株式会社コナカ 紳士服の「コナカ」「SUIT SELECT」など、全国400店舗以上を展開するスタンダード上場企業 株式会社コナカ 代表取締役社長CEO 湖中 謙介  (2023年10月取材)

インタビュー内容

【ナレーター】
『コナカ・フタタ』『SUIT SELECT(スーツセレクト)』『DIFFERENCE(ディファレンス)』などの店舗を運営し、紳士服を中心に企画・製造・販売を手掛ける「株式会社コナカ」。

1952年の創業以来、一貫してビジネスウェアを追究し、現在、全国に400店舗以上展開し、紳士服のリーディングカンパニーとしての地位を確立した。

近年では、デジタル化の推進やオーダースーツ事業の強化など、市場の需要動向の変化を捉えた経営戦略に積極的に取り組んでいる。

縮小傾向にあるビジネスウェア市場において、生き残りをかけた経営者の挑戦に迫る。

【ナレーター】
自社の強みについて、湖中は独自の商品開発体制を挙げる。

【湖中】
私たちは物販・小売業です。お客様にお届けする品物や商品をつくりつつ、企画・販売後のフィードバックを生産に回していくシステムを社内で確立しています。

そのため、ポートフォリオの変更が自分たち主導でできるという強みがあります。

世の中に押されて、状況がどんどん変わっていくのは当たり前なのかもしれません。私たちの業界は今、シュリンクしている状態です。一歩先に行かないと、勝ち残っていくこと、生き残っていくことは難しい。

当社は、紳士服を扱う大手の中では方向性が異なっている会社かもしれません。ですが、企画部門も社内で持つことで、当社にしかない商品をつくることが可能になり、一般的に並んでいる商品とは少し違うものをつくり込み、お客様に提案していくことができます。

それがコナカの生産背景にありますので、その流れをつくろうとしています。

最終的にお客様の手元に残るのは、お品物です。「コナカがつくり上げるものが一番良い」とお客様に感じていただける仕組みにしていくことが一番だと思います。

【ナレーター】
湖中の経営者としての原点は課長時代にある。当初は家業を継ぐつもりはなく、飲食店に勤めていたが、父の誘いを受け、1982年に入社。海外出張時に乗った飛行機内でのある出会いが、後の経営者人生に大きな影響を与えたと振り返る。

【湖中】
たまたま隣り合わせた席の人が話好きで、当社と業界が類似した仕事をしている方でした。「いろいろ教えてもらえると助かるな」と感じ、飛行機を降りてからも交流させてもらう機会を設けていたんです。

その後、彼は勤めていた会社を辞めて、個人でメーカーを創業したのですが、出資をしてくれていた企業が倒産してしまって。急なことだったので、資金繰りや社員を養っていくことも厳しい状況になりました。

私も、何か手伝ってあげられないかと考え、行動し、一緒に乗り越えたことで友情も固まりましたが、会社の経営は決して素晴らしいことばかりではありません。

素晴らしくないことを淡々とやることが大切で、最も難しいことだと学んだできごとになりました。経営において、最も大切なのは血液、つまりお金です。それを身に染みて感じました。

【ナレーター】
全国に店舗を増やしながら、常務、専務取締役を経て、2005年に代表へ就任。今でも鮮明に覚えている当時のエピソードについて、次のように語る。

【湖中】
前任の社長に「社長をやらないか」と言われたとき、自分としては現場の仕事で会社に貢献することの方が、より大きな利益をもたらせるのではないかという自負がありました。

すぐに「お断りします」と返答しましたが、あるとき社長から「食事でもしないか」と。出かけると私の父も同席していて、「どうなんだ」と挟み撃ちにあいました。

そこで私は「社長になると、どんなことをさせていただけますか」と逆に聞いたんです。自分の理想に向かって舵を切れるのか、切れないのか。それは、すごく大きなことでした。

自分の中でも考えはいろいろありましたが、2人から「あなたの考えを社員に示し、その方針で了解が得られれば、突き進んでみたらどうか」と言ってもらって。それならば「ぜひ、挑戦してみたいと思います」と伝え、社長に就任させていただくことになりました。

