株式会社ユーグレナ 500社連続で断られても諦めない。不屈の精神の原点と創業者が目指す「ユーグレナ」の新たな未来像 株式会社ユーグレナ 代表取締役社長 出雲 充  (2021年10月取材)

インタビュー内容

キャリア

【出雲】

取材などでお越しいただいて、ミドリムシの力、ミドリムシの能力についてお話しすると、「ああ、ミドリムシってこんなにいろんな可能性があるんですね」と皆さんご納得いただいてお帰りいただけるんですけど。でもミドリムシでなくても、何でも突き詰めればですね、全部いけているんです。全部素晴らしいんです。だからくだらない物なんて、この世にないんですよ。それは仕事にも当てはまると思うんですね。例えばコピー取りとか、これはくだらない仕事だから僕の仕事ではない。もっとかっこいいことをしよう、かっこいい仕事をしたい。その人がくだらないって決めつけてしまったら、そこから良い物には絶対ならないんですが。私が銀行員の時には、すごくコピー命だったんです。誰よりも早くコピーを終わらせるために、頭をぐるぐる回転させるんです。1階と2階と3階にそれぞれ1個ずつコピー機があるんですけど、1階に行って100部コピーしないといけない時に、1つのコピー機で100部コピーしていると他の人にも迷惑がかかりますよね。だから1階に行って50部コピーをして、ダダダーッって2階に行ってですね、2階でも50部コピーをして、時間を短縮して。その次はですね、このコピーの仕事頼まれるなっていうのを察知してですね、先にしておくんです。で、「これやっといて」と頼まれた時に「もうできてます」と言うと、「おお!」となりますよね。だからくだらないなんてことないですよ、絶対、どんな仕事も。100億の融資の案件なんて、新人ではそんな大きな仕事まとめられないですよ。ミドリムシも研究を始めて、すぐ何か大きな成果を出すなんてことは難しいですよ。でも研究しやすいように、実験しやすいように、そういうことを配慮しながらお掃除をすると使いやすい研究室になりますよね。そういうところで気持ちよく研究をみんなでするから成果が上がる。突き詰めれば、どんな物だって、ミドリムシだってこんなにポテンシャル、可能性があるわけですから、ミドリムシ以外にも全ての物に何かやっぱり良さがある。

【出雲】

会社で「社員」という言葉は一度も使ったことがないんですね。一緒に世界を救うために頑張ってくれているわけですから、これは「仲間」だ。どういう人に仲間として来ていただきたいか、迎え入れたいかというのは、とにかく「頭」を使う人ですね。勉強しろとか研究しろという意味ではないんです。「頭」というのは「あ」かるく、「た」のしく、「ま」えむきにの頭文字で「頭」なんですね。世の中で起こる様々なイベントっていうのは全てニュートラルなんです、全て中立なんです。誰か特定の人を邪魔しようと思ってですね、雨が降ったり雪が降ったり、雷が落ちたりなんてことは絶対にないんです。せっかく今日はおしゃれしてるのに、雨降ってやだなって思うほうが普通ですよ。だけど農家さんにとっては「ああ、今日もうやっと雨が降ってくれて嬉しい」。雨1つとっても、別にデートの邪魔をしたり、農家さんを応援するために雨が降っているわけではなくてですね。嫌なイベントとか良いイベントなんて物はないんです。それを明るく楽しく前向きに、こういうことが起こったら、じゃあ自分はこうしましょう。自分のためだけにネガティブな、嫌なイベントなんてことも逆に起こらないわけだから、気持ちを切り替えて。とにかく「頭」。明るく楽しく前向きにというのを会社の仲間にはいつも申し上げていますし、新しく私どもユーグレナ社に来てくださる将来の仲間に対しても、常に同じことは申し上げております。

プライベート

【出雲】

会社の仲間にはちゃんと休んで、英気を養ってほしいということは言ってますけれども、私は他にあまりしたいことがないので、かえって困るんです、休みとか祝日とか言われると。ミドリムシの仕事をできるのが一番ありがたいですね。本は読みます。本と漫画は読みます。

「はじめの一歩」というボクシングの漫画があるんですけれども、試合に出る時に教えているジムの会長が「努力をしたものが皆成功するとは限らない。しかし成功したものはすべからく努力をしている」と。

