
インターネット黎明期の1999年に起業し、現在は国内外に3拠点を構え、グループ連結で100名を超える規模へと成長を遂げた株式会社ディマージシェア。同社を率いる代表取締役社長の大内慎氏はITの劇的な進化とともに約27年にわたり業界の最前線を駆け抜けてきた。同社が掲げるブランドメッセージは「GROWTH SUPPORT ― 技術で、成長をともに創る」。AIをはじめとする「技術力」とお客様のビジネス課題の解決に徹底的に真摯に向き合う「伴走力」を強みとし、エンドユーザーとの直接取引の割合は95%を超える。「新たな事業の実現」と「既存資産の進化」の両面からお客様のビジネス成長を支援しており、現在はAI駆動のマイグレーション支援という新たな市場開拓にも果敢に挑んでいる。AIですべてが効率化される時代に、大内氏が語る「人間力」の真の価値と次世代に託す100年企業への展望に迫った。
インターネットとオープンソースソフトウェアがもたらした衝撃
ーーまずは、起業を志した背景を教えていただけますか。
大内慎:
私はプログラマーとしてキャリアをスタートさせました。当初は自分で会社をつくるという選択肢は考えていませんでした。しかし転職先の会社で20代の社長のもとで働いた経験や、独立した先輩が身近にいたことで起業を志すようになりました。
最大の転機はインターネットの普及と無償で商業利用できるオープンソースソフトウェアの台頭でした。それまでのIT業界は高額なソフトウェアなどが必要で起業のハードルが極めて高い世界でした。しかしこれらの技術の登場によりパソコン一つでビジネスができる可能性が一気に広がったのです。海外の事例を参考に自らウェブサイトを制作する中で、技術の浸透によって世の中が変わる衝撃と確信を得ました。紙媒体が主流だった時代に「テクノロジーで世の中を変えたい」という強い衝動に駆られ、25歳で独立を決意しました。
ーー創業期にはどのようなご苦労がありましたか。
大内慎:
準備期間を経て1999年に仲間3人で会社設立を果たしましたが、その次に直面したのが、営業面の課題です。創業当時は全員が技術者であり、営業を専門とするチームはありませんでした。そこで私たちは自分たちで独自のサービスやプロダクトをつくり、技術者自らが直接お客様に届けていくという方法を選択したのです。
お客様の要望や課題、質問や疑問に対して一つひとつ真摯に向き合い、信頼を積み重ねていき、結果として会社は強固な組織へと成長しました。我々にとっても自分たちでつくったものをお客様に直接説明したり反応や評価が得られるので非常に有益であり、お客様にとっても営業より実際に支援を行う技術者から提案や説明を受けられる方が安心や信頼があるため、むしろ専門の営業がいないことが当社にとっての強みとなりました。様々な課題はありましたが苦労だと思ったことはありませんし、「自らの手でサービス/プロダクトをつくり、直接お客様を開拓して信頼を構築する」という姿勢は創業から約27年経った今でも弊社のDNAとなって生き続けています。
「GROWTH SUPPORT」の体現とAIによる新たな市場開拓
ーー貴社が展開する事業の強みを教えてください。
大内慎:
当社の強みの一つは、単に技術者の労働力を提供するのではなく、「お客様の事業収益に直結する仕組みづくり」を創業期から一貫して支援し続けてきたことです。例えば、人材・物件などのマッチングサービスのシステム構築や、広告代理店やメディア事業者の事業成長に必要となるWeb広告のシステム構築等の支援を通じて、お客様の直接的な収益創出を実現しています。技術力が求められるのは当然のうえ、システムの前にまずお客様のビジネス課題やゴールを深く理解し、その解決や実現に徹底的に寄り添って事業成長を後押ししています。この姿勢こそが、弊社の掲げる「GROWTH SUPPORT - 技術で、成長をともに創る」の本質です。
ーー今後、新たに挑戦したい領域はありますか。
大内慎:
現在の大きな注力テーマはAIを活用した「マイグレーション事業」です。これは、担当者の不在などによってブラックボックス化や老朽化が進んでしまい、成長の足かせとなった企業のシステム資産を最新の環境へ移行し、進化させて再構築することで、お客様のビジネスを成長させる支援を指します。
