
「日本の食品ECにおける絶対的なリーダーになりたい」。そう語るGastroduce Japan株式会社の若松友貴氏は、前職だった楽天グループ在籍時から確かな実績を上げ続けた。現在は食品ECに特化したコンサルティングと運営代行で業界を牽引している。TikTokショップなどの動画コマースでも実績を重ね、最先端のAI技術を社内インフラとして駆使する同社。なぜ彼らは各モールで結果を出し続けられるのか。実直な「実行力」の裏側にある戦略と、日本の食を世界へ届ける展望に迫った。
経営への憧れから一橋大学へ 確かな成果を生んだ楽天グループ時代の「没頭」
ーーまずは、若松社長が経営を志した原点についてお聞かせいただけますか。
若松友貴:
社会に影響を与える経営者になりたいという強い思いが原点です。中学生の頃、著名な経営者の著書や活躍に触れ、経営への関心を深めました。そこで、経営を体系的に学ぶために商学部が有名な一橋大学へ進学したのです。卒業後は、市場が成長していたこともあり、経営者の理念に共感できた楽天グループに入社しました。
ーー前職ではどのようなご実績を積まれたのですか。
若松友貴:
在籍中に複数回MVPを受賞しました。その最大の要因は、データ分析と抽象化思考に没頭したことだと考えています。休日の時間も惜しまず販売データを徹底的に調べ、売れる仕組みの猛勉強に励みました。
私自身、物事を抽象化して捉えることを得意としており、たとえば「父の日にお酒のおつまみが売れる」という事実から、他の商材でも同じ構造が通用するのではないかと仮説を立てたのです。そこで、当時は誰も注力していなかった「馬刺し」を父の日に提案したところ、大きな反響を得ることができました。このように要素を分解し、勝算のある領域へ挑むプロセスを繰り返した結果、確かな実績を多数生み出すことに繋がっています。
各モールの特性を攻略 外部企業との伴走に見る「実行力」

ーーECコンサル業界の中で、貴社ならではの強みは何だとお考えですか。
若松友貴:
助言にとどまらず、実直に「実行」まで担う運営代行の姿勢が強みです。弊社には楽天グループ出身者が多く在籍しますが、どのモールでも売上高を伸ばす仕組みを持っています。
たとえば、Yahoo! JAPANであれば、検索流入を狙う施策。楽天市場であれば、衝動買いを誘発するランキング戦略。Amazonはタイムセール活用など、各モールの特性や顧客行動に合わせた緻密な運用を徹底するのです。すべてのアクションは、クライアントの流通規模をどう拡大するかという視点に集約されます。「儲けを超えた本質的なパートナーシップ」に基づくものです。
ーークライアントとは普段どのような関係性を築かれているのでしょうか。
若松友貴:
単なる支援や代行という枠を超え、互いの強みを活かして事業をともに創り上げる、強固なパートナーとしての関係性を築いています。その象徴と言えるのが、ある大手外食チェーン企業との取り組みです。
きっかけは、私がまだ楽天グループに在籍していた頃の商談でした。その企業様は「他のECモールに比べて楽天での売上が伸び悩んでいる」という課題を抱えていたのです。そこで私は「半年以内に売上を6000万円まで引き上げます」と約束し、独自のマーケティング施策を実行しました。その結果、約5カ月で目標を達成することができました。
この実績を高くご評価いただき、私が独立するタイミングで正式にEC事業を任せてもらえるようになりました。現在では同社のEC規模は70億円にまで成長し、合弁会社を立ち上げるほどの深い間柄となっています。私たちが得意とするマーケティング支援と、先方が培ってきた巨大な物流体制やカスタマーサポートを組み合わせることで、商品の製造から販売、お客様のお手元に届くまでをすべてカバーできる独自の仕組みを構築しました。
ーーTikTokショップなどの動画市場にも参入されているそうですが、ご実績はいかがでしょうか。
若松友貴:
動画で食品を販売するのは困難だという定説を覆し、トップクラスの実績を築いています。中国市場の規模からポテンシャルを見出し、ある洋菓子店で初月から3000万以上を売り上げるヒットを生み出しました。現在では福岡や東京にライブ配信用のスタジオを新設しており、今後もこの動画コマース領域は事業の大きな柱になります。
マインドセットを最重視する組織づくりとAIが支える未来の基盤
ーー事業が急成長する中で、採用方針において最も重視されていることは何でしょうか。
若松友貴:
「やる気と根性」です。採用にあたっては、過去の経験よりもマインドセットを9割重視しています。たとえばTikTokのような新市場において、過去の知見は必ずしも通用しません。それよりも、やる気と成長意欲さえあれば、入社後にスキルを十分に引き上げることが可能です。
ーー組織が拡大するにあたり、社内環境の整備などで注力していることを教えてください。
若松友貴:
女性が働きやすいコーポレート基盤の整備です。現在、社員の約7割が女性であるため、柔軟な働き方の実現やキャリアフローの構築に力を入れています。また、社内インフラとしてのAI活用にも積極的に投資してきました。自社開発のナレッジベースには、過去のコンサルティングの知見がすべて蓄積されており、AIがそれを効率的に引き出します。最先端の事業成長を支える「オーナーシップを持ったプロジェクトマネージャー(PM)の育成」に注力し、AIの力で従業員の生産性をさらに高めていきます。
ーー最後に、今後の展望や目指すべき会社の姿についてお聞かせいただけますか。
若松友貴:
私たちが今後目指すのは、「日本の食品ECにおける絶対的なリーダー」としての地位確立です。直近では、TikTokやライブコマースといった動画市場を力強く牽引しており、アメリカ向けの越境ECサービスを一斉にスタートさせる準備も整えつつあります。現在の円安を追い風とし、「日本の食の美味しさ」という世界的にも価値の高い魅力を海外へと導いていくのが、私たちの描く壮大な展望です。
そして将来的には、ミシュラン料理人などが手掛けるラグジュアリーな食品を扱い、新しいプラットフォームの構築もしていく考えです。「食品を通して日本の国力を強くする一助となりたい」という大きな使命に向かい、テクノロジーと圧倒的な実行力を掛け合わせながら、果敢に挑戦を続けていきます。
編集後記
若松社長の言葉からは、クライアントの成長にどこまでも実直に伴走する「実行力」への強い誇りがうかがえた。一橋大学から進学した楽天グループ時代に培われた、データ分析と抽象化思考への「没頭」が現在の確かな基盤となっている。次々と台頭する新しいプラットフォームや最新のAI技術を軽やかに乗りこなす同社。日本の食を世界へ広め、国力を高めようとする飽くなき挑戦はこれからも続く。彼らが切り拓く未来に期待は尽きない。

若松友貴/1989年、福岡県生まれ。一橋大学商学部卒業。2014年に楽天株式会社(現 楽天グループ株式会社)に入社し、楽天市場のECコンサルタントを担う。同社在籍中には楽天賞2回、楽天市場MVP3回受賞。累積担当社数は1,000社超。数多くの食品業者を中心にEC事業の拡大に寄与した。2017年に食品ECに特化した実行型コンサルティング企業・Gastroduce Japan株式会社を設立。