※本ページ内の情報は2026年7月時点のものです。

1976年の創業以来、千葉県内で紙のリサイクルや市町村からの一般廃棄物処理委託事業を展開する株式会社佐久間。業界の慣習に縛られない主体性と逆転の発想を信念として掲げ、業界でもいち早く処理施設の設置許可を取得し、緻密な計画力と実行力で安定した事業基盤を築いてきた同社は、現在「失敗を恐れない」組織風土の醸成と、手厚い福利厚生による働く環境の整備に注力する。「責任はすべて私がとる」と語る代表取締役の佐久間仁宣氏に、これまでの歩みと次世代へ向けた熱い思いを聞いた。

会社の外で知った「一緒に働きたい」と思える仲間の存在

ーーまずは、家業である貴社に入社されるまでの経緯を教えていただけますか。

佐久間仁宣:
学校を卒業後、ごく自然な流れで入社しました。生まれたときから「将来は会社を継ぐものだ」と言われて育ち、小学生の頃から夏休みになれば現場に行って手伝いをするなど、この会社のことしか知らずに育ってきたのです。しかし実は、30歳のときに一度他社を経験しています。一社員として弊社で働く中で、「ここはもっとこうするべきだ」と現状への疑問を抱く部分が多くなり、3年弱ほど外の世界へ出ました。

ーー外の世界を経験して、どのような気づきがありましたか。

佐久間仁宣:
弊社で働く先輩方と「一緒に仕事をするのが楽しい」と気づけたことです。他社を知り視野が広がったことで、プロとして働く先輩方の姿勢を客観的に見直せました。「せっかく働くのならば、この人たちと働きたい」と強く思い、再び戻る決心をしたのです。

4ヶ月かけて予算を練る 緻密な「計画と実行」が生んだ強固な基盤

ーー貴社が長年、地域で信頼され事業を継続できている強みはどこにあるとお考えですか。

佐久間仁宣:
「細部まで緻密に計画を立て、これを実行する」という工程への強いこだわりが最大の強みです。特に予算に関しては非常に厳格で、全社員が何らかの形で必ず関わるようにしています。毎年4ヶ月間かけて1年間の目標を予算として可視化し、最後は丸2日間、達成への行動計画を徹底的に練り上げます。

ーーそこまで数字と計画にこだわる理由は何でしょうか。

佐久間仁宣:
創業当時の厳しい環境を乗り越える中で、数字に具体的な根拠を持ち、経営ビジョンを立体的に構築する姿勢が文化として根付いたからです。この徹底した計画性が、行政からの評価や、千葉県からの優秀企業賞の受賞につながりました。

また、事業の柱である市町村からの資源物受け入れについても、いち早く一般廃棄物を処理する施設設置の許可を取得し、持続的かつ安定的に委託を受けられる仕組みを構築できたのは、この計画と実行力があったからこそです。

ただし、この仕事は特に人との繋がりが大切ですので、お取引頂いているお客様との信頼関係を深めながら、価格改定が必要であれば丁寧に話し合い、ご理解を賜りながら物事を進めることを大事にしています。

弊社では独立採算制による月次決算結果を全て社内に公開するようにしています。そうすることで社員それぞれが労働生産性向上への目的意識を高め、スピード感をもって課題解決が出来るよう努めていることも、環境変化に強い企業地盤となっています。

9割が定着する理由 徹底した「福利厚生」と現場へのリスペクト

ーー人材の定着率が非常に高い背景にはどのような工夫がありますか。

佐久間仁宣:
「佐久間で一生働きたい」と思ってもらえるように、福利厚生の充実に力を入れています。この業界は365日誰かが稼働しており休みづらいイメージがありますが、現在、3年以上働いてくれた方の定着率は90%から95%に達しています。

ーー具体的にはどのような制度を導入されているのでしょうか。

佐久間仁宣:
社員が三大疾病(がん、脳梗塞、心筋梗塞)になった際、治療に専念できるように200万円の見舞金と収入を補償する保険を用意しています。また、2年に1回は必ず6連休をとれる制度や、勤続年数の区切りでリゾートホテルのスイートクラスへ家族旅行に招待する制度も設けています。

日常的なところでは、社内の自販機利用は全員無料にし、60歳の定年以降も毎年昇給する仕組みを整えました。創立50周年の際には、社員への感謝を伝える記念祝賀会や、社員が気兼ねなく参加できるよう労働時間扱いでの社員旅行も実施しました。ベースアップと並行して新たな制度導入も計画しており、社員の満足度・幸福度を高めつつ、社員と共に更に成長する企業を目指しています。

「失敗はない」 責任はとるからこそ挑戦を恐れない組織へ

ーー人材育成や組織づくりにおいて、今もっとも社員に伝えたいメッセージは何ですか。

佐久間仁宣:
「失敗はない」ということです。大小かかわらず、やりたいと思うことは何でも挑戦してほしいと社員に伝えています。うまくいかなければ元に戻すなり別の方法を試せばいいですし、そこからの学びは必ず自分の経験として活きます。マイナスはないので、どんどん行動してほしいですね。

ーー長い歴史ゆえに、新しい挑戦にハードルを感じる社員もいるのではないでしょうか。

佐久間仁宣:
昔からの「言われたことを忠実にこなす」という意識が残っている部分もあります。しかし、私一人の考えには限界があります。社員それぞれに、他の人にはない優れた強みやキラリと光る点があり、本当に尊敬できるプロフェッショナルばかりです。だからこそ、前例に縛られず自分で考え、意見を出してほしいと思いますね。「責任はすべて私が取るのだから、何も気にせず挑戦してほしい」と常に伝えています。

「顔が見える関係」を築き市民とともに環境課題に向き合う

ーー今後の展望についてお話しいただけますか。

佐久間仁宣:
地域社会、特に実際に資源を出してくださる「市民の皆様」との接点を深めていきたいと考えています。現状、私たちの仕事は市町村との協働が主です。それゆえ、家庭から出された資源がどうリサイクルされているか、市民の方々には見えにくい構造になっていると感じます。リサイクルの工程や現場の実態を知っていただくことで、環境問題への意識をともに高めていけると考えています。まだ価値がある資源をルールに沿って分別していただくという「少しの努力」が、確実にリサイクルへと回り、原油の使用量を抑えるといった大きな成果につながります。今後は、社会貢献活動や情報発信にも積極的に取り組み、地域とともに環境問題に真摯に向き合う企業であり続けられるよう、務めていく方針です。

編集後記

長きにわたり地域のリサイクルを支え続けてきた株式会社佐久間。佐久間社長の言葉の端々からは、現場で汗を流す社員への深いリスペクトと、これからの会社をともにつくり上げていきたいという強い願いが感じられた。「責任はとるから、失敗を恐れず挑戦してほしい」というトップからの力強いメッセージは、組織を次のステージへと押し上げる原動力となる。徹底した計画性と、人を大切にする温かな企業文化。その両輪で進む同社が、地域社会とどのような新しい絆を結んでいくのか、今後の展開が非常に楽しみだ。

佐久間仁宣/1975年生まれ、千葉県出身。1997年に大学を卒業後、株式会社佐久間へ入社。2014年10月、同社代表取締役社長に就任。

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