからも「架け橋」としての役割は絶対に守り続けていきます。そのうえで、特定の業務だけに依存するのではなく、私たちが培ってきたリサーチ力や幅広い業界とのネットワークを活かして、新しい事業の柱を育てていく考えです。多様な業界とのつながりという唯一無二の強みを活かし、変化の激しい時代でも柔軟に展開できる組織を目指していきます。

編集後記

アルバイトからキャリアをスタートし、現場の実務を熟知するワン社長。穏やかな語り口の中にも、「人とのつながり」や「誠実さ」を何よりも重んじる、熱く揺るぎない信念が感じられた。長年培ってきたリサーチ力と、業界を問わない幅広いネットワークは、メディア業界の枠を越えて多くの企業にとって心強い味方となる。中華圏からアジア全域へと活躍の場を広げ、常に新しい挑戦を続ける同社の「架け橋」としての歩みは、これからも多くの人や文化を結びつけていくことだろう。

ワンタオ/1978年生まれ。中国上海出身。国士舘大学卒業。2007年、株式会社フライメディアに入社し、2022年8月に代表取締役社長に就任。中華圏において日中の架け橋活動にも注力している。