※本ページ内の情報は2026年10月時点のものです。

健康問題に真摯に向き合い、体験型の販売スタイルで成長を遂げるココロカ株式会社。1989年の創業以来、家庭用医療機器の分野で確かな実績を積み重ねてきた。現在は「医食住」という新たなコンセプトを力強く掲げ、事業の幅を広げている。同社の代表取締役社長を務める渕脇正勝氏は、他業種の営業職から転身し、徹底した現場主義と独自の組織改革で会社を牽引してきた。入社の原点から業界の未来を見据えた展望まで、同氏の強い信念に迫る。

健康問題への「怒り」と使命感の芽生え

ーーまずは、貴社へ入社された経緯から教えてください。

渕脇正勝:
私はもともと、教育関連の完全歩合制営業の世界に身を置いていました。そこでマネージャーとして20代の若者たちと接する中で、ある共通の現実に直面したのです。それは、将来の夢に向かって努力しているにもかかわらず、自分自身の健康問題だけではなく、家族の病気や介護などが原因で学校や仕事を辞めざるを得ない若者が数多くいるという事実です。彼らの人生が、予期せぬ健康問題によって阻まれてしまう。その不条理を目の当たりにし、人々の健康を根本から支える産業でアプローチしたいと考えて弊社に入社しました。

ーーココロカへ入社された後は、どのような経験をされましたか。

渕脇正勝:
入社後は、通常であれば数ヶ月かかる研修期間を飛び越え、わずか2週間で家庭用医療機器の体験会場を任されました。そこで弊社の治療器を利用されたお客様が笑顔を取り戻していく姿を目の当たりにし、この仕事の社会的意義の大きさを実感しましたね。

一方で、業界に残っていた古い体質やネガティブなイメージに直面する経験もしました。当時は業界の不透明な販売手法に対する世間の不信感が根強くあり、また、真摯にお客様と向き合っている現場の社員たちが悔しい思いをする場面も見てきました。そんな、本来は人々の健康に貢献する意義深い商品を扱っているにもかかわらず、過去の業界のイメージだけでマイナスの印象を持たれることはおかしいと感じたのです。こうした現場での経験から、私は誰に対しても堂々と誇れる、完全に「真っ白」な商売をして、業界全体のイメージをクリーンにしていかなければならないと心に誓いました。

誰もが安心できる空間と確かな技術 「納得」から生まれる真っ白な商い

ーー「真っ白」な商売を実現するため、具体的にどのような取り組みをしていますか。

渕脇正勝:
スーパーマーケットや百貨店など、誰もが日常的に利用する開かれた場所での会場展開にこだわっています。私たちの会場には、ご高齢の方だけでなく、お子様連れのご家族も多くいらっしゃいます。若い世代も自然に集まり、世代を問わず楽しく過ごせるような明るく活気に満ちた空間をつくることで、特定の方だけを集めるような閉鎖的な空間ではなく、どなたでも安心して足を運んでいただけるオープンな環境を整えています。

ーー貴社の主力商品である家庭用医療機器の、特徴や強みを教えてください。

渕脇正勝:
まず強みとしては、お客様に安心してお使いいただくための客観的な評価をしっかりと備えている点です。エビデンスを取得しているのはもちろんのこと、日本の官公庁とともに37年間にわたり日本人の健康問題に取り組んできた「成人病予防協会」からも推奨をいただいています。

それに加えて技術的な面での最大の特徴となっているのが、「1/fゆらぎ」という自然界のリズムを電位のパターンに取り入れている点です。弊社はこの独自の技術で特許を取得し、お客様が日々の生活の中で無理なくケアを継続できるような工夫を凝らしており、こうした客観的な裏付けがあることによって、お客様の深い安心感につながっていると考えています。

ーー今もなお、多くのお客様に選ばれ続けている理由は何だとお考えですか。

渕脇正勝:
一番の理由は、お客様がご自身で「実体験」し、心から納得した上でご購入いただいている点に尽きます。私たちから「買ってください」と無理な営業をかけることはありません。まずは会場でしっかりと体験していただき、お客様の方から「自宅にも置きたい」と仰っていただいた段階で販売を行います。お医者様や看護師さんといった医療従事者の方々にいち早く商品の価値をご理解いただいて、購入につながるケースが多いことも、私たちの販売スタイルと商品への信頼を裏付けていると思います。