「お前の努力が拳に宿る。行ってこい」と言って、送り出すシーンがあるんですけれども。
ここが非常に重要な示唆に富んでるなと思いまして。

努力をしたから成功するのではないんです。でも成功した人はみんな努力をしてるんです。なるほどなって。

あとは、みなさん読まれたこともあるかもしれないんですけど、「スラムダンク」。バスケットボールの漫画ですね。

主人公は「桜木花道」というんですけれども、その先輩の「赤木先輩」というチームのキャプテンがいて、副キャプテンは「木暮さん」という先輩なんです。

引退がかかってる地区予選の最後の試合の時にですね、すごく重要なシーンが巡ってくるんですね。点数を入れられなかったら、負けて引退だという時に、その時後輩で流川という天才プレーヤーが、何やっても流川にボールを渡せば、絶対に流川は点を決めてくれるという
、そういう流川がノリノリの状態の時に、木暮にボールが渡ったんです。

でも流川にボールを回せば、流川が2人だろうと3人だろうと全員かいくぐって、絶対に点数を決めてくれるから、「木暮、流川にパスだ」っていうのが、全員同じことを思うはずなんです。

その時にキャプテンは…、私はこのセリフを作中一番大事にしているんですけど、「木暮!フリーだ!打て」と言うんですね。
これを外したら引退なんですよ。

絶対に失敗が許されないシーンなんですよ。そこで絶対成功させてくれる、成功率100%のプレーヤー、流川にパスしろではなく、「木暮、自分で決めろ」と、「木暮!フリーだ!打て」と言って、木暮が打つんですね。

バスケ人生の中で一番大事な瞬間だというのを、キャプテンの赤木は理解していた。ミドリムシと一緒ですよ。ミドリムシうまくいってもいかなくても、「やってみろ」というのと同じシーンだなっていう場面がありました。

歴史

【出雲】

バングラデシュに行きまして、栄養が本当に足りてない、4人中1人は栄養失調なんですね。こういう問題を初めての海外で目の当たりにし、栄養のある食べ物をバングラデシュに持っていって、バングラデシュに植えて、みんなが元気になったら、これはもう絶対に楽しいな、もう本当にそれだけなんです。栄養満点な食べ物がないとダメだと。人間が生活するのに必要な栄養素が全部入っている食べ物というものが、きっとあるんだろうと思って探していたんです。そういうものを探すのであれば、やはり農学部が一番いいだろうということで、農学部にいくんですけど、びっくりするくらいないんです、そんな物は。植物というのは植物の栄養素、動物というのは動物の栄養素を作るわけですから、そんな栄養満点の食べ物というのは、なかなかないなと思っていた時に、パッとミドリムシと会ってですね、「ミドリムシは全部の要素があります」と。ミドリムシをバングラデシュに持っていけば解決する。では、それをやりましょうという話に当然なるんですけれども、ミドリムシというのは培養できないんだと。本当にショックで、せっかく栄養満点の食べ物と巡り会ったのに、社会にはデビューできない、培養できないと聞いて、それ以来、絶対ミドリムシをやろうというのは20歳の時に決めました。

【出雲】

決めたんですけれど、一向に培養できないんですね。ミドリムシを増やしていると、いろんなバクテリアやいろんなプランクトンや、とにかくいろんなものがミドリムシを食べにくるんです。で、ミドリムシが増えない。もう全く手がかりもなくてですね、やっぱりミドリムシは難しいと思いまして、私は銀行に入りまして、将来もう一回再チャレンジするぞと、その時まで自分もいろいろ勉強してですね、頑張ろうって。いろんな大学の先生のところに、どうしたらミドリムシが培養しますか。出雲さん、ミドリムシで世界を健康にしたい、栄養失調をなくしたいっていう話は素晴らしいと思いますよと。でもあなたは銀行員ですよね。平日は銀行という職場があって、土日に片手間でミドリムシをやってますけど、ミドリムシはそんな片手間でどうにかなるような中途半端なものではないですよと。これは自分ももう本気でやらないといけないと。で、銀行を辞めまして、「ええ! 本当に辞めたんですか?」と。じゃあ、あまりに可哀想だから、ミドリムシというのは実はこういう生き物で、こういう風に培養すると、ここまではできたんですよっていう、いろんなことを先生方が教えてくださってですね。2005年にもう、いよいよできそうだと。とはいえ、ミドリムシを大学の外で育てるためには、大きいタンクや大きいプールや、そういう巨大な施設が必要なんですけど、それは個人では借りられないんですよ。法人の名義が必要になって、会社を設立したんです。その後ようやくミドリムシが、プールを借りてですね、石垣島で作れるようになったと。もういろんな人に応援していただいて、サポートしていただいて、なんとか途中で辞めずに済んだというのが正直なところですね。

