※本ページ内の情報は2026年8月時点のものです。

「自分が働きたいお店が福岡になかったから自分でつくるしかなかった」。そう語る神田みつき氏は、アニソンバーなどのコンセプト店舗を全国43店舗展開する株式会社ルミナスを率いる。洋菓子店でのアルバイト時代に「アニソンバーギルド」1号店を立ち上げ、上京して会社を設立し、目指すのは業界のグレーなイメージを払拭し、スタッフが夢を叶えられる「クリーンな自己実現の場」だ。何の後ろ盾もない状況から全国展開を実現し、自社でアニメ制作まで手がけるに至った独自の経営信念に迫る。

「無いならつくる」 手取り13万円の洋菓子店勤務から起業へ

ーーまずは、起業のきっかけから教えてください。

神田みつき:
元々ケーキ屋さんになりたくて、洋菓子店でフルタイムで働いていたのですが、当時の手取りは大体13万円くらいでした。その傍らでキャンペーンガールなどのタレント活動もしており、そちらの方が手取りがよかったんです。そんな中、声優の仕事で東京の秋葉原に行く機会があり、その際に連れて行ってもらったカラオケバーのようなお店の熱量に衝撃を受けました。「こういうところで絶対に働きたい!」と思い、地元の福岡で検索したのですが、全く無く、それなら「無いなら自分でつくった方が早いかな」と思い立ち、友人たちの後押しもあってお店を始めることにしたのが原点です。

ーー最初はどのようにしてスタートしたのでしょうか。

神田みつき:
家賃の安い物件を見つけて、あまりお金をかけずに小さく始めました。最初はドリンク300円、チャージ300円という低価格でスタートしてしまったため、余裕がなくて最初の半年くらいは私1人でお店に立っていました。そこから徐々にスタッフが増えていき、文字通り「ギルド」のように仲間が集まっていったんです。そして、「このお店をいつまでも残したい。日本一の全国規模にするしかない」と考え、オープンから4年後、27歳の時に単身で上京し、東京で会社を設立しました。

コンセプトカフェの常識を変える「クリーンな業界」への挑戦

ーー貴社が展開する店舗は、いわゆる一般的な「コンカフェ」とはどのような違いがあるのでしょうか。

神田みつき:
コンセプトカフェ協会のようなものがあり、うちも「コンカフェ」と言われることはあるのですが、ガールズバーっぽくもないですし、独特な絶妙なポジションにいると思っています。カラオケもあって、スタッフとじっくり話すというよりは、アニメやカラオケが好きな人たちが集まって盛り上がるコミュニティのような場所です。

ーー業界の中で、どのような立ち位置を目指していますか。

神田みつき:
一番強く思っているのは、「業界をクリーンにしていきたい」ということです。この業界は、コンプライアンス違反にあたるような客引き行為をしていたり、雇用形態が業務委託でグレーな働き方をさせていたりするお店が少なくありません。私たちはそういった客引きは一切しませんし、イメージをクリーンにしつつ、この業態の中でトップに立ちたいという思いがあります。お客様に安心して楽しんでいただけるよう、コンプライアンスを守りながら知名度を広げていくことを大切にしています。

スタッフが主役 夢を叶えるための「プロダクション的」支援

ーー貴社で働くスタッフの方は、どのような動機で入社されることが多いのでしょうか。

神田みつき:
弊社には、アニメの声優になりたい、舞台女優になりたい、アイドルになりたいといった夢を持った子がたくさん在籍しています。全国展開していて客引き行為をしていないという安心感や、ネット上でチャリティイベントなどの活動を見て、「ここならきちんとしている」と信用して応募してくれる子が多いですね。地方出身の子が「地元にもお店があるから安心」と上京してくるケースも少なくありません。

ーースタッフの夢を叶えるために、取り組まれていることはありますか。

神田みつき:
単に働く場所を提供するだけでなく、会社として夢に近づける環境を用意しています。たとえば、アニメの声優を目指す子のために、自社でアニメを制作して地上波で放送したり、ラジオ番組を制作したりしています。また、アイドルとして日本武道館でライブを行ったり、映画に出演したりする実績も出てきました。ワークショップの費用を会社で負担したり、ダンスやボイストレーニングの先生を呼んだりと、完全に芸能プロダクションのような役割も果たしています。スタッフがお金を払ってレッスンを受けるのではなく、会社が自己実現のための機会を提供しているのが大きな特徴です。

新業態「豚肉居酒屋 濃いめ」の展開と未来の仲間へのメッセージ

ーー今後はどのような事業展開を描いていますか。

神田みつき:
アニソンバーの全国展開はもちろんですが、最近は新しく「豚肉居酒屋 濃いめ」を始めました。香川名物「骨付鳥」のスパイシーな味付けと調理法を、あえて骨付きの豚肉で再現したメニューを提供しており、東京には今までなかったようなコンセプトの居酒屋です。現在、関東の3店舗限定でフランチャイズオーナーを募集していますので、飲食の現場経験があり、私たちのビジョンに共感していただける方にぜひ参画していただきたいですね。

ーー最後に、これから貴社で働きたいと考えている方へメッセージをお願いします。

神田みつき:
ルミナスに入社していただく方には、ぜひ「夢をずっと持っていてほしい」と伝えています。働きやすさはもちろんですが、働いている子たちが自己実現を果たし、人生が豊かになっていくことが私の大きな目標です。私たちの考えに共感し、自分自身の夢を叶えながら一緒に楽しく働いてくれる仲間をお待ちしています。

編集後記

「ないから自分でつくる」。そのシンプルな動機から始まった神田氏の挑戦は、今や全国規模の店舗展開にまで成長した。取材を通して最も印象に残ったのは、コンカフェ業界におけるグレーな慣習を良しとせず、自らがトップに立ってクリーンな業界へと変革しようとする強い意志だ。さらに、自社でアニメを制作してまでスタッフの夢を応援するという規格外のアプローチは、ルミナスが単なる飲食店運営会社にとどまらず、人々の可能性を最大化するプラットフォームであることを示している。新業態の展開も含め、同社が今後どのような新しい常識をつくり出していくのか、その躍進から目が離せない。

神田みつき/1989年大分県生まれ、大分県立芸術文化短期大学卒業。タレント活動と洋菓子店カフェ、店舗勤務を経て、2012年、福岡で「アニソンバーギルド」を開業。2016年株式会社ルミナスを設立し、代表取締役社長に就任。