【ナレーター】
当時のビジネスウェア業界は、専門店でオーダースーツを仕立てる高級志向から、品質の良い既製スーツを安価で手軽に買えるカジュアル志向へと移り変わる過渡期だった。

その中で、湖中が打った一手とは。

【湖中】
それまで弊社郊外に、お金をかけてたくさんの在庫を置ける大きな店舗をつくっていました。

ですがその頃は、お客様が通勤途中に立ち寄れる駅前や駅ビルなど、もっと手軽に買い物できる場所にお店をつくるスタイルに変化していた時期でした。

そういう過渡期を迎え、お客様のニーズに合う新たな出店先にふさわしい商品をつくりたいと考えました。

それは、私たちがこれからやっていくべき課題であると捉えていますし、私自身もそういうお店を展開したい。その希望もあって、話が進みました。

【ナレーター】
その後は順調に成長を続け、『SUITSELECT』やオーダースーツ専門店の『DIFFERENCE』など、現在、全国に400店舗以上を展開。挑戦を成功させるために意識していることについて、湖中は「人の心」をキーワードに挙げた。

【湖中】
人にまつわる部分。「人の心」や「気持ち」をどのように理解して、自分たちが次に何ができるのか。それを二手、三手先までしっかり考えて、計画を立てて実行していくことが大切かなと。

加えて、不断の努力で取り組まないといけません。

「これでいい」と思っても、次の時期にはニーズが変わっていきますから、変化に合わせて常に模索しながらでシミュレーションをしていくことが、これからは求められます。そう考えて、今後の展開を進めています。

【ナレーター】
今後は手軽に買えるオーダースーツの取り扱いを強化していきたいと語る湖中。見据えている展望とは。

【湖中】
少し先を見たときに、既製スーツの販売着数が減って、オーダースーツの割合が増える可能性が高くなると考えています。

ブランドごとの戦略の見直しも必要です。

既製のスーツは『SUIT SELECT』を主力とし、特に若年齢層や駅などのターミナルでお買い物をされる方々にすぐにお持ち帰りいただけるコンビニエンスな形態に特化しながら、業界の中でシェアをとっていくつもりです。

同時に、オーダー形式の『DIFFERENCE』も伸ばしていきますが、今後は『SUIT SELECT』でもオーダースーツを扱っていこうと考えています。

主力業態でもオーダースーツを取り扱う。そうすることで、同業他社さんが進まれているよりも、一歩先に行く。そこが違いになってくると考えています。

【ナレーター】
求める人材について、湖中は次のように語る。

【湖中】
何ごとにも「挑戦」していくこと。前向きに取り組めること。そういう姿勢が強い方がいいなと思います。

当社は店長も管理職も立候補制です。「先を目指したい」という方にとっては、とてもいい環境です。新しい事業を起こす際や、海外事業などに関しても「やりたい人は手を挙げてください」という仕組みにしており、リーダー的に仕事を進めていただく方を求めています。

「好きこそものの上手なれ」という言葉にもあるように、そういう思いがなければ、またその気持ちが強い人でなければうまくいかないでしょう。

前向きに、積極的に何ごとも取り組める人が、私たちの会社ではきっと成功できるし、幸せになれるのではないかと思っています。

ー大事にしている言葉ー
【湖中】
「一歩退いて思う」という言葉です。

何ごともやっていると熱くなりますし、自分を中心に考えがちになると思います。でも、そういうときこそ冷静に。冷めた目で自分たちのこと、周りのことをしっかりと見る。

そして、分析した上で「勝機あり」という場合は打って出る。そういう大胆かつ冷静沈着な気持ちと心を合わせもつことが大切だと感じていますので、「一歩退いて思う」という言葉にとても共感しています。

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経営者プロフィール

氏名 湖中 謙介
役職 代表取締役社長CEO
生年月日 1960年10月16日
出身地 大阪府
略歴
1982年に入社。商品本部長、管理本部長などを歴任し、2005年に代表取締役社長に就任。

会社概要

社名 株式会社コナカ
本社所在地 神奈川県横浜市戸塚区品濃町517-2
設立 1973
業種分類 小売業
代表者名 湖中 謙介
従業員数 1835 名
WEBサイト https://www.konaka.co.jp/
事業概要 ビジネスウェア及びその関連洋品の販売
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