※本ページ内の情報は2026年7月時点のものです。

韓国で生まれ育ち、高校時代から「日本に関わるビジネスでの起業」を志していた閔氏。世界的メーカーのサムスン電子や大手グローバルEC企業のAmazonでキャリアを重ねた後、目標を実現し起業を果たした。同氏が率いる株式会社ブリッジスマイルは、全国の職人と、製品の設置サービスを必要とする事業会社をつなぐ独自のシステムを提供している。世界的企業で培った知見は、いかにしてアナログな現場の課題解決へと結びついたのか。労働環境の改善から業界全体の底上げまで、同氏が描く「エッセンシャルワーカー」たちの未来と、組織の展望に迫る。

世界的企業で学んだ「意思決定のスピード」と「再現性のある仕組み」

ーーまずは、起業を決意された背景からお聞かせください。

閔融:
起業を明確に意識したのは高校1年生のときです。学校のプログラムで人生設計を立てた際、当時の韓国より先進的だった日本に関連するビジネスを自ら立ち上げたいと考えました。その原点には、大韓商工会議所の国際部で日本と関わる仕事をしていた父親の影響があります。父の話から日本について学ぶべきことが多いと感じていたため、まずは大学で日本語と日本の文化を学び、将来の起業を見据えて準備を進めていきました。

ーー起業するにあたって、どのようなキャリアを歩まれたのでしょうか。

閔融:
大学卒業後にまずは、サムスン電子に入社しました。ここでは、日本の営業マーケティングを担当し、2011年からは日本駐在員として東京に赴任しています。その後、BtoCのビジネスを経験するためにAmazonへ転職しました。

サムスン電子では、トップの意思決定の速さとスピーディーな実行力の重要性を学びました。新技術やビジネスの提案に対し即座に決断を下し、圧倒的な速さで商品化する。その実行力は、現在の弊社の事業にも活きています。

また、2社目のAmazonで学んだのは、再現性のある仕組みをつくる力です。個人の単発的な実績より、その成果が横展開できる仕組みになっているか否かという点を評価されました。数値を分析し、持続的に成長できる仕組みを構築する。この2社で学んだ「実行力」と「仕組みづくり」が、現在の確固たる土台になっています。

職人の「3つの無駄」を排除し本業に集中できる環境を

ーー貴社の現在の事業内容をお聞かせください。

閔融:
全国の職人さんと、製品の「設置」を必要とする事業会社様を円滑につなぐ独自のシステムを提供しています。具体的には、ECプラットフォーム、メーカー、販売代理店、家電量販店といった事業会社様が販売した製品として、エアコンや防犯カメラ、カー用品の設置、そしてスマートホーム機器の設置・セットアップといった各種サービスを担っています。

事業会社様にとっては、長年アナログで行われてきた手配の手間や伝票処理を効率化できる点が大きな利点です。たとえば、ネット通販のサイトに弊社のシステムを連携していただければ、お客様は商品を購入するその場で、設置工事の予約まで自動で完了できるようになります。

ーー現場で働く職人さんにとっては、どのようなメリットがあるのでしょうか。

閔融:
一般家庭や法人向けに、電気工事を伴う家電や機器類の設置を担っているのが現場の職人さんですが、彼らの「3つの時間の無駄」を解決することができます。1つ目は現場での移動時間、2つ目は作業後の報告書や請求書などの事務処理、3つ目は自分で仕事をとるための営業活動です。

弊社のシステムを使えば、AIが最適な移動ルートを提示します。さらに、アプリで写真を撮るだけで報告書や請求書が自動で作成されます。案件も弊社から自動で提供するため、営業の必要もありません。職人さんが現場での作業だけに集中できる環境を提供することが、私たちの使命です。

非効率を解消し「エッセンシャルワーカー」の価値を高める

ーー設置業界の人手不足について、どのような課題意識をお持ちでしょうか。

閔融:
現場で働く方々は世間で「ブルーカラー」と呼ばれることが多いですが、私は彼らを私たちの豊かな生活を支える「エッセンシャルワーカー」だと捉えています。ですから、彼らがしっかりと稼ぎ、豊かに生活できる環境を整える必要があるのです。

現在、業界全体で人手不足が叫ばれています。しかし、絶対数が不足しているというよりも、アナログで非効率な作業が多いことが真の原因だと考えています。まずは弊社のシステムで徹底的に業務を効率化し、この根本的な課題を解決していく決意です。

ーー業界の未来を見据え、システム提供以外で注力していきたいことはありますか。

閔融:
今後は人材の育成にも力を入れていきます。単にパートナーのネットワークを広げるだけでなく、これからの時代を見据えた学び直しの機会を提供します。具体的には、公的資格を取得するための支援や、実機を使った研修などです。私たちのシステムを活用し、職人さんの継続的なスキルアップを後押ししていく予定です。

「設置業界のOS」へ 5つの行動方針でともに歩む仲間を求む

ーー今後のビジョンや目標について教えていただけますか。

閔融:
私たちが目指すのは「設置業界のOS」になることです。パソコンに基本ソフトが当たり前に入っているように、設置を必要とする人々が自然に弊社のシステムを利用している状態をつくります。具体的な目標として、5年後に売上高100億円の規模へ成長させることを見据えています。

ーー今後の成長に向けて、どのような人材を求めていますか。

閔融:
組織を強化し、取引企業様を一気に増やす段階に入っています。そのため、弊社の評価基準でもある「5つの行動方針」に共感していただける人材が必要です。それは「お客様を大事にする」「信頼を得る」「強い信念を持つ」「スピーディーな行動にこだわる」「当事者意識を持ち結果を出す」の5つです。ここでいうお客様とは、事業会社様だけでなく、職人さんや社内のメンバーも含みます。製品をより多く販売したい事業会社様、本業に集中したい職人さん、そして仕組みを広げる私たちの社員。この「三方」全員が豊かになる未来を、ともにつくり上げていきたいと考えています。

編集後記

「ブルーカラーではなく、エッセンシャルワーカーと呼びたい」。その言葉の端々に、現場で働く職人たちへの深い敬意と、業界を変革する使命感が滲んでいた。世界的企業で培った「スピード」と「仕組み化」の手法を用いて、アナログな設置業界の課題を鮮やかに解き明かしていく。事業会社、職人、そして自社。関わるすべての人を豊かにする「設置業界のOS」が、日本全国のインフラとなる今後に希望が感じられた。

閔融/1974年、ソウル生まれ。韓国外国語大学卒業。サムスン電子、Amazonでメーカー・小売の事業統括を20年間経験した後、株式会社ブリッジスマイルを創業。Amazonで培ったサービス統合の知見と独自の職人差配エンジンにより施工DXを牽引し、強固な全国職人ネットワークを構築。AI時代にこそ価値が回帰するエッセンシャルワーカーの生産性を最大化し、EC購入後の「安心と感動」を届ける次世代インフラの構築に挑む。