価値観

【出雲】

私、よく誤解されるのは、銀行が面白くなくて辞めたのではないですかと、こうおっしゃられるんですが、とんでもない話で、住宅ローンの仕組みですとか、企業にお金を貸し出す仕組みとか、銀行の仕事は本当に楽しくてですね。ミドリムシは難しいから、もうこのまま、ミドリムシはなしと。銀行に残って、ここで頑張って出世したほうが、よっぽどましな人生ではないかと。それは私、毎日思っていました、正直。でも最後、何回頭の中で自分の人生をシミュレーションしても、どうしても一箇所だけ乗り越えられないポイントがあったんですね。例えば銀行の支店長になったとします。 55歳の時に「出雲支店長、お車の用意ができています」。支店長車に乗りに行く時に、テレビかラジオからですね、佐藤さんという人が世界で初めてミドリムシの培養に成功して、このミドリムシのおかげで世界の栄養失調の子どもたちが減ってですね、今はみんな健康に暮らすようになりましたと。そういうテレビ番組を見たら、一生後悔すると思うんですね。そういえば、自分も昔ミドリムシを思い付いてやったけど、自分はできなかった。この佐藤さんすごいなって言うくらいだったら、銀行でどんなに出世しても結局後悔の人生になってしまうと。人生一回きりですから、まあミドリムシをやってみようと。ミドリムシをやって精も魂も尽き果てて、やっぱりミドリムシ、ダメだったってなったら、銀行に謝って、もう一度入れてくれませんかとお願いはしてみようと。ただミドリムシ、それはいずれにせよ、やってからだと。自分もやりたかったなって後悔する人生だけは、絶対に送りたくないという気持ちはずっと持っていました。それだけが最後の支えで。それでも本当にこれは別に私がやったわけではなくて、 1980年代から地道にミドリムシに取り組んでこられた、日本中のミドリムシ研究の先生方の成果が、私にたまたまバトンが回ってきた時に花開いて、2005年の12月16日に世界で初めてミドリムシを育てる培養技術ができたわけですけれども。私が開発したという意識は全くないですね。

【出雲】

「ミドリムシで人と地球を健康にする」。「人を健康にする」というのは文字通り、ミドリムシを召し上がっていただいて栄養失調をなくす。これが「人を健康にする」ということですね。「地球を健康にする」というのは、 1つはミドリムシは光合成で育つ。このミドリムシの光合成をうまく活用すると、非常に濃い濃度の二酸化炭素を光合成で固定化することができる。石炭火力発電所、これは膨大な量の二酸化炭素が出てくるんです。温室効果ガスですから、地球規模の大規模な気候変動のインパクトがあると。まさに気候が急激に変動してしまうわけですから。ここはすごく雨が多い所だったのに砂漠になってしまったり、もしくは少ししか雨が降らないはずのエリアだった所が巨大な台風が来て、突然土砂降りになるとか。そういう気候変動のリスクを小さくするために、ミドリムシはきっと役に立つと思います。2つ目がミドリムシを絞ってですね、バイオ燃料を作るんですけれども。バイオ燃料を作るというのは、そんなに難しいことではないんです。でもバイオ「ジェット」燃料っていうのはすごく作るのが難しいんですね。今ないんです、バイオジェット燃料なんて物は。ミドリムシを絞って飛行機の燃料作ると。石油を使うのではなくて、ミドリムシバイオジェット燃料という再生可能エネルギーで、世界のエネルギーを作っていく。こういういろんな活動を通じて、ミドリムシで世界を良くしていく。具体的には人と地球をミドリムシで健康にしたいと思っています。

事業

【出雲】

ミドリムシのことを青虫とか芋虫の仲間だと思ってらっしゃる方は、たくさんいらっしゃるんです。これは我々の説明が不十分なわけで、途中のスーパーマーケットもそうですし、ドラッグストアもそうですし、いろんな所の方に「ええ?ミドリムシ?いや、うちはそんなね、なんか気持ち悪いものは置かないよ」ってやっぱりどうしても言われてしまうんです。それを変えるために私どもが、ミドリムシは青虫とか芋虫ではなくてですね、実際はワカメや昆布の親戚になるのがミドリムシなんですけど。ワカメとか昆布というと食べるにも全然平気ですし、女性のシャンプーとかにも海草が入っていたりしますよね。だからミドリムシを化粧品にしたり、食べ物にしたりするのはそんなにおかしくないよねって。青虫ではないんですという事を、もっともっといろんな場所でいろんな方法でお伝えをして、取り扱っていただくお店を増やす。これが2013年以降の私どもの基本的な方針になる。

