インタビュー内容
―生き残りをかけた今後の戦略―
【湖中】
1番近頃では『REAL COLLECTION』ということで、佐藤可士和さん、私どものクリエイティブディレクターをお願いしておりますが、彼の監修のもとで今申し上げたニュージーランドウール原料をつかって、中国の私どもの特殊な機械を通じて、最高品質の生地をつくります。
それだけではストーリーにはなりません。スーツは色柄からお選びになられるお客様がほとんどですので、そちらの切り口からお客様にアプローチをしようということで、良い品質のもので、例えばネイビーと、スーツは紺に始まり紺に終わると言いますけども、そちらの中でバリエーションを持ってお客様にご提供できるような、そういう商品群をつくろうということで考えました。
この『REAL COLLECTION』、『REAL NAVY COLLECTION』ですね、これは良い商品でお客様にメリットを目で見ていただいて、触っていただいて、明らかに右と左だったらこっちを選んでいただける商品をつくったら、必ずお客様にご理解いただける。それが日本の市場だと私は思っておりましたので、その商品に一球入魂で、後は色々な協力をいただいて、コンクールや色々なそういうものもさせていただいて、その商品がリリースされてヒット商品になりました。
どうしてもお値段が落ちてくるとお値段に合わせるために品質を落としていきますが、私は、それは逆だと思うのです。基本、私の考え方というのは、安くて良いものはできないと、今の世の中思っていますので、ある一定のコストをかけて良いものをお客様にどれだけパフォーマンス良く提供するかということが私たちのオンリーワンのご提供するポリシーだと考えております。そこの部分だけ取れば、私は同業の会社よりも優れているという自負があります。そこを自分たちは曲げないでしっかりやっていくということが、私たちの3年後、5年後に会社として前に進む力を持つという意味では正しい選択だなと思ったわけです。私たちは同業他社だけではなく、これからはインターネットを通じたインターネット通販、販売というところと戦わなければ、私どもの去年の数字以上の結果を出すことはできなくなってきました。
では、これにどう対応していったらいいのかということですが、合理的に私どものリアル店舗とネット上の売り上げ、これから先につくっていく売り上げを融合していくということが必要だなと考えます。ということで、今回、『DIFFERENCE』というオーダーの業態を立ち上げました。これは1回目のご来店でお客様にテーラーフィッターが採寸をさせていただいて、その情報、お客様のサイズ、特徴とかそういうものも含めてデータとしてお入れさせていただいて、お客様はもう今ほとんどスマートフォンをお持ちでいらっしゃいますので、スマートフォンでお客様が自分のスーツやシャツや、ネクタイやベルトやそういうものをオーダーできるようなシステム。ここが一番ですが、今まではお店で買わないECというのはお店の売り上げになりませんでしたが、これからは私どもの『DIFFERENCE』では、その販売をした人に紐づきますので、販売をさせていただいたお客様がアプリを通じてお買い物をされたら、その人の売り上げにするようにしています。
つまり、良い接客をしてインターネットアプリを通じてお買い物をしていただくことを丁寧に、また買っていただけるように一生懸命説明をさせていただいた人が、寝ている人に売り上げがあがるという、そういう仕組みをつくらせていただきました。近い将来3割くらいがアプリを通じて、お客様とご連絡をいただきながらご利用いただいても結構ですし、お客様がお店に来られてアプリで買い物をしていただいても結構ですが、そういう融合型で、今までインターネット通販などで買われていたお客様も私どものお店と結びついていただくというような図式をつくらせていただきました。当たり前のベースの部分は、市場や私たちのお店の情報の分析ですよね。
それが正しくできるかできないかということは勝負所だと思っております。特に私ども紳士服業界は縮んでいる業界と、残念ながら言われていまして、毎年毎年少しずつでも小さくなっているのは事実だと思います。でもその中の割合は変わってきていまして、今まで本当に小さかったオーダーの割合が徐々に大きくなってきています。とすると、私たちが今扱っている既存の既製服と言われているレディメイドの部分は売り上げが小さくなっていく。このオーダーの部分をやっていかないと、私どもはどんなに頑張っても売り上げが伸びないと。
このオーダーの『DIFFERENCE』をオープンするまでに10年間くらい、その前の元ネタ業態で試行錯誤、出店もしてやめて、またこんなことしてみてあんなことやってみてと、色々とやってきて、そのデータを全部集めて、佐藤可士和さんと私たちのプロジェクトチームで、もちろん私も入らせていただいて、これからお客様に求められる、そして今後、5年10年この業界の中でリーディングをとれるような、そういうものをつくれるかどうかという可能性を論じたときに、必ずつくれる可能性があると。じゃあ、ここに、投資をしようと。投資した部分に対して回収の早い業態。それをつくっていけば私どもの中でまだ伸ばすことができるなと。幸いにしてオーダーというのは在庫を持ちませんから、私どもの既存の既製服を置いている150坪500平方メートルのお店が基準ですよというところから比べるとぐっと小さくできます。
今一番小さなお店で8坪のお店があります。8坪のお店で年間1坪あたりの売上高が1000万円です。要は小さな売り場で成立する、そういう業態をつくって、小さいから投資も小さい。だからある程度結果が出たら回収も早い。そうするとまた新たな投資ができる。そういう枠組みと、先ほどから言っております全体の売り上げの割合の中で私たちが必然的にやっていかないといけないこと。それをやりながらその部門では私どもが業界で発言力を、プレゼンスを高めていけるようなそういうことをして、最終的にはインターネット通販と実店舗の融合をしていく。オムニチャネルとか色々と格好いい言葉はありますが、結論は、お店が潤わなければインターネットを通じた部分のビジネスは成功しないと私たちは思っていますので、それをこれからやっていきたいということで、この『DIFFERENCE』は進めています。

経営者プロフィール

氏名 | 湖中 謙介 |
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役職 | 代表取締役社長CEO |
生年月日 | 1960年10月16日 |
出身地 | 大阪府 |
会社概要
社名 | 株式会社コナカ |
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本社所在地 | 神奈川県横浜市戸塚区品濃町517-2 |
設立 | 1973 |
業種分類 | 小売業 |
代表者名 |
湖中 謙介
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従業員数 | 2216名 |
WEBサイト | https://www.konaka.co.jp/ |
事業概要 | ビジネスウェア及びその関連洋品の販売 |