※本ページ内の情報は2026年10月時点のものです。

金融機関という安定した職場に身を置きながらも、バブル崩壊という激動の時代の中で自らの存在意義を問い直した一人の挑戦者がいる。事業会社や投資家・富裕層向けに収益不動産を開発するデベロッパー株式会社フェイスネットワークを率いる蜂谷二郎氏だ。不動産開発において、「金融」、「不動産」、「建築」のそれぞれが独立した業界として機能していた時代に、蜂谷氏はそれらのすべてを網羅した「本物のワンストップサービス」というビジネスモデルを確立した。お客様の夢の実現に向けて、常識にとらわれない独自の発想で不動産開発に挑み続ける同氏。その歩みと未来へのビジョンに迫る。

バブル崩壊後の閉塞感を打破 「3つの専門性」が交わる未開の領域

ーーまずは、起業に至るまでのご経歴をお聞かせください。

蜂谷二郎:
私が社会人になったのは1988年、まさにバブル経済の最終期でした。当初は信用金庫に入庫したのですが、その頃は預金金利が高く、金融機関が経営難や破綻に追い込まれるなどとは到底考えられない時代で、まるで公務員のように安定した職を得られたと安心しきっていました。

しかし、それからわずか3年経った頃にバブルが崩壊し、状況は一変しました。崩壊後の金融機関では仕事のあり方が大きく変わり、求められるのは型通りの定型業務ばかりに偏ってしまったのです。企業の業績が非常に良く、面白い挑戦ができそうな融資案件であっても例外ではありません。決められた枠組みの中でしかお客様をサポートできない状況でした。こうした環境で働くうちに、「自分は本当にこのままでいいのだろうか」という強い疑問や葛藤を抱くようになりました。

ーーそこからどのような経緯で不動産や建築の領域に目を向けるようになったのですか。

蜂谷二郎:
信用金庫では、本店に9年半という異例の長期間にわたって在籍し、さまざまなプロジェクトに携わる機会に恵まれました。金融機関では、取引先との癒着を防ぐために通常は3〜5年程度で転勤となるのが一般的ですが、私は例外的に長く本店勤務を続けることができました。

その中で特に深く関わったのが、事業承継や資産承継に伴うアパート・マンション建築のファイナンスサポートでした。そこでは、お客様が新たに土地を取得して建物を建てる際に、金融機関の取引先である不動産会社や建築会社をご紹介していました。しかし、実際にはお客様、不動産会社、建築会社それぞれの思いや目的が十分に共有されず、お客様が理想とする計画が実現できないケースを数多く目にしてきました。そうした経験を重ねる中で、私は「金融・不動産・建築という3つの分野を横断的に理解し、お客様の人生に寄り添いながら長期的にサポートできる専門家が必要ではないか」と強く感じるようになりました。

その後、本店からの転勤の辞を受け、自分が担当を外れたことでお客様へのサポートが途切れてしまう現実を目の当たりにしました。この経験が大きな転機となり、「お客様に継続的な支援を提供するためには、自ら事業を立ち上げるしかない」と決意しました。そして、不動産を活用した長期的な資産形成を目指されるお客様の夢をサポートするとともに、自身が培ってきた経験や知見を最大限に活かしたサービスを提供したいという思いから、2001年に弊社を創業しました。

思いをつないだ自社ブランド「GranDuo」の誕生とワンストップ体制の確立

ーー創業から現在に至るまで、特に大きな転機となった出来事は何でしょうか。

蜂谷二郎:
自社開発による新築一棟RCマンションブランド「GranDuo(グランデュオ)」を立ち上げ、事業を拡大したことは、私にとって非常に大きな転機となりました。このブランドは、「資産を持ちたい」という幅広いお客様の夢を叶えたい創業時からの私の思いを形にしたものです。