「人への思い」を育む組織改革と、医療機器メーカーの枠を超えた「医食住」への挑戦

ーー人材採用に関してはどのようにお考えですか。

渕脇正勝:
現在は主に新卒採用を重視しています。私たちの仕事は、単に目の前にある商品を販売するだけではないからです。ご来場いただいたお客様とコミュニケーションをとり、ともに健康について考え、納得していただいた上で長く使っていただくことが不可欠です。新卒で入社する社員たちは、「この会社で人々の健康に貢献したい」という純粋な理念を持っており、そうした「人への思い」を土台に持つ人材がお客様と向き合うからこそ、真の信頼関係が生まれます。「モノ」ではなく「人への思い」に価値を置き、誠実にお客様を思いやる姿勢こそが私たちの強みです。

ーー社員の純粋な思いを育むために、どのような社内制度が構築されていますか。

渕脇正勝:
最も大きな取り組みの一つとして、コミッション制度の抜本的な改革を決断しました。以前の制度は一部のトップセールスだけが見返りを得る構造になっていたため、中堅層の社員たちはどれだけ頑張っても報われにくかったのです。その結果、懸命に努力している優秀な人材が離職してしまうこともありました。

そこで、「正しい努力をした人が平等に報われる」組織にしなければ会社は存続できないと考え、実績が小さくても頑張った分がしっかりと還元されるように制度をつくり直したのです。目先の利益は一時的に減るリスクもありましたが、結果として社員のモチベーションは高まりました。長く働ける環境をつくるために、絶対に不可欠な改革でした。

ーー社内体制を盤石にした現在、今後の事業展開はどのように描いていますか。

渕脇正勝:
これまでは家庭用医療機器メーカーとして歩んできましたが、今後はその枠を超え、「医食住」を通して健康をトータルで支える企業へと進化していきます。というのも、医療機器のご提供だけでは、お客様の健康に関するあらゆる悩みを根本から解決することはできないからです。例えば、いくら治療器で体をケアしてもご高齢の方が自宅の床で滑って骨折してしまえば、そのまま寝たきりになってしまうリスクがあります。

そこで、従来の「医」の分野に加え、日々の体をつくる「食」と生活の基盤となる「住」へのアプローチを始めました。「食」では提携農園と協力して自然栽培の野菜などをご提供し、「住」では外部企業と連携して転倒を防ぐフロアコーティングといった安全な居住環境の提案を進めています。家庭用治療器の枠にとどまっていては、企業としても現状維持、つまり「退化」に陥ってしまいます。お客様の生活全般に寄り添い、多角的に健康をサポートできる存在になるべく、これからも新たな挑戦を続けていく覚悟です。

編集後記

最も印象に残ったのは、渕脇氏の内に秘めた熱い思いと誠実な姿勢だ。若者たちの未来を阻む健康問題への「怒り」を原動力に、業界の古い慣習を断ち切り、「真っ白な商い」を貫く覚悟には強く胸を打たれた。社員の正しい努力を平等に評価する組織改革も、トップ自身の深い人間愛から生まれたものだろう。その熱量が20代の若手社員たちにも伝播し、現場でお客様との強固な信頼関係を築き上げている。「医食住」という新たなステージへと進む同社の挑戦は、間違いなく業界全体を力強く牽引していくはずだ。

渕脇正勝/1964年、東京都生まれ。大学でシステム工学を学んだ後、2000年、ココロカ株式会社に中途入社。現場のアドバイザーとして、全国でお客様に真摯に向き合う営業を心がける。営業スキルではなく「お客様の人生に寄り添う心」を育てるという観点から社員教育にも注力し、2013年には代表取締役社長に就任。「現場の痛みも喜びも知り尽くしたリーダー」として、現在は100年続く企業を目指して舵をとっている。