※本ページ内の情報は2026年8月時点のものです。

地方局のアナウンサーとしてキャリアをスタートし、自ら取材や番組制作も手がけるなど現場の最前線を駆け抜けてきた株式会社トークナビの代表取締役、樋田かおり氏。現在は「女子アナ広報室」をはじめとする3つの事業を展開し、企業の「伝える力」を総合的に支援している。フリーアナウンサー特有の待つ働き方に疑問を抱き、20代で起業を果たした彼女は、なぜ社長の言葉をメディアへ届ける代弁者に行き着いたのか。そして今、新たな段階へ向けて営業組織を立ち上げる真意とは。独自のキャリアと、思いを届ける具体的な行動に迫る。

アナウンサー時代の現場経験が現在の事業の原点に

ーーアナウンサーとしての歩みは、どのような原体験から始まったのでしょうか。

樋田かおり:
高校時代の野球のウグイス嬢の経験がすべての原点です。そこで「声に思いを込めることで伝わり方が全く変わる」ことを実感し、大学卒業後は青森の放送局に入社しました。当時、地方局での仕事は原稿を読むだけではなく、時には自分で取材に行き、音声の編集機材を扱い、番組を制作する部分まで担うこともありました。

また、早朝のニュースから夕方の番組まで分刻みで動き回り、新人時代には7時間のラジオ生放送でパーソナリティを務めた経験もあります。このときに培った「自ら企画し、つくり上げ、伝える」という総合的な力が、現在の事業の大きな基盤です。

ーーその後、どのような経緯で起業に至ったのですか。

樋田かおり:
アナウンサーの「伝える技術」を活かし、自ら仕事を生み出す場所をつくろうと考えたことがきっかけです。青森の放送局を経て、名古屋のテレビ局で番組を担当した後、活動の幅を広げるために東京へ拠点を移しました。しかし、そこでフリーアナウンサーを取り巻く環境の難しさに直面したのです。所属先があっても、案件を獲得できなければ待機する時間が多くなります。当時の私も月に1本しかレギュラー番組がなく、もどかしい日々を過ごしていました。周囲も同じ悩みを抱えており、ただ待つだけではキャリアを築けないと痛感した結果、29歳のタイミングで起業を決意しました。

「社長の代弁者」として企業の挑戦を総合的に支援

ーー改めて、現在の事業内容をお聞かせいただけますか。

樋田かおり:
企業の「伝えること」を総合的に支援するために、企業の人事代行やプレゼン研修を行う「女子アナ人事室」、社内イベントの司会を請け負う「女子アナ司会部」、そして企業のPRを代行する「女子アナ広報室」という3つの事業を展開しています。最近では、エンジニア向けのコミュニケーション研修などの需要も増えています。中でも最大の強みは、「社長に特化」した広報支援です。製品の魅力だけを打ち出すのではなく、私たち自身が「社長の代弁者」として伴走し、経営者の思いや目指す未来を具体的な行動や言葉に翻訳して、メディアへと届けています。

ーー具体的にどのような企業の支援を手がけているのですか。

樋田かおり:
百年続くような歴史ある企業様や、優れた魅力がありながらうまく情報が発信しきれていない中小企業様を、これまで数多く支援してきました。私たちが広報として入り、その長い歴史を社会で可視化していくことで、「次の一手が見えやすくなる」との声をいただくことも増えています。

大きな特徴は、地方局出身のアナウンサーが中心となって立ち上げたサービス組織であるという点です。その強みを活かし、東京だけでなく全国各地のメディアとのつながりを広げてきました。テレビや新聞、Web媒体など、これまで積み上げたメディア実績は2,400件以上にのぼります。放送局時代の番組制作の視点があるからこそ、メディア側が求める情報を的確に提案できているのです。広報活動からイベントの司会、さらには社員教育まで担い、一連の流れを通じて包括的に企業の成長を後押ししています。

伝える力を通じて挑戦者を応援 ともに成長する組織づくり

ーー企業の成長を包括的に後押しする上で、根底にある企業理念をお聞かせください。

樋田かおり:
「伝える力をナビゲートし、日本人の伝え方向上に貢献する」ことです。私たちが間に入り、人と企業を結ぶ架け橋となる。そして、挑戦する方々の新しい機会を切り拓いていきたいと考えています。当初はアナウンサーのキャリア支援という側面が強い事業でした。しかし今では、社長の夢を叶え、挑戦する人たちを力強く応援する存在へと役割が広がっています。

ーー貴社で働く魅力や、活躍しているメンバーの傾向を教えてください。

樋田かおり:
働きながら自身の「伝える技術」を磨き、表現力を高められる点が最大の魅力です。私たちが企業様に提供している「話し方研修」などを、自社内で受講できる環境を整えています。現在活躍しているのは、お客様のために責任感を持って最後まで任務を成し遂げられるメンバーです。人に寄り添い、向上心を持って自分を高めようとする姿勢も共通していますね。また、社内では子育て中の方も多く、柔軟な働き方を実現しながら力を発揮しているメンバーも少なくありません。

ーー最後に、今後の組織強化に向けた採用方針をお話しいただけますか。

樋田かおり:
現在は、事業拡大に向けて営業部隊をゼロから立ち上げるフェーズにあり、法人営業の経験をお持ちの方を中心に広く募集しています。これまでは私が自ら営業活動を担当してきましたが、ありがたいことに現場に出る案件が年間300件ほどに増えています。専門の営業部門を立ち上げることで、さらに多くの企業様をご支援できる見込みです。そのため、アナウンサー出身に限らず、社会人としての基礎を身につけている多様な経歴を持つ方に参画していただきたいと考えています。

弊社に合う方の特徴としては、「現状維持にとらわれず、主体的に変化を楽しめること」「多様な価値観を尊重しつつ、自身の意見をしっかりと周囲へ伝えられること」「一人で抱え込まず、周りを巻き込んで仕事を進められること」の3点に加えて、人のために行動できることが大切な要素です。「自分を高めて誰かの役に立ちたい」という思いを持つ方とともに、互いに刺激を与え合いながら、日本中の挑戦する企業様を支援し続けていきたいですね。意欲ある仲間との新たな出会いを楽しみにしています。

編集後記

取材を通して、地方局で培ったアナウンサーの枠を超えた経験がトークナビの力強い推進力になっていると感じた。単なるPR代行にとどまらず、経営者の思いに深く寄り添い「社長の代弁者」として伴走する姿勢は、多くの中小企業にとって心強い存在に違いない。自身のキャリア課題から出発し、今や日本中の挑戦者を応援する存在へと進化を遂げた株式会社トークナビ。営業組織という新たなエンジンを得て、企業の「伝える力」をどのようにアップデートしていくのか。同社の飽くなき挑戦は、これからも続く。

樋田かおり/日本テレビ系列RAB 青森放送にアナウンサーとして入社。テレビ・ラジオの放送現場を経験した後、2015年「声で、未来を変える」をビジョンに株式会社トークナビを設立。アナウンサーを講師とするコミュニケーション研修や社長の話し方レッスンを展開。ビジネスパーソン向けに公開するオンライン学習サービスの講座は、アナウンサー社長の実務家講師として好評を博し、計3万人以上に受講されている。