創業初期には、一人の女性社員が在籍していました。彼女は誰よりもフェイスネットワークを愛し、多くの方々とのご縁をつないでくれた、かけがえのない存在でした。しかし、病により34歳という若さでこの世を去りました。「GranDuo」というブランド名は、”偉大な”チームを表す「Grand」と”二重奏”を意味する「Duo」を組み合わせ、彼女自身が考案したものです。しかし、彼女が亡くなった当時、「GranDuo」の物件はまだ4棟ほどしかありませんでした。

私はそのとき、彼女が迎えることができなかった35歳という年齢にちなみ、「GranDuoを35棟以上、必ず世に送り出そう」と心に誓いました。そして、その思いを原動力に、会社をさらに成長させていく覚悟を固めたのです。彼女が遺してくれた「GranDuo」というブランドがあったからこそ、私たちは今もお客様一人ひとりに寄り添いながら、一棟一棟に最大限の想いを込めたオーダーメイドの新築一棟RCマンションをつくり続けることができています。その歩みは着実に実を結び、現在では300棟を超える規模へと成長を遂げました。

ーー物件の開発において、設計や施工の内製化へ踏み切られたきっかけを教えてください。

蜂谷二郎:
創業当初は、お客様に土地をご紹介(仲介)し、その後の設計や施工については、外部の設計事務所や建設会社にプロジェクトを依頼する形で進めていました。しかし、リーマン・ショックの直前のミニバブル期に、大きな課題に直面します。協力会社が多くの案件を抱えるようになり、通常であれば数日で作成できるボリュームプランが完成するまでに約2週間もかかるようになりました。さらに、想定予算を大幅に上回る見積もりが提示されたうえ、「多忙のため対応できない」と依頼を断られるケースも増えていったのです。

私は、このままではお客様のご要望にスピード感を持って応えられないと強い危機感を抱きました。そこで、設計と施工のスタッフを1人ずつ社内に迎え入れ、これらの業務の内製化に踏み切りました。この決断こそが、現在のワンストップで開発事業を進める体制の確立につながっています。幸いにも、リーマン・ショック当時は自社で土地を過剰に保有していなかったため、大きな打撃を受けることなく乗り越えることが出来ました。そして、その後は自社で企画から設計、施工までを一貫して手掛ける開発体制へと、スムーズに移行することができたのです。

デザイン性と相反する「品質管理」にこだわる「顧客主導主義」の理念

ーー経営において大切にされている考え方は何でしょうか。

蜂谷二郎:
私たちが一貫して掲げているのは「顧客主導主義」です。これは不動産オーナー様だけでなく、そこに住むご入居者様やテナント事業者様を含め、すべての関係者の夢をサポートしていくという思いが込められています。その中で非常に重要視しているのが「品質管理」です。弊社の物件は、高いデザイン性を評価していただくことが多いのですが、優れたデザインを長く維持するためには、それを支える品質への配慮が欠かせません。建物は完成した瞬間がゴールではなく、その美しさを将来にわたって維持していくことが重要です。そのため、私たちは経年変化まで見据え、長期的な美観と耐久性を両立させるための工夫を設計段階から取り入れています。

たとえば、外観をコンクリートや塗装剤などで美しく、まっさらに仕上げたいと設計チームが考えたとします。一般的には、将来的な建物の状態変化まで見据え、ひび割れの発生をコントロールするために誘発目地(あえてひびを逃がすための目地)を設けますが、そうするとデザイン性を損ねる可能性があるのです。

そこで私たちは、品質を守るために必要な対策を講じながらも、デザインも妥協することなく追求し、事業者の目線で見れば「そこまでやらなくてもいい」と言われるような見えない部分にまで徹底的に手をかけることで、新築時の美しさを20年、30年先まで維持できるようにしているのです。それこそが、オーナー様の資産価値を最大化する弊社の「顧客主導主義」の体現なのです。