例えば緑汁はインターネット限定。ミドリムシは何でもかんでもはできないので、全部限定なんです。

例えば今売れている非常に人気の商品、ミドリムシクッキー、ユーグレナクッキーっていうのがあるんですけれども。ミドリムシクッキーというのは、お台場にある日本科学未来館という所でしか買えないんです。

ミドリムシの学名は私どもの社名であるユーグレナなんですけれども、ユーグレナクッキーという物は学名を広めたいということで、このユーグレナクッキーというのは東京大学のお土産物屋さんでしか買えないんです。

だから、どこでも買えるとか、そういうのとは我々っていうのは常に逆なんですね。インターネットでしか買えません。東京大学でしか買えません。

それは正直に言います、すいませんと。
日本中のいろんな所に置いてあって、手に取っていただけるようにするというのも、当然将来的に取り組んでいかなくてはいけないんですが、場所ごとに開発をして置かせていただくということで、今はいろんな商品をお客様にお届けしています。

やはり女性の方が圧倒的に多いんです。多いんですけれども、女性の方が買われているだけで召し上がってる方は男女ほとんど変わらないですね、半々ぐらいです。

ミドリムシが体に良いという話を聞いて、健康に熱心な女性の方が買われて、ご家族や息子さんとかに「これ飲みなさい」と飲んでもらっているのが通常の利用シーンですので、お買い求めになられるのはほとんど女性ですけれども、ミドリムシを召し上がっていただいているという意味では男女で何か差があるということはほとんどないです。

【ナレーター】
2015年12月、世界で初めて微細藻類(びさいそうるい)ユーグレナの食用屋外大量培養を成功させた株式会社ユーグレナ。

ユーグレナとは和名でミドリムシと言い、植物と動物の両方の性質を持った藻の一種で、ビタミン、ミネラル、不飽和脂肪酸など59種類もの栄養素を有する画期的な微生物だ。

ユーグレナ社では、このユーグレナを活用して食品や化粧品などを開発する他、2021年6月には、ユーグレナ社のバイオ燃料『サステオ』を使用したジェット機のフライトを実現。

ミドリムシの会社からサステナビリティ・ファーストの会社へ進化するべく、その歩みを着実に進めている。

ユーグレナの可能性を追求し、新たな領域を切り拓くことに成功した創業者の軌跡と、目指す次のステージとは。

【ナレーター】
2021年8月、会社の憲法とも言われる定款で定める事業目的を、SDGsの17の目標を反映した内容に全面刷新したユーグレナ社。その真意とは。

【出雲】
今までの古い定款、事業目的だと、当社のやりたいことが上手く表現できないし、伝わらなかったんです。

しかし、当社のバイオジェット燃料を使えば、飛行機で移動してもCO2削減が可能なんです。これを「航空運送事業としてやっています」と言うと、例えばヨーロッパの投資家は「CO2を出す航空運送事業のような、迷惑のかかることはやめなさい」とおっしゃるんですよ。

しかし当社は違いますと。単なる航空運送事業ではなく、SDGsの13番目、地球温暖化を招く気候変動に対する解決策を提示するのがSDGsの13番目の目標なんです。

つまり、「バイオジェット燃料は新しい航空運送事業であり、SDGsの13番目の目標を達成するための研究と仕事です。」このように説明したほうが、皆様に誤解なく伝わりますよね。

新しい産業は、その産業の境目が今までとは全く違うものになりつつあるため、定款そのものを、勇気を持ってSDGsにフィットする形でつくり直しました。

【ナレーター】
ユーグレナ社をけん引する出雲の原点は大学時代にまで遡る。生まれて初めての海外渡航先に出雲が選んだのは当時南アジアの最貧困国、バングラデシュだった。

人生が一変したと語る当時のエピソードとは。

【出雲】
食べ物を買うお金がなく、ひもじい思いをしている子どもたちがたくさんいるんだろうなと思ってバングラデシュへ行きました。しかし実際は、これは行ってみないと分からないんですけれど、空腹で困っている人は全くいなかったんです。

