※本ページ内の情報は2026年4月時点のものです。

2022年設立の株式会社Japan Naviは、地域と世界を直接つなぎ持続的な地域創生を目指す企業だ。自治体の海外展開支援、地域の特産品輸出、訪日外国人(インバウンド)事業を多角的に展開し、海外需要を取り込み地方の1人当たりGDPを向上させる独自のビジョンと戦略を描く。「Aomori Global Advance Project」など次世代の「人づくり」にも注力する代表取締役の飯田広助に、起業の原体験や事業にかける思い、今後の展望をうかがった。

安定した銀行員から一転単身シンガポールでの起業

ーーまずは起業を志したきっかけを教えていただけますでしょうか。

飯田広助:
前職は株式会社三井住友銀行に勤めており、入社6年目でインドネシアへ赴任しました。そこで目の当たりにしたのは、決して経済的に豊かとは言えなくとも、日々の生活を楽しみ、明るく生きる人々の姿でした。一方、日本を翻って見れば、経済的な成熟の裏で人口は減少し、地方は活力を失いつつあります。「成長著しい世界と日本の地域を繋いで、日本中を元気にし続ける」。その思いが、私の背中を押し、もともと30歳までに起業する目標を掲げていたため、節目となる年で退職を決意しました。

ーーそこからどのようにして貴社の設立に至ったのでしょうか。

飯田広助:
人口減少下において地域創生を実現するためには外貨の獲得が不可欠と考えています。そこで、アジア経済のハブであるシンガポールへ単身で渡り、2016年に日系メディア事業を立ち上げました。当初は現地での人脈も一切なく、テレアポを繰り返しても門前払いが続く日々。しかし、愚直に足を運んで少しずつ信頼関係を築き、着実にシェアを拡大していきました。その後、コロナ禍という未曾有の危機に見舞われましたが、これを機にリモートを中心とした強靭な組織体制を構築。長年構想していた「地域創生×グローバル」を本格的な事業として展開する準備が整い、2022年、日本法人である弊社の設立に至りました。

地域と世界をダイレクトにつなぐ3つの事業

ーー現在の主な事業内容について教えていただけますでしょうか。

飯田広助:
弊社の事業は、大きく3つの柱から成り立っています。1つ目は自治体様向けの海外展開支援。これまで20から30にのぼる自治体様の、海外に向けた魅力発信や販路開拓をサポートしてきました。2つ目はグローバル地域商社事業。自治体様の支援にとどまらず、自社でリスクを取って地域の特産品を買い取って物流も組み、シンガポールや台湾、アメリカ、オーストラリアなどへ直接輸出しています。そして3つ目が、訪日インバウンド事業。主に日本の地方部へ海外のお客様を直接誘致する仕組みです。

ーー訪日インバウンド事業における貴社ならではの強みはどこにあるのでしょうか。

飯田広助:
10年前から海外で事業を運営してきた強みを活かして、海外のお客様に対して私たちが直接アプローチし、集客から送客までをワンストップで担っている点です。昨今、一部の観光地では過度な混雑が課題となっています。そこで私たちは、そうした主要観光地ではなく「まだ世界に知られていない、日本の真の姿に触れたい」と願う個人旅行客を主な対象としています。地域文化に深い敬意を払う方々に向け、少人数かつ高単価な形態で地方の魅力を味わっていただく。そのニーズに応えるべく、東北地方を12日間かけて巡る周遊ツアーや、九州での魅力を体験できるツアーなどを企画・催行しています。

ーー他に地域創生に関する具体的な取り組みがあれば教えていただけますでしょうか。

飯田広助:
青森県むつ市で展開している「Aomori Global Advance Project」が、私たちの理念を体現する代表例です。地方における事業課題の多くは、実務を牽引する「担い手」の不足に帰着します。この課題を解決するため、アジア最高峰であるシンガポール国立大学の優秀な学生をむつ市へ招致しました。約1ヶ月間、むつ市でのホームステイやインターンシップを通じ、学生自身の視点でむつ市の魅力を海外へ発信してもらう取り組みです。

結果として、むつ市の特産品の海外販路拡大やインバウンドツアーの実現につながり、また参加した学生たちは皆むつ市に深い愛着を抱き、自費で再び訪れるようになりました。中には卒業後、実際にむつ市へ移住して働き始めた若者もいます。国境を越えた交流が生み出す熱量が、地域に新たな担い手をもたらす。これこそが、私たちの事業の大きな原動力です。

地元への思いを胸に世界へ挑む 場所にとらわれない新しいキャリア

ーー採用活動にも力を入れているそうですが、どのような人材を求めているのでしょうか。

飯田広助:
事業の拡大に伴い、現在、新卒・中途を問わず採用を強化しています。私たちが求めているのは、胸の内に「地域への熱い思い」を秘めつつ、「成長志向」や「グローバルな視点」を併せ持つ方です。弊社では「住みたい場所に住む」という働き方を推奨しています。現在も長野や愛知、アメリカ、オーストラリアなど、各自が最もパフォーマンスを発揮できる拠点でリモート勤務を実践中です。新卒入社の社員には1〜2年目から必ず海外研修の機会を設け、20代のうちから世界を舞台に圧倒的な経験を積める環境を用意しています。

また中途採用においては、例えば、地方銀行や大手企業に身を置きながら、「地元に貢献したいが、今のキャリアの延長線上ではその実現が難しい」と葛藤を抱えている方にこそ、ぜひ私たちの門を叩いていただきたいですね。

尚、弊社の仕事は個人ではなく、チームで成果を出すプロジェクトが大半を占めています。そのため”チームワーク”を非常に重視しています。「自分が成績を上げていればそれで良い」「年上・先輩・上司だから偉い」といった考え方ではなく、「他者の成功や成長を自分ごととして捉え、積極的に支援・応援すること」「経験のある先輩や上司こそ、自ら率先して後輩や部下を支援すること」を非常に大切にしています。

高い目標と成長を追求しながらも、良いチームワークと働きやすい環境を両立できる組織であり続けたいと強く考えています。

ーー最後に、今後の目標を教えていただけますでしょうか。

飯田広助:
「地域創生を代表する企業といえばJapan Navi」。そう言われる企業になることです。地域創生を事業の核に据え、持続的かつ大きな成長を実現できている企業はまだ多くありません。5年以内に売上高100億円、従業員100名体制という明確な目標を掲げています。地域のGDPを底上げし、地方で若い世代が活力を持って働ける雇用を創出する。この終わりのない挑戦を通じて、本気で日本全国を豊かにしていきます。

編集後記

「地方創生を掲げて大きく成長してる会社がない」。同氏の言葉には、自らがその先駆者となり、地域の未来を切り拓こうとする強烈な使命感が宿っていた。単なる社会貢献の枠を超え、自ら外貨を獲得して地域経済を潤すという、極めて合理的で力強い戦略。そして、世界と地域をシームレスにつなぎ、どこに住んでいてもグローバルな挑戦ができる組織のあり方。同氏が目指す「地方創生の代表企業」というビジョンが現実になる日は、そう遠くないだろう。

飯田広助/1984年青森県生まれ、東北大学経済学部卒業。新卒で株式会社三井住友銀行に入社し、東京やインドネシアで勤務した後、2015年末に退職。2016年初にシンガポールにて独立起業、シンガポールの最大級の日系メディアを立ち上げ、累計数百社の現地PRを支援。2022年に株式会社Japan Naviを創業し、日本の地域と世界をつなぎ、持続的な地域創生の実現に向け、計5カ国に拠点を構えながら各種事業を展開している。