徹底的なものづくりへのこだわりが他社との圧倒的な差別化を生む

ーー同業他社と比較した際、貴社ならではの強みはどこでしょうか。

蜂谷二郎:
業界内で「ワンストップ体制」という言葉はよく使われますが、社内に調整役としての設計や施工の担当者を数名置いているだけで、実務は他社任せというケースが少なくありません。それに対して、弊社にはグループ全体約260名のうち、160名が設計・施工チームであり、土地の仕入れから設計、施工、賃貸募集、一棟販売、物件管理に至るまでを自社で一貫して手がけています。これこそが、私たちが誇る「本物のワンストップ体制」であり、弊社の最大の強みです。

通常は、土地の仕入れから竣工までには長い時間がかかります。しかし弊社は、設計と施工が密接に連携できることに加え、経営層の意思決定を迅速に現場へ反映できるため、その全工程を約1年半という短い期間で完成させることができます。また、各工程を自社で担うことで部門間の情報共有がスムーズになり、品質管理の徹底にもつながっています。この体制があるからこそ、私たちは「品質の高さ」「優れたデザイン力」「スピード感」の3つの強みを同時に実現できます。こうした品質・デザイン・スピード感に対する信頼があることから、2棟、3棟とリピートして購入してくださるオーナー様が非常に多くいらっしゃいます。多い方では7棟、8棟と複数棟を所有いただいております。

常識を疑い、新しい市場とプロダクトを開拓し続ける「挑戦の文化」

ーー社内にはどのようなカルチャーが根付いているのでしょうか。

蜂谷二郎:
常に新しいことに取り組むチャレンジ精神があります。不動産業界や賃貸住宅におけるこれまでの固定観念にとらわれず、新しい価値と市場を自らの手で切り拓いていく面白さを味わえる環境です。こうした前例のない挑戦に対しては経営陣が積極的に後押しをしており、社員全員が一丸となってプロジェクトに向き合う姿勢が社内に浸透しています。未知の領域へ踏み出す意欲を持つメンバーにとって、非常にやりがいを感じられる職場になっています。

ーー新たな市場を開拓する上で、直近ではどのような取り組みをされていますか。

蜂谷二郎:
既存の住宅規格にとらわれず、プレミアムな設備を兼ね備えた高級賃貸レジデンスブランド「THE GRANDUO(ザ・グランデュオ)」を開発しています。さらに、心身の健康を整え、日々の暮らしの質を高める「FULNESS(フルネス)」を採用することで、これまでにない豊かな住環境を提供しています。THE GRANDUOは、「日本で本当に住みたいと思える住まいが見つからない」と感じている富裕層をはじめ、海外からのインバウンド層やインターナショナルスクールに通うお子様を持つご家族など、多様なニーズに応えるレジデンスブランドです。その一例として、大手デベロッパーでは手がけない規模である、240㎡を超える広々としたマンションの開発などを手掛けています。ほかにも、天井高2.7メートルを確保した開放感ある小規模マンションや、60㎡ものプライベートテラスを備えた物件など、他にはない価値を持つ物件を企画・開発しています。

また近年では、日本の建築界を牽引する著名な建築家とのコラボレーションを進めています。これは、建築家が思い描く独創的かつ先進的なデザインを高い品質で具現化できる施工・開発体制を社内に備えていることが評価された結果です。弊社が手がける物件は、単なる不動産投資の対象ではなく、「建築作品」としての価値をご評価いただいて購入されるオーナー様も多くいらっしゃいます。

また、他にも「TOKYO MODULE」や「MIDHOUSE」といった新しいブランドの立ち上げにも取り組んでいます。変化を続ける東京において、ビジネスの価値創造を支援する次世代オフィス・テナントビル「TOKYO MODULE」、ならびに東京中心部への滞在ニーズが高まるインバウンド向けに、洗練されたデザインとホテルライクな滞在体験を提供するサービスレジデンス「MIDHOUSE」の展開を進めています。