では、このことの一体何が問題なのかというと、具が入っていないのです。ニンジンも玉ねぎも、お肉もお魚も卵も牛乳も何もないんですね。当時のバングラデシュの食事には、健康に生活するために必要な栄養素が非常に不足していました。

これが本当の課題であると気づき、帰国後は栄養の勉強しようと決めたきっかけとなりました。

【ナレーター】
真の課題を見つけ帰国した出雲は、東京大学文科三類から農学部へ理転して進学。農学部の仲間にバングラデシュで見た真の課題である栄養失調問題を解決できるような、最も栄養価が高い素材を聞いて返ってきた答えがユーグレナだった。

調査をする中で、ユーグレナに大きな可能性を感じた一方、難解な問題があることに気づく。

【出雲】
ユーグレナは栄養満点な微生物です。

人間が生活するために必要な59種類もの栄養素を持つため、普通に育てていると、みんなに食べられてしまいます。ユーグレナは栄養価が高い分、純粋培養は極めて難しくほとんど無理でした。

それがわかっていても、私は当時20歳です。そんな簡単には諦められない。ただ、本当に難しいことなので、長期の研究になると思い、35歳の時に会社をつくろうと当時は考えていましたね。

【ナレーター】
大学卒業後、銀行員を経て2005年8月に「株式会社ユーグレナ」を設立。研究を重ねた末、同年12月に世界で初めてユーグレナの食用屋外大量培養に成功した。

当時の心境を尋ねると意外な感情が芽生えたのだという。

【出雲】
はじめての体験だったので、とても驚いたんですけれど落ち着いているんですよね。

毎日すごいプレッシャーを感じていました。2005年12月16日、沖縄県の石垣島でユーグレナがたくさん育ったときは大喜びするのではなく「やっと実験が一段落した、ここまで来れた」という安心感で、本当にほっとしたのが真相ですね。

【ナレーター】
これで世界の栄養失調問題を解消できる。そう確信した出雲だったが、想像を絶する苦難が待ち受けていた。

【出雲】
当社が扱っているのはユーグレナですから、採用実績がないわけですよ。

それまでユーグレナは市場にも、どこにも存在しないもの。まっさらで新しいものを、皆様にプレゼンテーションして「ぜひ使っていただきたい」と。当時、市場に存在しなかったユーグレナの良さを「人と地球を健康にする切り札」だと何度も説明しました。

私は、2年間で500社へ営業に行ったんです。一度もうまくいかない営業を、2年間、500回繰り返して失敗し続けたのは、私ぐらいのものではないでしょうか。

【ナレーター】
そして501社目の訪問で、ついに出雲の願いが成就する。

【出雲】
501社目で、ようやく「伊藤忠商事」という最初のお客様と出会えたんですね。「(ユーグレナを原料にした製品を)どんどん一緒に開発していこう」と、伊藤忠商事社を始め錚々たる企業や大学、政府機関が応援してくださるようになりました。

2008年5月の伊藤忠商事社との出会いは、間違いなく当社の転機だったと思います。

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経営者プロフィール

氏名 出雲 充
役職 代表取締役社長
生年月日 1980年1月17日
出身地 広島県
座右の銘 昨日の不可能を今日可能にする
愛読書 3つのゼロの世界(著 ムハマド・ユヌス)
尊敬する人物 グラミン銀行創設者・ノーベル平和賞受賞者 ムハマド・ユヌス博士
略歴
駒場東邦中・高等学校、東京大学農学部卒業後、2002 年東京三菱銀行入行。2005 年株式会社ユーグレナを創業、代表取締役社長就任。世界初の微細藻類(びさいそうるい)ユーグレナ(和名:ミドリムシ)食用屋外大量培養に成功。世界経済フォーラム(ダボス会議)ヤンググローバルリーダー、第一回日本ベンチャー大賞 「内閣総理大臣賞」受賞。

会社概要

社名 株式会社ユーグレナ
本社所在地 東京都港区芝5-29-11 G-BASE 田町2階
設立 2005
業種分類 食料品
代表者名 出雲 充
WEBサイト http://www.euglena.jp/
事業概要 1.ユーグレナ等の微細藻類等の研究開発、生産 2.ユーグレナ等の微細藻類等の食品、化粧品の製造、販売 3.ユーグレナ等の微細藻類等のバイオ燃料技術開発、環境関連技術開発 4.バイオテクノロジー関連ビジネスの事業開発、投資等
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