これまで弊社は、すでに既存のパッケージソフトが多数存在するエンタープライズ領域にはあえて踏み込んできませんでした。しかし、AI技術の進化によって業界のゲームチェンジが起きると確信し、未開拓の市場へ参入することを決意しました。
この新たな支援では、まず自社の「CodeReverse AI」で既存のソースコードを解析し、仕様書などのドキュメントを生成・再整備するとともに、可視化された分かりやすいレポートを顧客に提供します。まるで「家のリフォーム」のように、システムをすべて新しくつくり直すべきか、あるいは一部を改修して延命させるべきかなど、納得感のある最適な選択肢を提示し、お客様が適切な判断ができるようにするのです。長年培ってきた「お客様への伴走力」と最先端の「AI技術」を掛け合わせることで、弊社はこの新しいマイグレーション市場を切り拓いていきます。
AI時代にこそ問われる「人間力」と100年企業への決意

ーーAI技術の進化が進む中で、どのような人材や組織文化が求められるとお考えですか。
大内慎:
最終的な価値を決めるのは「人間力」だと確信しています。AIを使いこなす技術やテクノロジーの進化に順応する学習意欲は当然必要です。しかしAI技術が一般化し、どの会社も同じような技術を使えるようになったとき差別化の鍵となるのは、人としての力です。
たとえば同じ車を買うにしても、担当者の姿勢や対応で顧客体験は全く変わります。弊社の企業理念には「まじめに向き合い、感謝される」という言葉があります。システムという目に見えないものに対して多額の投資をお客様からお預かりする以上は、お客様の想いや悩みに真摯に向き合い、寄り添うことが不可欠です。これは単に気持ちや姿勢といったことだけではなく、お客様の視点に立ってビジネス課題の本質を見極めて理解し、課題を解決するための実効性・実現性のある提案・構想を創り出し、プロフェッショナルとして言うべきことを忌憚なく伝え、状況や環境が変化しても目的達成のために柔軟に適応して推進・完遂する、といった人としての様々な能力・スキルも求められると考えています。
逆説的ですが、AIやテクノロジーが活用・普及するほど進化するほど、かえって人としての力がより必要になっていくのです。当社は創業の頃からそれらを大事にし、実践し続け、DNAとして継承しており、AI時代だからこそ一層の強みになると認識しています。そのうえで、どの会社もそれらの力を高めてくると思いますので、これまで以上に我々も向上させていく必要があると考えています。
ーー最後に、中長期的な会社の展望をお聞かせいただけますか。
大内慎:
創業時から「50年、100年続く企業」をつくりたいという強い思いを抱いてきました。現在私は55歳ですが、経営者として常に新しい価値観に敏感でいられる時期はあと残り10年だと認識しており、新しい波を肌で直感できる20代などの次世代に弊社の最前線を任せていくべきだと考えています。
そのため、これからの10年間は、次世代を担うリーダーの育成・創出や、これまでも大事にしてきたDNAを更に向上させ組織として継承していくことに全力を注ぐ覚悟です。「先進技術の積極的な探求・活用」と「まじめに向き合う人間力」を次の世代へと継承し、新たな価値を創出していくことで、100年先も社会から求められ続ける企業の次ぎなる基盤を築き上げていきたいと考えています。
編集後記
インターネット黎明期から業界の最前線を走り続けてきた株式会社ディマージシェア。AI技術が台頭する現代においても「人間力」を重視する同社の代表取締役社長の大内慎氏の姿勢に感銘を受けた。次世代リーダーの育成と新たな価値創造への飽くなき挑戦はこれからも続くことだろう。100年企業を目指す同社の飛躍が楽しみだ。

大内慎/1971年生まれ、千葉県出身。プログラマーとしてキャリアをスタート。メインフレーム開発からオープン系の開発、プロジェクトマネジメントなどに従事し、25歳で独立を決意。3年間の準備期間を経て、1999年9月に株式会社ディマージシェアを設立。