※本ページ内の情報は2026年8月時点のものです。

ゲーム、出版、グッズなど多角的な事業を展開し、知的財産をゼロから育て上げる株式会社エディア。代表取締役社長の賀島義成氏は20代で起業を志し、経営に必要な数字を学ぶために会計の知見を深めた。その後、経理責任者として同社に入社した経歴を有する。しかし、独立のタイミングで会社に危機が訪れ、自身の夢を保留して会社に残る決断を下したのだ。その背景には、ともに働く仲間への強い思いがあった。本記事では同社の強みから、世界を見据えたアニメ展開、エンタメ企業が担う社会貢献の展望まで、同氏の経営哲学に迫った。

職人の父から学んだ経営のリアル 「数字に強い経営者」を目指して

ーーキャリアの原点について教えてください。

賀島義成:
原点は、鞄職人だった父の背中を見て育ったことにあります。景気の波によって従業員数が20人から3人にまで変動する状況を、子どもの頃から間近で見てきました。父は腕のいい職人でしたが、必ずしも経営能力が高いわけではなく、子ども心に「もし数字に強い人が父をサポートしていれば、もっと会社として良い勝負ができたのではないか」と感じていたのです。

私自身、もともと理系で数字が好きだったこともあり、将来は自分で事業を起こせる「数字に強い経営者」になろうと決意しました。そこから経営者になるためのステップとして選んだのが、会計の勉強です。四年制の大学ではなく専門学校の税理士科へ進み、厳しい環境で会計を深く学んでいきました。ただ、あくまで将来の起業を見据えた知識の習得が目的だったため、卒業後は税理士にはならず、複数の企業へ就職して経理としての実務経験を重ねることになります。

ーーそこから、貴社へ入社するまではどのようなキャリアを歩まれたのですか。

賀島義成:
専門学校を卒業後、一社目の事業会社で上場企業の経理や監査対応、M&Aをした会社の連結決算などを一通り経験しました。その後、ベンチャー企業に行き、スタートアップ企業の管理部門立ち上げに携わりました。そこから三社目として、2007年に当時上場を目指していたエディアへ入社することになります。当時私は26歳でしたが、上場を目指す企業の経理責任者として声をかけていただいたのです。ただ、私自身は20代のうちに起業したいと考えていたため、採用してくれた当時の上司には「3年ほどで独立します」と事前に伝えた上で、経理部長として入社しました。

独立の夢より仲間のために 愛着を持って自己実現できる会社へ

ーーその後、起業されなかったのはどういった背景があったのですか。

賀島義成:
当時50人ほどいた社員が路頭に迷うのを見過ごせなかったからです。入社から3年が経ち、独立を考え始めたタイミングで会社が、役員が退職するなど経営的な危機を迎えるなど非常に厳しい状況に陥りました。予定通り独立するか残るか岐路に立たされましたが、「彼らのために私ができることはやっていこう」と覚悟を決めました。そこから経理だけでなく、事業全般の立て直しにも注力するようになりました。

ーー当時の決断から現在に至るまで、経営において大切にしている考え方は何でしょうか。

賀島義成:
社員が会社に愛着を持ち、働きながら自己実現できる環境をつくることです。会社が厳しいときに一緒に残って頑張ってくれた仲間たちがいます。彼らと一緒に良い会社にし、会社が成長したときにはしっかりとメリットを享受してもらいたいと強く思っています。仕事は人生の大きな時間を占めるからこそ、働きやすい環境づくりを常に心がけています。

ゼロから知的財産を育てる多面的なメディア展開 次なる舞台は「アニメ」

ーー現在の貴社の事業と強みについて教えていただけますか。

賀島義成:
強みは、自社内で知的財産をゼロからつくり出し、多角的に展開して育て上げられる点です。現在は主に3つの事業を柱としています。家庭用ゲーム機向けソフトの企画・開発・販売や、子会社での漫画や小説の出版、そしてグッズの企画・販売です。たとえば、投稿サイトから作家を発掘し、漫画と並行して出版します。人気が出ればグッズ化し、ゲームやアニメへつなげます。この規模で一貫した展開ができる企業は決して多くありません。

ーー今後、特に注力していく分野はどこでしょうか。

賀島義成:
アニメ関連事業です。日本のアニメ市場における売上高の約7割は海外が占めており、世界中で高い人気を誇っています。今後は弊社から生まれた作品をいち早くアニメ化し、海外配信などを通じて世界的な認知を高めたいと考えています。そしてその先には、海外でのグッズ展開も見えてきますね。現在、私自身が直轄で動き、外部企業とのネットワークを開拓しているところです。

「人々の生活に笑顔を」 エンタメ企業が果たす社会貢献

ーー最後に、貴社の展望をお聞かせいただけますか。

賀島義成:
「人々の生活に笑顔をもたらすサービスを創造し続ける」というビジョンのもと、世界中で笑顔を増やしていくことが目標です。より多くの方に私たちの商品やサービスを使っていただきたいと考えています。また、事業で得た利益を社会貢献活動へ還元していきます。家庭の事情などで娯楽を楽しめない子どもたちに、平等にエンタメに触れられる機会を創出する活動です。会社の成長に伴い、ボランティアを含めた社会貢献活動をさらに広げていきます。

編集後記

職人の父の背中を見て育ち、「数字に強い経営者」を目指した賀島義成氏。若くして下した決断は、独立という個人の夢よりも、苦境にある会社と50人の仲間を守る道であった。合理的な数字を扱う経理出身者でありながら、人を思いやる情に厚い人柄が、組織の危機を救う原動力となったのだ。自社の知的財産を多角的に育て上げ、アニメを通じて世界市場を見据える同社。エンタメの力で人々に笑顔を届け、社会に還元するという信念が、今後のさらなる飛躍を確信させる。

賀島義成/1980年、東京都生まれ。2002年、ニイウス コー株式会社(当時)に入社。2006年、株式会社クリアストーンに入社。2007年株式会社エディアに経理部長として入社、2011年に同社取締役就任。2016年取締役CFOとして東証マザーズ(現 東証グロース)上場を果たす。2019年より代表取締役社長に就任(現任)。2024年、東証スタンダードに市場変更。