次世代の育成とDXの推進 そして攻めのマーケティングへ

ーー今後のビジョンや、現在注力している取り組みについてお聞かせください。

蜂谷二郎:
今後5〜10年後のビジョンとしては、お客様一人ひとりの「夢のサポート」がより多様な形に変わっていくと考えています。そのため、お客様の多様なニーズに応えられるよう、次世代の社員の育成には非常に力を入れています。私はこれからの時代、AIやデジタル技術がさらに発展する一方で、実際に街や建物をつくり上げ、価値を形にできる人材の重要性がますます高まると考えています。そのため、設計者や現場監督などを育てるための独自の教育プログラムを整備しています。その中でAIや各種デジタルツールを活用したDXも推進しており、必要な情報を早期にキャッチアップし、短い期間で高品質なプロジェクトを完工できる「思考するプロフェッショナル」の育成に取り組んでいきたいと考えています。

また、今後は情報発信やプロモーションにも一層力を入れていきます。これまでは金融機関からのご紹介による成約が非常に多くありましたが、今後は、その強みをさらに磨きながら、PRを推進する方針です。その取り組みの一環として、社内で専門のチームを立ち上げ、SNS発信などの活動を強化しています。その結果、昨年は全体の約25%の成約が自社PRから生まれるなど、確実な手応えを感じています。今後も弊社のこだわりをより多くの方に届けるため、PR活動を強化していきたいと思います。

ーー最後に、これから社会に出る20代の読者などにメッセージをお願いします。

蜂谷二郎:
20代の皆様は、さまざまな場面で迷いを抱えていると思います。「本当に今のままでいいのだろうか」と、現状維持と挑戦の間で揺れ動く時期ではないでしょうか。多くの人は自分の未来にリミッターを設け、アクセルと同時にブレーキを踏んで立ち止まってしまいます。しかし、勇気を持って一歩を踏み出さなければ、新しい景色を見ることはできません。

自分の可能性を信じて挑戦することがなぜ大切なのか。それは、人生の時間は決して永遠ではないからです。誰もがいつか終わりのときを迎えます。だからこそ、限られた時間の中でどれだけ「非日常」と呼べるような特別な思い出や挑戦をつくっていけるかが、人生の豊かさを決めるのだと私は信じています。

フェイスネットワークは、まさに「その心のブレーキを外していいんだよ」と背中を押し、一人ひとりが持つ可能性を最大限に引き出せる環境です。弊社の物件を購入いただくオーナー様は、それぞれの分野で第一線を走る素晴らしい方々ばかりであり、そうした一流のお客様と関わりながら、これまでにない新しい価値やプロダクトを自らの手で世の中に発信していく経験は、皆さん自身の成長はもちろん、人生そのものを大きく変えるきっかけになるはずです。現状の固定観念にとらわれることなく、ぜひ私たちとともに、ワクワクする挑戦を始めましょう。

編集後記

蜂谷氏の言葉の端々からは、社員への深い信頼と関わる人々への温もりが溢れていた。特に、若くして亡くなった女性社員が遺した「GranDuo」に込めた並々ならぬ熱量は、今のフェイスネットワークの根底に流れる「決して妥協しない」という覚悟そのものだと感じた。自らリミッターを外し、徹底的にこだわり抜いた「非日常」の空間をつくり出し続ける同社のものづくりのこだわり。単なる不動産開発の枠を超え、都市の人々の人生やくらしを豊かにする「夢のサポート」へ向けて、彼らの心躍る挑戦はこれからも続いていく。

蜂谷二郎/1988年に金融機関に入庫し、12年にわたり融資担当として5,000件を超える案件を扱う。お客様に必要とされるサービスを提供したいとの思いから、2001年に投資用不動産を開発する株式会社フェイスネットワークを設立。「オーナー保護」の視点で「住みたい」「持ち続けたい」物件開発にこだわり、「城南3区」「新築一棟RCマンション」「ワンストップサービス」のビジネスモデルを確立。